以前、雑誌が主催したパーティーに

たまたま参加した時のこと。

 

ある女性が子分みたいな女性を

3人連れて参加していた。

 

あ、あまりエレガントな表現じゃないのは

重々承知してるのだが

これ以外に適当な表現が見つからないのだ。

 

その親分は、フィンガーフードを食べながら

ずっと面白おかしく毒を吐いていた。

 

そして、それを聞いた子分が超ウケている。

 

その毒舌、

最初はあるママタレのことだった。

 

次に、お金持ちとの交際が発覚した

ある女性タレントのこと。

 

でもって、次は婚活女子全般のこと。

 

そして遂には、そのパーティーに来ていた

見ず知らずの華やか系女性のことを

ネタにし、笑い始めた。

 

あれは毒舌じゃなく、ただの悪口だった。

 

ただ一方で、

毒舌って聞いてて面白いものもある。

 

例えば芸能人なら、

マツコデラックスさんとか。

 

彼の話す毒舌はまったく嫌味がなく

それでいて、みんなが共感できるもんだから

聞いててスカッとさえする。

 

同じようなことを話しているのに

マツコさんが話せば楽しい毒舌、

親分が話せばただの悪口。

 

その違いは一体何なのだろうか?

 

 


私の知り合いに話しのプロがいる。

 

彼と最初に会ったのは、

会社員時代のプレゼンの研修だった。

 

彼は講師、私は受ける側にいた。

 

話す技術を教えるプロだけあって

研修中の彼の話はとてつもなく面白かった。

 

その彼が

こんなことを言っていたことがある。

 

毒舌は

自分がネガティブな感情を持ってない

ネタだけにしなきゃダメ。

 

本当にムカついている相手のことは

どれだけ面白おかしく言っても

人には悪口にしか聞こえない。

 

人は、耳や目に入ってくる情報以上に

空気や行間から相手の感情を

感じ取る生き物だからだという。

 

なるほど。

 

ということは親分は、

ママタレや、金持ちゲットタレントや

婚活女子に、何かしらの

ネガティブ感情を持ってたんだろう。

 

侮蔑や見下しなのかもしれないし

羨望や嫉妬だったのかもしれない。

 

一方で、マツコさんには

そんな感情は一切なく、ただみんなが

共感できるネタを提供してくれてるって

ことなのだろう。

 

 

ところで、その彼と最初に会った研修で

彼も結構、毒舌を吐いていた。

 

それについて

「ネガティブな感情はないネタなんだね」

と言ったら、彼からこう返ってきた。

 

俺は、俺が愛を持ってる人のことしか

ネタに使わない。

 

ネガティブな感情がないどころか、

大きなプラスの感情のある人のことだけ

毒舌対象にするという。

 

話しのプロがそういうくらい

毒舌の扱い方は難しいってことなのだ。

 

自分の感情は、どんなに綺麗に

ラッピングしても相手に伝わる。

 

だから、隠したい感情を持ってるなら

その話題には触れないでおく。

 

それが鉄則ってことだね。