ラーメン二郎 八王子野猿街道店2 | 二郎のしょうゆは、カネシでした

二郎のしょうゆは、カネシでした

ラーメン二郎に魅了された者のブログです。

ニンニク入れますか?

二郎以外の事も書くと思います。。。

今流行の(?)小説風に書いてみます。

なんか書いてたらものすご~く長くなってしまったので、途中で寝落ちさせたらスミマセン。

オリジナルストーリーとして、以下の架空の主人公が初めてラーメン二郎八王子野猿街道店2に行ったという設定で、1月30日の野猿実食レポしてみます。



〈主人公〉

【年齢】30代
【出身】仙台
【職業】現場作業員
【好きな言葉】退廃



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
           頂点
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



俺はついにこの日、この世界の頂点の景色を見ることとなった。



振り返ると、俺はこれまでの人生で、何ひとつ成し遂げてこれなかった。



そんな俺が、狭い世界で生きてきた俺が、井の中の蛙と言われた俺が...



現場作業という仕事は想像以上に遙かに過酷だ。なんの取り柄もない俺だったが、毎日毎日クタクタになりながら、ただ黙々と業務をこなしてきた。そんな俺を心身ともに癒してくれたのがあの黄色い看板の店だった。



2011年、地元・仙台でラーメン二郎と出会った。その衝撃的な旨さとボリュームとコストパフォーマンスに、俺が生き抜いてきた30数年の常識が覆され、人生が180度変わった。



しかし。



世界は広かった。ラーメン二郎は、関東を中心に約40店舗あることを知った。数多ある二郎の中で、俺は何故だか「仙台店」と名前が似ている「仙川店」に吸い寄せられるように行き、人生がまた180度変わった。



俺の人生観は360度変わって結局1周した。



新しい価値観で生き抜くと誓った俺は、仙川店を「神」と崇めた。仙川店こそがこの混沌とした世界の中心だ、と。



仙川店以外は眼中にない。

それは、俺をこの世界に導いてくれた仙台店も例外でなく、俺は関東の、東京の、調布市の、仙川にしか興味を持たなくなった。



そんな日々を送っていた俺。砂壁の安アパートでは、いつものように夜になると隣部屋から謎の外国人の声が聞こえてくる。

疲れ切った身体のまま煎餅布団で横になり、ヒビ割れたガラケーをいじっていたとき、偶然にもこの画像にたどり着いた。

初めてこの画像を見たとき、正直目を疑った。

俺のガラケーの画面には、スクロールしないと全景が映らないほどのラーメンがそびえ立っていた。

疲れ切った眼の焦点が徐々に合い、全貌が把握できた。



こ、これも二郎なのか?



俺の知っている仙台の二郎とは全く違う。こんなものを食べられる人間がいるのか!?

正直、俺はこれまでネットで見てきたどんな卑猥な画像よりも興奮した。



その直後。



突如として、俺の中に別の感情が沸き立った。



俺も征服したい。
俺も征服したい。
俺も征服したい。



俺の熱い心、鎖でつないでも今は無駄だ。

そして俺は、すぐに行動に出た。



初めて降りたった京王堀之内駅。



「26番地」とあるが、二郎へといざなっているのだろうか...

そういえば東京には「26」にこだわってるブロガーもいるようだ。暇なヤツもいるもんだな...フフッ



地元・仙台に比べたらどうってことないが、八王子は東京とは思えないほど肌寒かった。



ふと駅の出口を見やると、帽子を被った男が立っていた。



な、なんだこのオーラは!?
な、なぜ黄色いTシャツなんだ!?
な、なんでニンニク臭がするんだ!?



もしかしたら、この男こそが俺を突き動かしたあの男なのではないか?



確信は持てなかった。



半信半疑のまま、その男に気づかれないように俺は尾行した。



あの画像で見た、天にまで届きそうな看板が目に入った。

やはり、あの男も列に加わった。



どうやらこの店は11時に開店するようだ。俺の前には数人いた。俺はあの男の後ろにピタリとついた。

こんな寒い日だというのに、後からも続々と客が吸い寄せられてきた。が、俺は仙台店の激しい行列を知っているので、行列自体には驚きはない。



が、俺はふと気づいた。



仙台店、仙川店とは客層が明らかに違う。
女性客や、仙川では禁止された子連れ客も目立った。

俺が育った仙台店は、ほとんどが学生客だった。中には、後ろから見たらおばさんのような男性客、ビニールの革ジャンを着こなした客、頭頂部に難のある客などを見たことがある程度だった。



この店は開店前でも、食券を買う事ができるようだ。初めて来る店のルールなんて知る由もない。

田舎モノの俺は右往左往したが、あの男を頼りに見よう見まねで食券を購入した。



ふと気づくと、俺の後ろに並んでいたのは、いかにも仕事の出来そうな、スーツを着た都会のサラリーマンだった。



正直俺はサラリーマンに嫉妬心がある。砂壁薄壁アパートで暮らす俺には、想像すら出来ない、想像したくもない華やかな生活を送っているに違いない。



ところが。



このサラリーマン風の男は、俺の前にいたあの男と知り合いだった。俺の存在を無視するかのように、2人は会話し始めた。

「今日仕事の予定が急になくなったんで野猿に来ました。でも妻に事実を告げてしまうと、家の事をしないといけないので、、、仕事するフリをしてスーツで出掛けて来たんです。」



都会のサラリーマンも己の自由を求め、地味にもがいているのだな...と俺は2人に気付かれないようにほくそ笑んだ。





ラーメン二郎八王子野猿街道店2。

厨房内にいた髭を生やした精悍な顔つきの男が、もう一人の厨房の若い男に、

「野菜は多めに茹でるように。」

と指示をしていた。何故だ...



俺の前には「レジェンド」というメニューの一部らしい、生卵が2つ提供された。

俺はこれまでの人生で、生卵は納豆ご飯を豪華に彩る特別なものだと思っていた。

野猿で見るレジェンドの生卵は、俺の暮らす砂壁砂壁退廃アパートの薄暗い部屋で見る生卵よりも光り輝いて見えた。



ふと厨房を覗きこむと、あの髭の男が信じられないほどの野菜をトングで盛り付けていた。

1つかみ...
2つかみ... 
3つかみ...
4つかみ...
5つかみ...
6つかみ...

手を止めた男は、両手で野菜を押さえると、この店の店主と思われる優しそうな男が、その柔らかな表情のまま、更に野菜を積み重ねた。

2人がかりで野菜を盛りつける光景を俺は初めて見た...

そして、やはりあの男の前に降臨した。



立ち上る湯気の向こうに、まさに「神」が見えた。

俺がヒビ割れたガラケーで見たそのままのモノが眼前にクリアに再現されたのだ。



間違いない。



この男は、あの男だったのだ。



そんな震撼する一杯を目の当たりにし、俺は1人恐れおののき、絶望すら感じた。



こんなモノを相手にしていいのか?

が、間髪を入れず、自分の目の前にはあの男よりも一回りは小さいものの、今まで仙台店や仙川店では見たことのないモノが舞い降りた。



一瞬、全身が硬直した。

俺は自らの相手に怯んでいたが、両隣の男達と比較することで、自らの正確な位置関係も理解できた。



冷静さを取り戻し、俺は箸を手に取った。



素人の俺はどこから攻めていいのかわからなかった...

左隣の男は、迷う事なく山の頂きから食べていた。これがプロフェッショナルの技なのか...

そんなプロのテクニックを横目に、俺は教科書通り、麺から食べようとした。ところが、麺を覆い隠す大量の野菜。俺の知っているもやしの密度ではなかった...



丼を見渡すと、凄まじく圧縮された野菜に押しつぶされそうになったウズラの玉子が苦しそうに顔を出していた。



極限まで集中力を高め、一寸の隙を見つけた俺は、底に沈んでいた麺を強引に引っ張り上げた。

しっかりとキャッチできたのは僅か3本であったが、夢中で啜った。

うまいゾ。
旨いゾ。
美味いゾ。

その1本ずつに色々なウマさが詰まっていることを瞬時に察知した。

いける。これならいける。



そして、衝撃波が立て続けに俺を襲った。



このスープ、乳化という二文字では語れない程の濃厚なものだった。深く、鋭く、神秘的で、それはまるでマリアナ海溝のような海だった。



これならいける。



俺はこれまでオプションを頼む事は無かった。その店の「基本」を味わうことこそが、二郎の神髄だと信じていたからだ。

本音を言えば、お金が無いからなのだが...



ところが、この店では自然と複数枚の食券を手にしていた。不慣れさは否めないが、生卵の小鉢を俺なりに使ってみた。

不器用な俺でも、小鉢があると食べやすいことに気づいた。そして、俺は「レジェンド」を食べている優越感を、周りの客に誇りたかった。



まだ時間はある。



そして、意外と几帳面な俺は、丼に残された豚を並べてみた。



デカい。何なんだ、この迫力は...

俺が「超巨大神魂豚」と名付けた仙川店の豚と一歩たりとも引けを取らない豚がここにあった。



この世界、宇宙に、神が2人いてもいいのだろうか...



認めるしかないな...
仙川よ、今までありがとう。



俺はこの野猿という店の、とてつもない魅力に完全に心を奪われたようだ。

たった、たったのこの一杯だけで。



感動と衝撃で心身ともにイレギュラーな状態にトランスした俺であったが、左隣のあの男を見やると...



猛烈な勢いでラストスパートをしており、左手の動きが画像でとらえきれなかった。



征服。



俺は、俺はつい頂点に立ったのだ。



ココこそが、陽の当たる場所だったのだ。



共に戦い抜いた3人は、互いに認め合い、肩を並べて歩を進めた。



気合だぁさん4bassさん、ありがとうございました!!