朝。 心地よい眠りから目を覚ますと、当たり前だが私の着衣に乱れは無かった。 思除留神と結界の力なのか? 思除留神を軽く取って碧澄のアホ顔の寝顔を見ようとしたら、反対の方に顔を向けていた。 残念。
イタズラもできない。起こすのも可愛そうなので、このまま寝かしてあげよう。
静かにベッドから出てから、台所に行きコーヒーを入れソファーに座りながら意味の無いネットニュースを流し読み・・・
未だに碧澄の起きる気配すらない。
コーヒーも飲み終わり、する事も無いのでベッドに戻ろうかな~
寝室に戻ると碧澄は半ば私の方に向きを変えていた。
まだ起こさないように静かにベッドに入り、碧澄の方に向きを変え
アホ面をしばらく拝見しま~す。 穏やかな時間だ。
結妃ちゃんも碧澄といる時はこの様な時間を過ごしているのかな?
羨ましいけど私も今、体験している。 楽しい~。
碧澄の無防備な顔はこんなアホ面なんだ~。
起こさない程度の、指の圧力で碧澄の眉毛・目・鼻・唇をなぞりながら遊んでみた。
起きない。 もう少し圧力を上げて・・なぞる。
まだ、起きない。 反応が無いと面白くない。 起きろ・・!
最後の手段、最終兵器発動。 碧澄の唇にロックオン!
「・・?愛、どうしたの? ビックリ・・?」
「なかなか起きないから、最終兵器を使ってしまったよ。」
「窒息するかと思った。」
「あぁ~、もったいなかったな」
「自分からしておいて、それは無いだろう」
「美味しかった?」
「それは、わからない」
「無駄なキスになってしまったか・・」
「意味。わからん?」 バカヤロー
「もう。してあげない・・」 フンだ!
「今日、石狩浜に行こうか?」
「ん~。部屋でゴロゴロしていたい」
碧澄は何で?みたいな顔をした。 茉郷との嫌な思い出がある浜なので行きたくなかた。別な所なら良いのだけれども、本当に碧澄と部屋でゴロゴロもしてみたかった。
「暇でない?愛がだらしなくダラダラ・ゴロゴロでイイなら、それでもイイよ」
「だらしなくは、いらない。でも本当に良いの。そうしたいの」
「わかったよ。じゃ~もう少し布団の中にいよう」
「うん。でも何もしないでね。 犯罪行為もな~し」
碧澄、我慢して耐えろ。私も耐える。
「わかった」 ごめんね・・・
そんな話をしながら・・・
「そう言えば、碧澄と結妃ちゃんが駅デパで、デートしている時にエスカレーターですれ違ってから1年位たつね」
「そう言えばそうだな。GWの頃だったか」
茉郷に会って気にいってもらえるために、服を探して買ってた時。
「早いね、あの時何か買いに来ていたの?」
「別に、何も目的はなかった。結妃が暇つぶしをしていただけ」
「そうなの。」
私は無意識に買い物袋を隠してしまった。後ろめたさがあったから?
「あの後、2回位 1F~8Fを往復した~」
「え!何もしないで?」
「そう。ただひたすらに・・」
「エスカレーターに乗っていたの・・?」
「姫の命令。貸を返せて」
「結妃ちゃんらしいけど・・怒らないの?」
「俺も用ないし・・」
信じられない。私なら切れるかも・・・
でも、そこで結妃ちゃんに会ったから今の私がここにいる。
結妃ちゃんに救われた私が・・。
その後に結妃ちゃんと会ったことは、まだ碧澄には言えない。
結妃ちゃんとの約束だから・・・
「その時、結妃が“あの人、誰”と愛の事聞くから、高校の時に“付き合って”て言って断られた人。て白状した」
その話は恥ずかしい~ごめんね。その時はDarkな女だから
「恥ずかしい~。それで?」 恥ずかしいけどモット聞いてみたかった
「キャンプの時から始まって・・・愛の事を色々話をした」
だからあの時に結妃ちゃんが声を掛けてくれたんだ。
ありがとう、結妃ちゃん。 ちょっと碧澄借りるね。
「碧澄。キスしてあげる」
と言いながら、美味しいキスを・・・
「女ってズルイよな。自分勝手で・・」
「そう?」 結妃ちゃんと私は、そうかもね・・・
「お前らは特に・・」
「複数形て言うことは、私と、結妃ちゃんと・・他の人も?」
「知らんは・・・」 バ~カ
「そろそろ起きようか?」と言うと
「朝飯作れ。それまで寝ている」
上から目線で怒っている。かわいい・・・
「トーストとサラダで機嫌を直してね~」
怒ってまたキスを待っている? ダメ~、私は勝手な悪女だよ。楽しい。
「もう、起きなよ。パン焼けたよ~」
「仕方がない。起きるか」
そう言いながらトイレ&顔を洗ってテーブルに
朝食を取りながら、碧澄が
「ドライブに行かないなら、近くのスーパー銭湯に行ってノンビリしない?」
「近くに有るの?」
「歩いて10分位。車なら直ぐだよ」
「いいね。歩いて行こう。お酒飲めるから」
「夕食もそこで食べればいいし」
「夕食は何か作って部屋で食べよう。」
ちょっと、恋人?同棲?気分になりたかった
「えぇ~?何作れるの?」
「失礼ね、作れるの?ではなく何を作るでしょ」
「・・・・?」 どうした碧澄。何、固まっている?
「じゃ、簡単に出来ているピザにスパゲッティにしない」
「それでもイイよ」 “それでも”は、どういう事。ムカッ!
「冷蔵庫にチーズとサラミ有ったからタップリと入れよう。私、よくやっているから美味しいよ。それに 粉のミートソースの素を使ってソース作ろう。」
「ミートソース、ナイスだよ。俺 好き」 ヨシヨシ
「ミートソ-スね、大学近くの喫茶店のが美味しくて、私の基本の味になったの。市販のは少し酸味が強くて・・そこのは少し甘めなの」
「へー、俺も少し甘めのが好きなんだ。そこの食べてみたいな」
失礼なヤツだな。私のを先に食べろ
「だから、私が作ってあげるって」
「今日は愛ので我慢するか」 殺すゾ
「今日は我慢してね~」 バカ碧澄の知らない部分が見えてきた
「コンソメも・・」 ここで、コンソメも来たか~
「はいはい、コンソメの素で作るシンプルなやつね」
碧澄の言うとおり。素人はコンソメは作れない、と言うより素で作るのが一番のベストな選択
「そうしたら、温泉に行く前に材料だけ買って少し仕込んでから行こう」
「うん、そうしよう。」
朝・昼兼用の朝食?を食べ終り買い物に・・・
しかし、勇んで買い物に行ったが買った物と言えば、牛ひき肉・ミートソースの素・玉ねぎ・ピザ・ビール・ワイン。あとは家に有るから いらなかった。 つまり酒が一番重たくメインになってしまった。
「ミートソースだけ作っておいて、後はその時に作ろう」
「愛におまかせ・・」 楽しい・・これが恋人気分? 経験したことのない幸せ感。
「結妃ちゃんもこんな事をしているの?」 聞いてみたかった
「気合入れる時はお昼から始めている」 ゲ・・
「すごい、負けた~」
「何が負けたの?」
「何か結妃ちゃんて・・不思議?。大人になったり園児になったり」
「理解できない所あるからな」
「でも私は好き。碧澄とキスをしている所を見ても、羨ましいだけで、嫉妬はもうないんだな~。何だろう?」
「恥ずかしい事、言うなよ。 俺が照れる」
「ごめん。思わず本音を言っちゃた。でも結妃ちゃんも私がキスをした時に喜んで見ていたよ。」
「だから、その話はもういらない」 照れている。かわいい・・
「また、よーく観たいな~。結妃ちゃんの濃厚なキスを・・」
「いい加減にしてくれ」 また、観るもーん。バ~カ
仕込みも終わり時計をみると、もうお昼を過ぎていた
「愛、そろそろ温泉行こうか。本当に歩いて行く?」
「うん、10分位なら歩くよ。」
「おれ、風呂上がりが楽だから、スエットで行くけど」
「私はどうしようかな?少しだらしないけど部屋着で行こうかな」
「スエットに近いから、街を歩いても平気だよ」
「じゃ、着替える。待ってて」
「Roger」 何がラジャーだ。バカ!
「おまたせ~。タオル買い物袋でイイよね?」
「イイよ。どうせ濡れるから。それに服装にピッタリ」
「微妙な言い方だな。よし行こう・・」
部屋着で外を歩くなんて、今まで考えた事がなかった。
それより、外の埃が付くのが気になっていた。 ま~イイか!
碧澄も私もダラシナイ?でも仲の良いカップルに見える?かな?
恥ずかしいけど、また街中の視線が欲しい・・あの時と同じだ・・
「碧澄、今までで一番変わっていた神社はどこ?」
「・・・一番は3個取っているな」
「すごい、何が3個?」
「変わっている・怖い・ウケる」
「ウケる?て何? それってどこ?」
「妖怪神社」
「妖怪神社???」
碧澄は歩きながらスマホの写真を探してみ見せてくれた
「PCにはまだ沢山有るけれど、一応これ」 携帯を借り写真を見ると
「これって、妖怪アニメの・・」
「そう、怖いだろう。」
「バカにしているね。一番ウケる~」
「愛、怖くないの?」 どこが!
「真面目に行きたくて行ったの?」
「ついでにだよ・・・」
こいつ、私をバカにしている。 でもやっぱり楽しい・・
しかし、写真を見ていると知らない女性と写っているのを見てしまった。
ヤバ。嬉しそうに写っている。誰なの?。
結妃ちゃんに見られたら、殺されるかも?
浮気? でも正式に誰とも付き合っていないFreeな状態だから浮気とは言わない。 結妃ちゃん公認? いや公認は私だけ・・のはず?
マ~美人だ。結妃ちゃん以外の女性だから、怒りが有るし嫉妬も有る。
この女性気になる! 碧澄、他にも遊ぶ女がいるの?
もしそうなら結妃ちゃんと二人で碧澄を殺す!
でも私にその資格はないのかも。彼女でもないし・・
碧澄にとって私は ただの大切な友達だけだから・・
楽しいけどテンションが下がってしまった。
私の早とちりか、誤解で面倒な事になるのもイヤだから、取りあえず今は見なかった事にして、知らないふりをしておこう
「ふ~ん!」 無意識に怒ってしまっている。気をつけよう・・
「・・ん? どうしたの?」 怒りオーラを出している?
「いや、別に・・他には・・」
「着いたから、また後で話す」 一息つく タイミングで良かった
休憩する場所を決めてから、最初は40分前後で上がる約束をして、お風呂に・・・
最初から温泉に浸かるだけなので、シャンプー等も持ってきていないし、少しゴワゴワするが備え付けで済ますつもりでいた。
ぬるめの露天風呂に浸かりながら、気になっていた写真の美人さんの事を考えてしまう。でも、どうしようも無いので態度には出さないように気を付けよう・・
碧澄、あの美人さんは誰?
戻ると碧澄は何やら携帯の写真を見ていた。
あの美人さんを見て、満足しているのか?
「ゆっくり入ったよ。でも磨きは碧澄が発情したら困るから程ほどにしておいたよ。」
「正しい選択だ。」 うるさい、スケベ碧澄
「何を見ていたの?」
「変わった神社の写真を探していた。」
「ふ~ん。Hな写真かと思った。ビール買ってくるね」
女でないのかよ~?
「ごめん。お願い」
ジョッキーとフライドポテトを買って・・
「意味のないカンパイ~」 いつも意味がないけど
「これを見て。八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の首を埋めて、そこに杉を植えたんだ。 それで“八本杉”と言われている所 鳥居が有るから神社だと思うけど神社名は無いと思う?」
「住宅街の中にあるの?公園みたい」
「当然、杉の木は植え替えられているけどね」
「ダヨね~細いし。でも伝承で今でも残っているのが凄いね」
「でも、今までに読んだ本で何かは忘れたけれど、“出雲国風土記”と言う記には “国譲りや八岐大蛇”の伝承の記述が無いんだって。一番の盛り上がる所なのに」
「え~。そうなの?古事記では一番の盛り上がりで面白い所なのに」
「出雲国風土記もDarkだな・・何かがある?」
「八岐大蛇の尻尾から出た、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)=草薙剣(くさなぎのつるぎ)三種の神器の一つなのに。」
「そうだね、三種の神器なのに。」
「嘘でも三種の神器の一つて記述するよね?」
「やっぱり出雲国風土記はDarkだ」
「愛、一眠りしようか?」
「いいね、少し休んでまたお風呂行こう」
「それまで、おやすみ」
マジ寝はするなよな~。 美人さんの事も有るけど、碧澄とこのノンビリ感は現実。 今は楽しもう~と。 おやすみ~