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では今日もニッチな恋愛心理にまつわるコラムをお届けします。
よろしければどうぞ。
◯ズレた期待が意思疎通を阻むという話
例えばこんなケース。
A子さん(仮名)は、同い年の彼と同棲中。
彼はとある商社務めで残業が多い人。いつも遅くまで仕事をし、自宅でも仕事するハードワーカーっぽい人です。
A子さんは彼の行動力や仕事ができる部分にとても魅力を感じていましたし、彼を支えられればいいなと思っていたのです(要は結婚を意識していたのです。)
また、彼がA子さんとの時間を大切に考えてくれていることも知っていて、できれば彼の負担にならないようにと、彼の帰りが遅くとも何も言わずに理解を示していました。
ただ、急に彼の仕事が急に忙しくなり、彼は職場近くのホテルに宿泊し、朝帰ってくる状態が続いたのです。
もちろん「仕事が忙しいから仕方ない」とA子さんも理解していたのです。
が、ある時A子さん自身が仕事で大きなトラブルを抱えてしまい、気持ちの面で相当滅入ってしまったのです。
A子さんは思いました。
こんなとき、彼にそばにいて欲しい。
A子さんは勇気を出して、彼にこう伝えました。
「できれば夜はずっと家にいて欲しい」と。
が、彼の様子が少し変なのです。
彼は悩ましい顔をしながら「それは難しい。ずっと一緒にいることはできない」というのです。
それぐらい彼もまた仕事をたくさん抱えて必死だったわけです。
しかし、彼女は彼の言葉に傷つき、強く「ずっと一緒にいてよ!」と迫ったのです。
すると彼は「それは無理だから。ごめん。」といい始めたのです。
その言葉を聞いたA子さんは彼の気持ちが離れていったと感じ、大きな不安を抱えるようになり。
次第に彼との連絡も途絶えがちになってきたこともあって、なんとか関係を修復したくてカウンセリングにお越しいただいたのです。
*
さて、この話の中に登場する男女それぞれの感情の話は、少し横においておいて。
この二人の関係があまりよろしくない雰囲気になっていった理由だけを考えてみると、次のようなことが言えるんですね。
「お互いの期待がズレている」。
いいか悪いか別にして、僕たちは人に期待する生き物ですし、もちろん自分にも期待をかけるものです。
また、人から向けられた期待に応えたいと思うこともあると思います。
が、この期待ってやつは使い方次第で良い方向にも、そうではない方向にも転がる厄介な心理でもあるのです。
※期待についての詳しい解説は僕のブログにありますので、よろしければご覧くださいね。
・相手に期待することにも流儀がある?
もし、僕たちがなにかに期待するならば
「的確な表現を使って期待する」
「自分にとっても相手にとっても、実現可能性がある期待をする」
ということが重要だと僕は考えています。
要は、到底叶いっこない期待や、お互いに実現不可能な期待を持つと、期待する本人も相手も結構しんどい気持ちを抱えることになるということなんでう。
期待した側は「期待が叶わないこと」に。
期待された側は「期待に応えられないこと」に。
お互いが失望するしかない、なんて状態になりやすいのです。
・期待がズレるとお互いに失望しやすくなる
今回のケースで言うならば
A子さんの「できれば夜はずっと家にいて欲しい」という気持ちがそれに当たるんです。
もちろん、できれば夜はずっと家にいて欲しいという気持ちに罪はないのです。
ただ、その期待に込められた真意や、二人の未来や彼への期待を的確に示せていれば、という話なんですね。
とはいえ、彼女も仕事でかなり滅入っているわけで、そこまでの配慮ができずとも仕方ないという話でもあるんですけども。
また、彼の中に「彼女のために一緒にいなければ」という気持ちがあるのであれば、それが彼が彼自身に向けている期待です。
彼が自分に「こんな自分であるほうがいい」と期待しているんです。
が、それが難しいと感じるなら、彼は彼自身に失望しますよね。
例えば、彼女の期待や求めに応えてあげられない自分ってショボい、といった風に。
そんな彼は、きっと彼女と合うとショボい自分を感じることになる。
だから、彼女と連絡を遠ざけてしまう、なんてことも起こり得るんですよね。
・期待して自分に失望すると、不安や悪い想像ばかり生まれてくることも
このようなお話を伺うと
「A子さんも彼も、お互いに自分自身に対して失望しちゃってるんだよね」と僕は見立てることが多いです。
僕たちが感じる失望の多くは「相手や誰かのせい」と感じることも少なくないのですが
結局は「今の自分に失望している」ので、嫌な気分や悲しい気分、悪い想像ばかり生じるわけです。
例えば、A子さんならば「彼にそばにいてもらえない自分」に失望しているのかもしれないです。
が、彼にはA子さんを選ぶ気持ちはまだありそうですよね?
また、彼は「彼女の期待に応えられない自分」に失望しているのかもしれません。
が、A子さんからすれば、そんな失望全く意味がないし、そんなことで嫌うわけねーじゃん、という話のようです。
◯期待するなら的確に、実現可能性のある表現で
もちろん人や自分に良い結果を期待するなら、大きく夢のある期待を持っていていいと思いますよ。
特に恋愛では「幸せや喜びを全く期待しない関係」もまた味気ないんじゃないかな、と僕は思うぐらいです。
ただ、その期待を問題に変えないためには
「的確で、実現可能性のある目的を設定すること」をオススメしています。
今回の話でいうなれば、いきなり「できれば夜はずっと家にいて欲しい」と表現するよりも
例えば
「辛い時は話を聞いてくれる時間を作って欲しいし、一緒にいる時間が増えると嬉しい」
のほうが、比較的お互いにとって実現可能性がある表現になるのではないでしょうか。
彼にとっては「夜、ずっと家にいることができない」と思うより
「仕事が忙しいのにずっと家にいなきゃと考えること自体矛盾している。できる限り一緒に過ごせる時間を増やそう」
と思えていたなら、彼女の言葉を突っぱねる必要はなかったのかもしれないですしね。
その上で話し合って、お互いの合意を取るということが大切なんですよね。
ただ、僕たちは期待して失望するたびに、できないことを叶えたい(叶えば人生一発逆転!)といった期待や欲が深まることもあるので、その辺は要注意ですかね。
今回は以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。
\この記事を書いた人/
心理カウンセラー 浅野寿和(あさのひさお)
カウンセリングサービス所属・「名古屋・東京・大阪・福岡地区(&オンライン)担当」
「恋愛」「結婚」「夫婦」「子育て・家族」「自分自身(性格・生き方)」などを、あらゆる心理面からバランス良く分析し解決に導く「ちょっとだけ予約が取りにくい」人気カウンセラー。明快な分析と的確なヒーリングセッションが評判で、20代〜40代のリピーターが多い。
そも屈託のない人柄・語り口から「話すと元気になる・安心できる」と好評をいただく。
年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派かつ現場主義。
口癖は「しゃーないですよね」「どんなことにも事情があるよね」。
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