「逆鱗に触れる」って、元来人間に危害を加えない竜が、
一枚だけ逆さに生えている鱗に触れられると、怒って人間を殺してしまうことから、
目上の人を怒らせることを指すようになったらしいが、私にも逆鱗がある。
まぁ、もっと簡単に言えば「怒るツボ」なんだが、今日じーじは、まさに私の逆鱗に触れた。
私の「逆鱗」「怒るツボ」は、旦那のことだ。
私自身は、実の親子だし、うん○に汚染されようが、洗えば済むことだし、仕方がないと思える。
でも、今日じーじはうん○で汚れた靴下のまま、旦那のスリッパを履いた。
自分のスリッパはトイレの中においてきてあった。
もう、許せなくっって。
なんでこんなにも怒れるのか不思議なくらい、怒った。
私にとって大切な旦那が、忌まわしく汚らわしい者によって、
穢されたような気持になった。
この気持ちを抱いたことによって、もうすでに私にとって父親は、
リスペクトする存在ではなく、忌み嫌う存在なんだと気づいた。
普段は、じーじに関する汚れ仕事だって、平気でしている。
汚れた口の中の口腔ケアだって、うん○で汚れた下着や服の洗濯だって、
慣れれば平気だって思っていた。
大切な父親だ、一人娘の私が最期までちゃんとお世話をしなきゃいけない。
呪文のように、自分に言い聞かせ、毎日やってきた。
でも今日、じーじに向かって
「汚い、汚らわしい、近寄らないで。」
と、叫んでいた。
生理的に受け入れられなくなってきている。
土曜日にお風呂に入れた時、じーじの頭の加齢臭なのか汚れの臭いに、
耐え切れず吐いた。
触れることもできなくなったら、介護なんてできるわけがない。
父親じゃなく、排泄する物体だと思えばいいのか。
そうでも思わなきゃ、これ以上やってられない。