ライネッケ『水の精 ウンディーヌ』と文学 | 岩下智子「笛吹女の徒然日記」Tomoko Iwashita

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フルート奏者 岩下智子が綴る気ままな日記です。

こんにちは!
フルーティストの岩下智子です。

ライネッケ作曲『ウンディーヌ』は、私の大好きな曲のひとつで、大学生のときから何度も何度も演奏してきました。コンサート回数も数えきれないほどです。

そこで今回は、その『水の精 ウンディーヌ 』に関連して、その音楽と文学について、過去のブログに少々書き加えてみました。

ギリシア神話に出てくる「ウンディーネ」(水の精)は、多くの文学者、画家、作曲者によって、題材として昔から繰り返し取り上げられてきました。

フルートの作品としては、ライネッケ(1824-1910)の『水の精 ウンディーヌ』があり、4楽章からなる、美しく写実的な曲です。
それを演奏するにあたり、私は、ライネッケと同じくドイツ・ロマン派の作家フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケー(1777-1843)の「水妖記 ウンディーネ」(1811) という本を皆さまにお勧めします。

ストーリーは、ドナウ河地方の城に住む若い騎士フルトブラントが森に迷い込み、そこで知り合った水の精ウンディーヌとの燃えるような恋をしますが、その後
裏切り、失望があり、そしてクライマックスは二人のドラマティックな死で終わります。フケーの文章から様々な映像が浮かび上がってきます。
フケーは、この物語を書くにあたり、16世紀の錬金術師パルケルススがラテン語で書いた『水の精、風の精、土の精、火の精、その他の精霊の書』(ズートホフ版全集、第14巻)という論文を挙げたそうです。

ライネッケの音楽からも、このフケーの物語のような、美しいドイツの森、湖、水の様子が目に浮かび、特に水の表現は、哀しくもあり、激しくもあります。終楽章出だしの荒れ狂う水の動きには、心臓がバクバクします。そして、最後に出てくる救済の旋律は、ライネッケがこのロマンティックな壮大な物語を平安に終結させ、聴き手を落ち着かせてくれます。

ぜひ、この本とともに、ライネッケのソナタ『水の精 ウンディーヌ』をお楽しみください。


Flutist Tomoko Iwashita's blog.-ウンディーネ


音楽になったウンディーヌは、他にも、
リムスキー=コルサコフの『サドコ』
ドビュッシーのピアノのための前奏曲『オンディーヌ』、管弦楽曲『シレーヌ』、
ホフマンのオペラ『ウンディーヌ』
ロルウィングの『ウンディーヌ』
ボロディンの『海の女王』
ドヴォルザークの『水の精』『ルサルカ』
ヘンツェのバレエ音楽『ウンディーネ』
三善晃の音楽詩劇『オンディーヌ』などがありますね。

こちらで演奏します。
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◾︎岩下智子コンサート情報
ONFコンサート
2017年11月26日(日)14時、18時の2回公演、
ライネッケ作曲『水の精 ウンディーヌ』他
フルート 岩下智子
ピアノ  石橋衣里
新宿ドルチェ楽器アーティストサロン
チケット 3500円
お問い合わせ: 03-5339-8383