会社員時代に

ある専門誌のインタビューを受けた。

 

プロのカメラマンさんが

白い傘みたいなのを広げたりして

かっこいい気分になった。

 

インタビュアーさんが言った。

 

正確に原稿を作るために

お話、録音させていただきますね。

 

わ、なんだか緊張する。

 

でもテーマは私の得意分野。

 

私は一時間ほどベラベラと話をした。

 

そしてそれから数週間後、

送られてきた最初の原稿を読んで

びっくりした。

 

言ったことと微妙に違う箇所が

たくさんあるのだ。

 

だ、誰がこんなこと言った……

 

静かな怒りすら湧いてきた。

 

 

 

 

ところで最近、ある大きな会議に

裏方として出ることがあった。

 

偉いおじさんが

たくさん出席している会議だった。

 

私の役割は、

そこで話された要点をまとめて

後日資料にすること。

 

正確を期すために

会議の会話を録音した。

 

会議後、録音を聞き直した。

 

もう一度聞き直した。

 

さらにもう一度聞き直した。

 

気が狂いそうになった。

 

だって何回聞いても何が言いたいのか

わかんないおじさんがたくさんいるんだもの。

 

話に主語のない人はいっぱいいるし

逆に、主語はあるのに述語が一向に出ないまま

他の話になっちゃう人もいる。

 

「要点は3つあります」と

頭良さそうに話始める人に限って、

3つちゃんと言った試しがないという不思議。

 

もーおじさんてばー!と思い始めた瞬間、

あっ、と思った。

 

数年前の私のインタビュー……

 

あの時、私も同じように

分かりにくい話し方をしていたのかも。

 

述語のない文章を話してたのかも。

 

 

 

 

以前、プレゼンだかディベートだかの

研修に出た時のこと。

 

話しのプロの先生が、

こんなことを言っていた。

 

話し方が一番参考になるのは落語家。

 

そう思い出して

こないだ笑点見たら感動した。

 

素人でもすぐわかる明らかな差は3点。

 

1. 話し方がゆっくり

2. えー、とか、そのー、とか言わない

3. 文章が必ず完結する

 

文字にすると、たったこれだけの差。

 

でもこれで、相手への伝わり具合は全然違う。

 

どんなにいいこと言ってても

人に伝わらないんじゃ意味がないもんね。

 

私も真似しよう。

 

数年前の反省とともに

そう、心に決めたのだった。