「お父さん、お母さん、産まれてきて、ごめんね。」

村上透は高校二年生。

学校で理不尽ないじめを受けながらも、誰にも頼ることが出来ずに、苦しみの日々を送る。

 

誰も助けてはくれない。みんなが、透をバイ菌扱いする。

両親も、姉妹さえも、相手にはしてくれない。

 

……ハワイで出会った少女のことを想いながら、苦痛から逃れるため、最後の決断を下すことになる。

 

 

 

 

●感想レビュー

かなりの鬱小説・・・冒頭で『主人公の自殺』が新聞記事な感じで読者に伝えられる。

主人公がどんな末路を辿るか・・・分かりながら小説を読んでいきますが・・・主人公は救われない。

 

ハワイで会った少女だけが主人公にだけ優しくするが、それ以外の人物は主人公を見下し、罵倒し、迫害し、暴力を振るう。

イジメっ子だけでなく、クラス単位、学校の生徒単位、教師までもが主人公に敵意を向けるのがホラー。

 

一部の教師が隠れて暴力や暴言を振るうのではなく、校長や教頭といった関わりがない教師以外は担任教師も教科担当も、保険医も主人公に敵意を向ける。

 

暴力や暴言や差別に躊躇がなく、『これは昭和が舞台なのか?』と思ったら携帯電話が生徒が持っているので平成や令和らしくい・・・

 

ここまで多くの人に見下され、イジメられる主人公・・・容姿が醜いという事だけど・・・ここまで迫害されるのは・・・

最後の砦であるネット世界にも見放され、主人公は新聞記事の通りになるラストを感じさせる。

 

イジメっ子や教師に復讐するのではなく、自殺を選ぶ・・・迫害され、心が潰された人間には恨みや復讐といった部分も無くなってしまうのかなぁ~