出てきた。
見間違うはずもない、龍二だ。
女も出てきた。
最近の人妻は人妻らしくない人が多いが、
いかにも人妻らしい風貌である。
簡単に言うとあまりおしゃれに気を使っていなさそうな
普通の主婦。
その女は、私がいつも乗っていた
龍二の車の助手席に
当たり前のように乗り込む。
ラブホテルから出てきた二人を見るより
そっちの方がショックだった。
その場に乗り込んでも
龍二が「今日初めてだ」とか言えば
今までの苦労が水の泡になる。
龍二とは話はできない。
あいつは嘘つきだから。
誠意のかけらもないろくでなしだから。
やっぱり、女だ。
あの女に、この証拠を見せて本当のことを聞き出そう。
そんな事を考えながら
ビデオカメラに写る二人を撮り損ねないように
集中してピントを合わせた。
車は出口に向かって
すなわちこちらに向かって走り出した。
私がいることがわかっただろうか。