じーじにとって、夜の玄関は常に明るくなくてはならないらしい。
以前の二人で暮らしていた家では、じーじの好きなようにできた。一晩中電気をつけておけばよかった。
誰も文句を言う人はいない。
しかし今は、娘夫婦と同居している以上、私たちの考えと折り合いをつけていかねばならない。
建て替えた今の家は、玄関の電気は人感センサーつきだ。人を感知して自動で電気が点灯する。
むろん、人がいなくなれば電気は消える。少しでもエコと省エネを考えてのことだ。
認知症の人は新しいことを覚えることができない。
リビングのドアは一部すりガラスになっているので、玄関が電気がついているかわかる。
玄関の電気が自動で消えると、じーじはリビングのドアを開け確認する。人感センサーのおかげで電気は点く。
しばらくすると、また電気は消える。またじーじはリビングのドアを開け確認する。
延々とこの行動が繰り返される。ブチ切れた私の金切声が発せられるまで。
認知症の人に合わせるほうが介護はしやすい。それは頭では分かっている。
たかが玄関の電気くらい好きにさせればいいと思う。
でも、できない。
なんで、なんでもかんでも認知症の人に合わせなくちゃならないの?
どうして、私たちは我慢ばかりしていなきゃならないの?
じーじのこだわりは、まだまだ続く。
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