こんにちは、フルーティストの岩下智子です。
ご存知のようにメシアンは、1962年に結婚したばかりの夫人のイヴォンヌ・ロリオと一緒に来日しています。彼の『トゥランガリラ交響曲』の日本初演に立ち会うためでした。そのときにメシアンは軽井沢、宮島、奈良、山中湖など各地を旅行して、その風光明媚な日本に感銘を受けるのです。
このときの感動をメシアンは『七つの俳諧』という作品にまとめています。
『七つの俳諧』
1. 序曲
2. 奈良の公園と石灯籠
3. 山中カデンツァ
4. 雅楽
5. 宮島と海中の鳥居
6. 軽井沢の鳥たち
7. コーダ
このときメシアンは、軽井沢の星野温泉に宿をとり、近くの「野鳥の森」に鳥たちの声を採譜しにいきます。鳥類学者でもあったメシアンは、すでに50種類もの鳥の鳴き声を聞き分けられたそうですが、軽井沢の鳥たちは、彼にとって新鮮でした。
「日本の鳥たちの歌を、特に東京から約100キロメートルほどのところにあって鳥たちが1番たくさんいる軽井沢で聴きました。ウグイスはまず長くひとつの音を引き、それを膨らませて、勝ち誇ったような抑揚抑格で終わります。またキビタキは、黄色がかったオレンジ色と黒との小鳥で素晴らしいヴィルテュオジテで、たいへん旋律的な音色の音型を繰り返し発します。」
(『オリヴィエ・メシアン その音楽的宇宙』音楽之友社 より)
私も軽井沢に滞在しているときは、いつもこのメシアンの言葉を思い浮かべながら、鳥たちの声を楽しんでいます。