「お前は、ただの物知りになりたいのか?」
夏木林太郎は、一介の高校生である。夏木書店を営む祖父と二人暮らしをしてきた。

生活が一変したのは、祖父が突然亡くなってからだ。

 

面識のなかった伯母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。

トラネコは、本を守るため林太郎の力を借りたいのだという。
痛烈痛快! センス・オブ・ワンダーに満ちた夏川版『銀河鉄道の夜』!

 

 

 

 

●感想レビュー

しゃべる猫に導かれ、異世界に冒険に行く主人公。

不思議な世界で本を救う手段は、剣でも魔法でもなく・・・対話。

 

相手の矛盾を指摘し、自分の意見を押し付けるような討論ではなく、相手の話をしっかり聞き、自分の考えを伝え、対話を通じ、相手の信念を理解し、本を解放し、成長する主人公の心情が良かった。

 

本を救うといっても敵キャラは、『本を好きだけど、現実の本離れをなんとかしたい』という手段が少し空回りした感じ。

読みやすいけど、内容の複雑さが潜んでいる感じ。

 

単純な冒険談ではない、面白かったです。