碧澄は私の要求(欲求)に戸惑っている
そうだよね、一緒に泊まっても何もしてあげないから?・・
でも、碧澄から求めて来たら受け入れるのに・・・
「ね~また、家に泊まって。そして会社に直行できる?」
「このままの姿で会社に行けるけど」
「それなら、また泊まって。ただし泊まるだけだよ!」
「え・・?」
「お願い。寂しい・・」 甘えると碧澄は弱い
「わかった。寝てやるか」
「良かった。“寝て”てはなく“寝るだけね”」 碧澄の腕をワザとらしく大きく振ってやった
「やめろ、恥ずかしい」
「私の嬉しさの表現!」結妃ちゃんの時は白昼でも振らしてるのに・・
私の家に泊まるのは2回目なので、緊張感も無く部屋に入れた。
「いつも綺麗にしているね」
「物を余り置かないようにしているから、スッキリ見えるからかな?」
ヤバイ。ハンガーに掛けていた“別れの殺し屋の服”見つかる!。
「はい、少し飲もう」 チーズとワインで・・碧澄が
「攻めているけど!あれて愛夢姉さんの?・・」
やっぱり気付くよね・・友達のとは言えないし
「うん、私の。」
「へー・・」 やっぱりそう思うよね、タイプ違うよね
「似合わない?」
「いや、別に。色んなの着るんだと思ってね。さぁ~飲もう」
やっぱり変だと思うよなー
「そうだね。飲もう。あ、お風呂沸かすね」
「明日、会社だから程ほどに飲もう」
1時間位か世間話をしながらも・・・
私は東京に行って彼と別れた事を、今言うかを悩んでいた。
「愛の方がお風呂に時間掛かるから先に入って。俺あとで覗くから」
「じゃぁ、先に入ろうかな。覗きは余計だからね」
「髪を流している時は、わらないだろうな」
「・・・お先にはいります・・絶対の覗くなよ!」
遥か昔から人間はこのような会話が有って “見てはいけない、覗きのタブー” が生まれたんだろう。と思うと西洋文化も含め神代の時代。
今も昔もテクノロジーが進んでも、人間の本質は変わらないと思うとバカだな~と微笑んでしまう。
結妃ちゃんや碧澄が好きだと言う香りのシャンプーで髪や体を洗い流して湯船へ・・。
あれ? この前と何か気持ちが違う?
それはドキドキや期待感が余り無い。自然な気持ちでいられるし、反対に悪乗りしそうな楽しい気分だ。
酔っている? いや大丈夫だ。
やっぱり彼と別れて自分で巻いた重い鎖を自分で解いた解放感なのかな? それとも碧澄が普通に側にいる安心感かな? そう思いながら湯船にたっぷりと浸かり今日の東京からの疲れを落とした。
「碧澄、遅くなってごめんね。磨きすぎた!」
「余り磨くなと言っただろう。眩しくて見れなくなるから」
「ごめん。今の私、碧澄には眩しすぎた?」
「今がギリMAXかな? これ以上磨かれたら、制御できない」
「じゃ、危険だからこのレベルでキープしておくね。まだ、上限に余裕有るけどさ~」
「愛、どれだけ、自信有るんだ?」
「碧澄の前だけしか言わないよ」 当然他の人の前では言えないし・・
「俺だけにしておくのが無難だゾ」
「知ってるよーだ。 お風呂いいよ、タオルとか置いてあるから」
「ありがとう。それじゃー、俺も磨いてくるは」
「いくら磨いても、何も無いから無駄だけどねー。行ってらっしゃい~」
碧澄の会話が楽しい。結妃ちゃんも含めて。
今でも友達は沢山いるけれど、こんな会話は恥ずかしくて話せないし、話した事も無い。私が下ネタ的な話をする事を誰も思ってないだろう。
自分はそのつもりがないのに周りが勝手に、お嬢様キャラにしている。
Darkな私なのに。
今の本当の私のキャラは碧澄と結妃ちゃんだけしか知らない。
そうだ、碧澄がお風呂に入っている間に、あの別れの服を妖艶に着て驚かしてみよう。
私の誘うような姿にどんな反応をするだろう? 豹変して襲いかかって来るのだろうか? 碧澄も茉郷と同じく寝る事しか考えなくなるのか?
それとも、“似合わない”と言われる?
その後に、このドレスを着て、ワザと思わせぶりな態度をとった後に、彼と別れて来た事を話そう。その為だけに購入した事を説明もしたい。
間違って碧澄に“いつもこの様な姿で夜の街に出掛けていると思われるのもイヤだから”
茉郷と別れる決意をして、碧澄や結妃ちゃんに無理を言って、今までの穢れを落とす為に佐久奈度神社に連れて行って貰ったのだから。
その報告とお礼?も含めて。
別れのドレスに着替え、攻めたお化粧は流石にお風呂上がりなので、スッピンで勝負。でもまだ乾ききっていない、梳かしただけの長めの髪が、自分で見てもイイ雰囲気を出している。
碧澄どんな反応を見せてくれるだろう?楽しみだ・・!
あぁ上がってくる! 隠れて寝室から出て行こう!
今になってドキドキ感がしてきた。
でもそれは楽しい気分のドキドキ感。
「あれ? 愛ぃ~」 よし、今だ
「なぁ~に~?」 自分でも変な返事だ 恥ずかしい
「愛!どうした? その・・」
「わたし、どう? 似合う?」
「綺麗だよ、それに今までの愛夢とは違う。メッチャ・・(エロイ)」
あれ? 思っていたのと違う返事
「綺麗? 今の私、男から見てムラムラする?」何、大胆に聞いている
「うん、それに誘いの態度をとられたら、その気になってしまう」
碧澄の答えで無い。やっぱり男だ。
「今、私を抱きたい?」 私、どうした?
「メッチャ、魅力的だし、抱きたいよ。」
碧澄でさえ私の妖艶さに勝てないのか・・
「それじゃ、抱く?」 私、また何を言っているの
「いや、愛夢が知らない女ならホイホイとついて行くけど、俺の知っている愛夢だから、こんな色気や妖艶さに誘われただけでは抱けない。上手く言えないけど・・何か気持ちが、気分が整わなければ愛夢は抱けないよ」
その言葉を聞いただけで、涙がボロボロと溢れてきた。
それは碧澄の安心感と優しさ。
それに今でも私の事を大事にしてくれているから
「愛、ゴメン。大丈夫? 誘われたのに抱けないと断って恥をかかせて、しまったね。ごめんね。」 私は思わず碧澄に抱き着いた
「違うの、嬉しくて泣いてしまったの」
「どういう事?」
「男はチョット誘ったら直ぐ寝る事しか考えないのに、碧澄は私の事を大事にしてくれているから嬉しくて。やっぱり碧澄は碧澄だ」
抱き着いた時やっぱり碧澄の体に変化が有ったけど、言葉の通りに我慢しているいんだ。 まだ抱き着いたままで
「碧澄、実はね土曜に東京に行って彼と別れて来たの。その別れ方がこのドレスを着て、攻めのお化粧をしてホテルのレストランで・・・その気にさせる意味有りの言葉と仕草で食事をしながら過ごしたの。 彼はもう寝る事しか考えていない様だった。 碧澄とは真逆だよね。 そこで彼の欲求がMAX状態の時に、別れる事を言ってレストランを出たの! その後何度も電話来ているど無視している。その時の攻めの服」
「そうだったのか」
「私の攻めの妖艶さも碧澄に見てほしかったの。あと綺麗、魅力的て言われて嬉しかった。てっきり、碧澄の事だから“愛には似合わない”て言われると思ってたよ」
「本当に魅力的だよ」 碧澄から離れて
「ごめんね、」 碧澄が我慢しているのがわかる。空気を変えよう
「碧澄、もう着替えた方がいい? それとも、まだ滅多に見れない愛夢を見ていたい?」
「おれ、男だから妖艶な愛をもっと見ていたい」
「う~ん。素直なんだから」 嬉しい、似合わないと言われると思ってた
「愛、飲み直そう。隣に座って・・」 碧澄の左側のソファをポンポンと叩いて ココと言っているのでそこに座り
「明日、仕事大丈夫かな~」
「少し飲んだら寝よう」
「そうだね」 別れ方を詳しく話したり、結妃ちゃんの事を考えていた事を話したりしていた。
「そうか、それで結妃のやつ何かを感じたんだろうな。だから電話をよこしたんだ」
「電話来た時にお風呂に入っていたの」
「忙しいかったんだな」
「でも、これでスッキリしたよ。 私もフリーのお姉さんです」
「なんで、わざわざ、その気にさせておいての、落としたの?」
「何か悔しかったからかな? それに私 DARKなところ有るし悪女だから落としてやりたかったの。怖いでしょ」
「俺の知っている愛夢は、優しい女だよ」 思わず碧澄の唇にロックオン
「今の私は、悪女。キスも美味しいでしょ」 無意識に誘っている~
「ワインの酸味でよくわからない」 バカヤロー
「じゃあ、わかる様にもう一度・・・どう?」 少し濃厚に・・
「大変、美味しいです。ごちそうさま~」
ごめんね、碧澄。 我慢させて・・でも我慢させるのも私 “快感”になってきた感じ。
「そう言えば、帰る前に“日比谷神社”寄ってきた」
「あー、あそこの確か “豊受大神(稲荷神)・祓戸四柱大神”をお祀りしてた・・はず」
「そうみたい。ホテルから近くだから寄ってきたの。佐久奈度神社で穢れを流してお願い?したでしょ。 それで彼と無事別れたお礼と報告をしてきたよ」
「そうなんだ。穢れは祓戸四柱でいいけど、完璧に別れるなら“磐長姫”を祀っている神社だな。もう別れは完了したからイイけど」
「うん、古事記に“木花之佐久夜毘売 (コノハナサクヤヒメ)”のお姉さんで登場していた」
この前買った“古事記”に登場していた。読んでて良かった
「そう、良く知っていたね?」 へへ~ダ
「何となく覚えていたよ」
「神社によっては、女性好みの“恋愛成就”を謳っているけど本質は“別れ”だよ。」
「ふ~ん!そうしたら、こんな言い方したら神社さんに怒られるけど、女性集め?」
「ん~。そこは難しいところ。神様のご利益はその神様の“本質”と成し遂げられなかった事なんだ。つまり“磐長姫”の成し遂げられなかったのが“恋愛成就”。だから、間違ってもいないよ」
「それじゃ、その神社が“恋愛成就”と言っていればそれでいいのね?」
「そうだね。 因みに面白い神社があるんだよ」
「え~、それってどこ?」
「島根県に有る古社で“佐太神社(さた じんじゃ)” なかなか興味の有る神社だよ。詳しくは、また話すけど沢山のご利益が有る中で“悪切祈祷(あくぎりきとう)”をしたり、良縁祈願・縁切祈願(男女間)なんだ」
「何か興味湧いて来た」
「佐太神社の摂社で“田中神社”と言うのが有ってここが“良縁祈願・縁切祈願”なんだ。背中合わせに社が建っていて、東社(磐長姫命)で悪縁切り・西社(木花開耶姫命)で縁結。完璧に別れられるよ」
「ん~。今度連れていって~」
「それに、出雲大社に神様が集まる、神在祭の後に佐太神社で“お忌さん”と言われるお祭りが有るのだけれど。これは完璧に“伊弉冉尊(いざなみのみこと)”の法事だね。“お忌”だから。 それで神様が全国から集まると思うよ。母親みたいなもんだからね」
「へー?そこも何か神様のDarkSide な所だね?」 “連れて行け”は無視かい!
「出雲も出雲大社をはじめ沢山のDarkSide な所だよ」
だから今度連れていって・・・て
「じゃ、今度は出雲に行こうかな?」 やっと来た
「うん。行きたい」 甘えてやったけど・・抱かせない!
「さ、寝ようか。私、着替えるね」
「もう、拝めないのかな~。その雄姿を」 雄姿とは何だ?
「また、いつかね~」 今度は結妃ちゃんとかな?
前と同じようにベッドの下に碧澄の布団を敷き別々に布団に入った。
このまま寝むれるだろうか?
碧澄は何を考えているだろうか?
ごめんね碧澄、我慢させているけどこのまま寝よう・・・
「碧澄、おやすみ」
「明日ね、おやすみ」・・・・
私の方が先に起きて朝食の支度、と言ってもトーストにベーコンエッグ。
まだ焼かないで準備だけ。碧澄を見るとまだ寝ている。
昨夜はお互いに我慢をして、求めずにそのまま寝てしまった。
でも私達の関係はこれで充分満足だ。
高校時に別れて、この旅行に行くまではこんな仲に戻れるとは思ってもいなかったから。
ククリヒメ“菊理媛尊”=結妃ちゃんのお蔭だ。
碧澄が寝ているから時間まで碧澄の布団に入ってみようと・・・
この前は正面に入られたから、私は後ろから攻めてみよう。
肩に軽く手をまわして甘えるように、気付かれないように体を寄せよう~と。 碧澄を捕獲した。幸せと言うより楽しい。
何だろう? この不思議な感覚?
時間までこうしていよう~と。
「碧澄、朝だよ~」 後ろから揺さぶり起こした
「起きて~」 碧澄が寝返りをして私の方に向きを変え、イキナリ抱き寄せた
「ひえ~、犯さないで~」 楽しい・・
「犯罪になるのか?」
「うん、犯罪」と言って私からキスをした。
段々と大胆になって行く私。
「そろそろ起きようか。時間無くなるよ」
「わかった」 碧澄が顔等を洗っている間に朝食を準備して
「食べよー」
「朝からごめんね。頂きます」
ご飯を食べながら聞いたら、私がいつもの時間に出れば碧澄も間にあうみたいだ。
「碧澄、一緒に部屋を出たら、他の人に見られるのも嫌だから、先に部屋を出て、少し行ったところで待っていて」
「いいけど。見られるの嫌?」
「嫌だよ、朝帰りの男なんて、恥ずかしい」
「わかった、見つからないように出る」
「よろしくね」
そんな事を言いながら軽いお化粧も終わり、出勤の準備完了
「そろそろ行こうか」
「待って、私ドアを開けて周りを偵察するから。何かドキドキするね。スパイみたい」
「わかった。様子みて」 ドアを開け出て偵察
「今いいよ。早く出て」
「了解。後でね」 碧澄を送り出し少してから、私も部屋を出て碧澄のところに
「誰かに見られた?」
「いや、誰にも見られなかったゾ」
「良かった。楽しい」
「何が楽しいの」
「何となく・・」 今、何をやっても肩の力が抜けていて本当に楽しい。 大通り駅で降りて
「愛、じゃまたね。一晩楽しかったよ。妖艶な愛夢も見れたし」
「私も楽しかったよ。何かの時に 攻めのお化粧とストッキング付きのフル装備で、悪女になってあげるね」
「ヒエー。鼻血を出して即死かも。」 鼻血では死なないて・・
「秒殺はしないよ、生殺しかな」
「そっちの方が怖~い。悪女だ」 そう私はDarkSideな女
「昼間はお嬢様だからね~。周りがそう思っているだけ、なんだけど」
「女は怖いな~。愛夢も結妃も」
「じゃ~またね。」
「うん、また週末でも」
「わかった。バイバイ」
「バイバイ」
碧澄と別れて私も会社へ・・
今週も仕事が始まる・・そして・
そこには、新しい自分がいる。