金昌国先生 ご逝去 | 岩下智子「笛吹女の徒然日記」Tomoko Iwashita

岩下智子「笛吹女の徒然日記」Tomoko Iwashita

フルート奏者 岩下智子が綴る気ままな日記です。

こんにちは、フルーティストの岩下智子です。


恩師である金昌国先生が2022年7月15日午前2時30分にお亡くなりになりました。80歳でした。


日ごとに先生との想い出が走馬燈のように浮かび、寂しさが増しています。ただただ感謝の気持ちで一杯です。


私は、金先生がドイツから帰国されてすぐ、東京藝大最初の学生で、大学院までの5年間、お世話になりました。当時、先生から放たれるドイツの香りを目の当たりにしながら、大変貴重な話をたくさん聞くことができ、活気のあるレッスンをしていただきました。学生時代には、木曽福島のH.P.シュミッツ先生のマスタークラスなど、金先生は率先して私たちに勉強の場と刺激を与えてくださいました。

そして、アジアの芸術友好交流を志していらした先生の姿勢に感服し、アジア・フルート連盟日本支部としてご一緒に何度か中国、台湾、韓国で演奏させていただいたことは、かけがえのない経験でした。

金先生はその後、東京藝大を退官されたあと、武蔵野音楽大学で教鞭を執られ、引き続き、後進の指導にあたっていらっしゃいました。私も現在、武蔵野音大で教えていますが、そこでも、金先生とご一緒にお仕事ができて、傍らで先生のお姿を拝見できたことは有り難いことでした。闘病をしながらも、最後まで車椅子で大学にいらしていた先生の精神力には頭が下がりました。


金先生、どうぞ安らかにお眠りください。


私は不肖の弟子でしたが、これからも先生への感謝の気持ちを忘れずに、先生の志を、少しでも継いでいくように努力したいと思います。


ここのところ、日本のフルート界を牽引されてきた巨匠たち、野口龍先生、植村泰一先生、そして、金昌国先生と続いてご逝去され、とても淋しく、心から哀悼の意を表します。


2022年7月18日

岩下智子


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