約束のクローバー 3rd

約束のクローバー 3rd

あれから一年・・・
物語はまだまだ続く。

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公開収録ライブ。

それは誰もが想像もしなかった事。

未知の世界。

映画の中のワンシーンの為とは言え

こんな事は今まで無かったと思う。

名もそんなに知られていないアマチュアバンドが集められた。

そしてその中心で歌う人物”野田瑞希”

その人が歌えるのか?誰も知らなかった。

業界では歌える事さえ謎のその人物がどんなパフォーマンスをするのか?

歌唱は吹き替えか?

演奏はどうなるのか?

世間の注目は一段と大きかった。

 

誰もが不安と期待を抱える中で迎えたあの日。

世間が驚きと感動を覚えたあの日。

全てが記憶に残ったあの日。

誰もが興奮を覚えた日。

きっとその日は誰もが忘れる事のない日なったとそう思える。

 

あの日、全てが成功した。

そのライブの情報は数日後に解禁され世間に知らしめることとなる。

ほんの僅かな映像だったとしても世の中に衝撃を与えたのは確かだった。

 

 

    「芸能ニュースです。

     先月行われました”銀河彗”最新映画『シンデレラストーリー』の

     公開収録されましたライブにての最新情報が届きました。」

 

 

 

誰もが映画の公開を待ち望んでいる中.

僕はと言うといつも通りただ普通に仕事をしている。

あの日は夢だったんじゃないかと思えるくらいに本当に何もない。

覆面をしてバックバンドだった僕達は顔を見られる事も無かったし

ASSと言う機関ですべてを守られているから

世間がそれ以上に騒ぐ事も無い。

 

 

 聡   「全て終わったんだよね。」

 

 

と言う事はつまり

 

 

 聡   「・・・・連絡来るのかな、」

 

 

いつだったかの帰り道に、あの人との会話の中でそんな話になったのを思い出す。

ライブの時は忙し過ぎたから忘れていた。

 

 

 聡   「僕も話さないと・・・いけないよね。」

 

 

彼女との事。

今での事。

色々・・・あの人に伝えないといけないんだ。

 

 

    「サト?」

 

 

その声にハッとする僕。

振り返るとそこには母の姿が。

 

 

 七海 「ごめんなさいね、驚かせるつもりは無かったわ。」

 聡   「うぅん、平気・・・。」

 七海 「こんな場所で立ち尽くして。

     どうしたの?何かあって?」

 聡   「大丈夫、、、ちょっと考え事をしていただけ。。」

 七海 「そう。」

 

 

少し引っ掛かっているような空気だったけれど

そこはあえて聞かない母。

僕達は自宅へと一緒に向かう。

 

 

 七海 「珍しいわね、こんなに早く帰ってくるの。」

 聡   「繁忙期も終わったし、ちょっと一段落・・・。」

 七海 「そう。

     今まで忙しかったのだから、ゆっくり出来る時は

     体を休めるのよ。」

 聡   「うん。」

 

 

何て言う会話をしながら帰宅。

着替えを済ませてリビングに向かう。

母が夕食の仕度を始めていた。

流れているテレビからはニュース。

もっぱら話題は”銀河彗”。

 

 

 七海 「今でも不思議に思えるわ。

     あれは本当に現実だったのか、と。」 

 聡   「うん・・僕もだよ。

     あの場に立って、あの歓声の輪の中心にいた。」

 七海 「とても感動的な景色。

     本当に輝いていたわよ、皆。」

 聡   「そっか・・・」

 

 

こうしてニュースとかで見ると夢ではなかったんだという実感がある。

多分、バンドメンバーも同じ気持ちなんだろうって。

 

 

 聡   「みんなに会えたし、嬉しかった。

     由舞とか、伊緒姉ちゃんとか。」

 七海 「恭子も由舞も本当に楽しんだそうよ。

     向こうに帰った後に電話をくれたわ。

     サトには本当に感謝していると、そう言っていたわよ。」

 聡   「そっか・・・

     でも僕は何もしていないから・・

     あの中心にいたのは・・・」

 

 

あの人。

その人が持つオーラが最高に輝き

あの場にいた人を惹きつけた。

 

 

 七海 「母さんは、そうは思わないわ。

     確かに”野田瑞希”の存在は大きい。

     でもね、他にもいると思うの。」

 聡   「・・・・。」

 七海 「ずっと支えてきた”誰か”がね。」

 聡   「誰か・・・?」

 七海 「そう”誰か”。」

 

 

意味深な目線を残して食事の準備へと戻る母。

 

 

 聡   「・・・・・。」

 

 

♪~~~

 

僕のスマートフォンの音が鳴る。

手に取って相手を確認すると、その人物に驚きを隠せないでいた。