カウンセリングでは人間関係のお悩みが多く語られますが、ハラスメントが疑われるケースも珍しくありません。そして、被害を受けやすい方々に共通しているのがとても受身的だということです。

 

受け身が悪いと言っているのではありません。戦えと言っているのでもありません。

 

ただ、ずっと受け身のままだと、攻撃的な人のかっこうのターゲットになってしまいます。残念ながら、攻撃的な人はどこにでも一定割合で存在するので、たとえ異動や転職をしても、出会ってしまうリスクは避けられません。

 

では、どうしたらいいか。

 

簡単に言えば、常に受け身という姿勢を変えることです。じゃあ反撃すればいいのかと思いがちですが、そうではありません。

 

実は、受け身と攻撃は表と裏で、どちらも自信がないことが根っこにあり、その表現が受け身か攻撃かの極端にでているだけなんです。だから、攻撃的な人は、意外と自分が弱い立場になったときは突然態度が豹変したりしますよね。

 

では改めてどうしたらいいか。

 

まず、もめたくないから自動的にがまんする、という意識を、いざとなれば適切な行動をとる、という心構えに変えること。次に、必要を感じたら実際に動くこと。

 

攻撃的な人は、わかりやすく言うと、(おそらく無意識に)八つ当たりできる人を探しています。そのターゲットになってしまうのが、絶対に反撃してこなさそうな人。だから、自分より強い立場の人や強気な人には攻撃しないはずです。

 

彼らの嗅覚はとても優れているので、おとなしくてもいざとなれば黙っていなさそうな人と、泣き寝入りしてくれそうな人を見事にかぎ分けます。

 

もし今ハラスメント被害に遭っているかもしれない方は、被害の詳細を記録に残すようにしましょう。録音してもかまいません。ハラスメント被害は感情論になりやすいのですが、きちんと対処してもらうには事実関係がとても重要です。

 

対応する側はかならず事実確認をします。従って、事実の記録は相談するときに役立ちますし、何より、記録しようという心構えがご自身の冷静さを保つことに役立ちます。

 

なので、被害を受けていると思ったら記録を残すようにして、もう無理となったら、上司か人事、ハラスメント窓口に相談しましょう。くれぐれも、相手と1対1で直接対決しようとしないこと。上司が当事者だったり相談しても動いてくれなかったりした場合は、そのことも併せて上司の上司に相談してください。

 

まずは、事実を記録するところから始めましょう。相手の優れた嗅覚はその変化を感じるはずです。攻撃的な人は自身のリスクには敏感なので、あなたが泣き寝入りの姿勢を変えれば別のターゲットを探し始めます。

 

常に受け身でいれば争いごとは避けられるかもしれませんが、一方で、「何をしても大丈夫」と軽視され、ときに利用されたり八つ当たりされたり、結局がまんを強いられることになりかねません。

 

大丈夫。練習すれば、普段は受け身でも、いざというときには健全に自分を守れるようになります。自分のなかにセキュリティサービスを装備するようなイメージです。がまんにエネルギーをつかうなら、自分を守る練習につかってターゲットにならない自分になりませんか。