出てきた。


見間違うはずもない、龍二だ。




女も出てきた。


最近の人妻は人妻らしくない人が多いが、


いかにも人妻らしい風貌である。


簡単に言うとあまりおしゃれに気を使っていなさそうな



普通の主婦。






その女は、私がいつも乗っていた


龍二の車の助手席に


当たり前のように乗り込む。





ラブホテルから出てきた二人を見るより


そっちの方がショックだった。





その場に乗り込んでも


龍二が「今日初めてだ」とか言えば


今までの苦労が水の泡になる。





龍二とは話はできない。


あいつは嘘つきだから。


誠意のかけらもないろくでなしだから。





やっぱり、女だ。


あの女に、この証拠を見せて本当のことを聞き出そう。





そんな事を考えながら


ビデオカメラに写る二人を撮り損ねないように


集中してピントを合わせた。





車は出口に向かって


すなわちこちらに向かって走り出した。




私がいることがわかっただろうか。




常備していたビデオカメラをセットした。




今、午後4時半。


相手は人妻だから5時にはラブホテルを出るはずだ。


ラブホテルの駐車場の出口で待つことにした。





路上駐車だが、駐車場の中の龍二の車がよく見える場所。


少し遠いが、二人が車に乗り込むところが撮れればいい。


女の顔も撮れれば充分だ。





そう思いながらビデオカメラを片手に


常に焦点を車に合わせる。





このチャンスを逃してはならない。


もう、今日しかない。


失敗は許されない。






今日は朝から龍二の家の前で張り込み。


怪しいと踏んだ日である。


しかし、少し目を離した隙に車で出かけた。




やっぱり今日なんだ。


女と今日会うんだ。




しかし、見逃してしまった。


せっかくのチャンスだったのに。






ああ~これでまたしばらく証拠はつかめない。


大体週一のペースで会っているようだから・・・





今日は諦めて仕事に行こう。








四時くらいまで仕事し、帰ろうとしたが


どうしても気になる。






だめもとでまた探偵をやってみた。





以前私と何度か行った事のあるラブホテルに


なんとなく向かう。






龍二の車があるかどうかだけ確認して、


帰ろう。と・・・









見つけた!



龍二の車がラブホテルの駐車場に止まっている。


なんて偶然。


虫の知らせか、神様の思し召しか・・・




さぁどうやって証拠を残そう。