広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性ユカリと出会う。
外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく――。


実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く。彼女は死んだのか? ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜を彷徨う。驚愕し、感動する、恋愛ミステリー。

 

 

 

 

 

 

●感想レビュー

あらすじを読むと、末期の患者と医者が恋愛関係になり、彼女が亡くなり、医師が悲しみに暮れる・・・

そんなベタな携帯小説なオチをイメージしてしまいますが、ラストが意外で驚きでした。

 

病院を巻き込み、遺産問題に取り組み、法律違反を犯しながらも患者の事を考える院長。

それは患者を入れ替え、遺産相続を狙う悪人から守り、患者の望む最後を迎える・・・と思ったら主人公が広島から実習にやってきて院長に疑いの目を向けられていた。

 

そして実際に亡くなったのは別の女性でお互いが惹かれ合っているからこそ、死んだことにし、少しの間だけ転院していたというラストは驚きでした。

 

奇跡が起きたワケではないので彼女の病気は変わらず長くは生きられない。

そんな彼女を損得勘定なしに恋人同士になり、お互いが幸せそうなラストを迎えたのは感動的でした。

 

また、彼女が名探偵ばりに主人公のトラウマである『なぜ父親が家族を見捨てたのか?』を解決したシーンも好きですね~

トリック解説シーンでまさにミステリーな部分でした。