期末試験最終日。アタシはゴキゲンだった。
科学に世界史、美術。割と得意な教科でシメ、しかも手応えも中々で、後は夏休みからの受験勉強まで束の間の休息代わりに読書三昧と洒落こめるわけだし。
自慢じゃないが、一応地味な努力の甲斐もあって、推薦入学もほぼ本決まり、という有り難い内示もさっきもらったばっかりだったから、取り敢えず母さんもケチつけたりはしない筈。
家に寄って鞄を置き、制服のまま近所の図書館に向かった。歩いて五分とかからない場所にある神社の敷地を通り抜ける。隣接する図書館はでかくなく小さくなく、しかしそこそこ閑古鳥も鳴いていて、アタシにとって落ち着ける場所だ。
夏休みになれば一転受験生と学生で溢れかえるのもいつも通り・毎年のことなのでそれまでにたっぷり借りよう、とか思いながら歩いていたら。
横手の鎮守の森から子供が飛び出してきた。
出てきた途端に顔から転ぶ。うわ、痛そう。
「ヘーキか?ケガしてない?」
取り敢えず近寄って抱えて起こす。ガキのクセしていい度胸だなー、ここマムシが出るから侵入禁止なのに。
なんて考えながら服の泥を払い、顔を見て。
―――ちょっと見惚れてしまった。かわいい。オリエンタル・ビューティーってやつですか。日本人とは一線を画す褐色の肌に彫りの深い、しかも整った美人さん。育てばいいオトコになりそうな感じ。
着てる服も良いし、まるでいいとこのボンボンか王子様みたいやねー、なんて要らん事を思いつつ、もう一度質問。
「えーと、日本語わかる?……Can you understand Engrish ? 」
イマイチ自信はないが、英語でもチャレンジ。
……反応ナシ。やっぱ駄目かぁ。通知表評価三マイナスだしなー。
と、またも森から足音が聞こえてくる。途端にガキにしがみつかれ、必死の形相でまくし立てられた。
よくわからんが、逃げたほうがいいみたいな……そんな感じなんですけど。
―――取り敢えずガキ連れて近場の石碑によじ登る。てっぺんから更に隣の木に移って息を潜めつつ、ゴメン晋作さん、緊急事態なんで。と心の中で手を合わせます。管理人に見つかったらまたガッチリ叱られそうだ。