天然女子高生と気弱なストーカーが繰り返す、週に一度の奇天烈な逢瀬の行き着く先は――?(「金曜のバカ」)

バカバカしいほど純粋なヤツらが繰り広げる妄想と葛藤! ちょっと変でかわいい短編小説集。

 

 


 

 

●感想レビュー

バカバカしいけど、在り来たりな青春小説ではなく、少し不思議な・・・それでいて現実にありそうな短編集。

 

『金曜のバカ』
女子高生と変態ニートが主人公。
女子高生が級友に内緒でやっているのが何なのかをミスリードさせて面白い。

合気道ではなく、違った想像をしてしまった人も多いはず(笑)


女子高生へのストーカーを切っ掛けにニートが社会復帰し、合気道を通じて関係を深めていくのが面白く、ラストで2人は関係が進むのか? 終わってしまうのか?

『星とミルクティー』
見知らぬ女の子と天体観測をした思い出を『出産連絡を受け、病院に向かうサラリーマン』が振り返る。

彼女とは二度と再会する事はなく、淡い恋愛が滲む。

 

そんな思い出を踏まえて生まれてきた娘に名前を付けるのが感動的。


『この町』
田舎にいる自分に嫌気がさし、恋人とのヒミツの小旅行を計画し、実行する男子高校生。

東京に旅行に行く自分を過大評価し、田舎である日常をバカにするが、彼女にフラれて1人で東京に行く事になり、見方が少しだけ変わり、不安と孤独を抱えながら先が見えない東京旅行へと出発する。

『僕の愉しみ 彼女のたしなみ』
気になる女子を恐竜展に誘うが、恐竜オタクである事をバレるのをさけ、つまらなそうに見えてしまい、彼女に自分の事を告白する。

 

彼女も自分と同じくらいの趣味熱量を持っていたオチが良かった。

『ゴンとナナ』

吹奏楽部を退部した女子高生、彼女を慕い追いかける男子後輩。

このまま恋愛に発展し、吹奏楽部に復帰するのか?

そんな簡単にはいかず、男子後輩は別の女子に乗り換え、主人公はモヤモヤ気分で飼い犬に話しかける。

 

シーンは変わり、イヌ目線で人間生活を観察し、人生観を語るのが印象的でした。