「世界を変えるにはどうしたらいいんだろう?」――あなたも自分なりに考えてみてください。
アヤが引っ越した先は、なんと20年前?!――小学6年生になる直前の春休み、突然引っ越しすることになった彩人(アヤ)。

 

おさななじみで中学受験の勉強にはげむ連司(レン)。現在と過去にわかれて過ごした、男子ふたりの視点でえがいた1年間の成長物語です。

 

妹がいじめられていることを知り、自分が友だちにしていたことに気づいたレン、ちょっとしたことで仲間とけんかしてしまったアヤ。なんとかしようと、それぞれ行動を起こします。

 

 

 

 

 

●感想レビュー

タイムスリップ物ですが、あまり物語に影響が無い気がしました。

過去に出会った教師に『世界を変えるにはどうすればいいのか?』と質問した主人公。

その教師が20年経ち、校長先生になって現代の主人公にアドバイスを送る。

 

そんな感じですが、『過去は過去の主人公』、『現代は現代の主人公』とシーンが切り替わり、小説は進んでいきます。

タイムトラベル小説でよくある、『過去と現代で協力して問題を解決する』といった感じはなく、それぞれの学校で友達関係、イジメ問題に主人公達が考え、答えを出していく。

 

過去と現代にいるので連絡を取る手段がない。

そうした設定は面白いですが、お互いの問題に関わりがなく、『過去の時代に転校』じゃなくても『外国、北海道と沖縄』のように遠く離れた学校環境で問題ない気が・・・

 

一番読んでモヤモヤしたのは、主人公が関係に過去の時代に介入し、それを阻止されない事。

校長先生、祖母と母親の確執、パン屋さんに『未来にまた来ます』と宣言・・・こうした事はなぜ許されるのか?

 

また、タイムカプセル開封の直前で小説が終わるのが最もモヤモヤ・・・

子供のままの主人公、20年が経ち成長したクラスメイト達・・・

数少ないタイムトラベルシーンなのに・・・それが描かれずに話が終わるのは非常にモヤモヤしました。