浅野

カウンセリングサービス心理カウンセラー浅野寿和です。

 

いつもありがとうございます。

 

では、今日のコラムです。よろしければどうぞ。

 

 

○愛されていることに気づけない彼を心理する

恋愛のご相談をいただくと「罪悪感を強く感じているがゆえに、彼女の愛情に気づけなくなってしまった男性」にまつわる話を伺うことがありますよ。

 

例えば

 

  • 自分が犯したミス(仕事での失敗・浮気など)の責任を取ろうとして関係を解消すればいいと思いこんでしまう男性
  • 彼女がどこか寂しそう・辛そうにしている姿を見て「自分は君を幸せにできない」と思い込み、関係を解消したいと思う男性
  • 自分のコンプレックスや仕事の失敗など劣等感が刺激されて自分のことしか意識できなくなってしまた男性

 

などがそれに当たります。

 

そんな男性ほど「俺が全部悪いんだ、君は何も悪くない」と言いながら今の関係を解消したくなることが多いようです。

 

その男性のことを愛していたり、関係を継続している女性のみなさんから「彼の気持ちがわからない」「彼はどうしてそういった発想になるんですか」というご質問が飛んでくることも稀ではありませんよ。

 

時には「彼は私のことを愛していないんですよね」「これは私じゃダメってことなんですよね」なんて直接不安や怒りを伺うことも稀じゃないとも言えます。

 

「おっしゃるとおり、彼の態度を見ていればそう感じますよね」と僕も思うわけですけれどね。

 

ただ、こういった男性の心理状態というのは、彼女のことを大切に思う気持ちがあれど、自分が感じる感じたくない感情から逃れたいという思いが強くなっているがために、自分自身が愛されていることに気づけない、なんてケースが少なくないようです。

 

平たく言えば、自分の内面にばかり意識を向けていて、なんとか自分を自力だけで立て直そうとしているがゆえに、彼女や周囲からの愛の目や支援・応援の目が理解できず、全く反応できなくなってしまっている状態だ、ということなんです。

 

 

○罪悪感は「愛されている感覚」を鈍らせる

このような彼の深層心理を見ると、そこに罪悪感の影響を見ることができそうです。

 

罪悪感は「自分は罪を犯し、罰を受けるべきで、愛されてはいけない、許されてはいけない」といった感覚をもたらしますからね。

 

いわゆる罪悪感や(それだけじゃなく失敗感、罪の意識、劣等感なども含む)というものは、それほどまでに今の自分が愛され、支えられ、理解され、許されているという感覚を鈍らせます。

 

その結果、「自分の味方」「支えてくれる人」の存在が分からなくなってしまったり、自分自身が誰かによって許され、愛され、理解されていることにうまく反応できず、逆に「申し訳なさ」「自分のちっぽけさ(ただ迷惑をかけて何もできていないような感覚)」を感じてしまうようになるのです。

 

罪悪感がもたらす「自分は罰を受けるべきだ」という感覚がそうさせる、と言えそうですね。

 

だから、愛されていることに気づけず、どうしたら自分はこの罪の意識から逃れ、許されるのかばかり考えてしまう。

 

その結果、一人で頑張れば(誰とも関わらなければ)こんな罪の意識は感じないはずだ、と思いこんでしまうので、今ある恋愛関係を解消したくなってしまう人がいる、というわけです。

 

この「一人で頑張れば(誰とも関わらなければ)こんな罪の意識は感じないはず」と思いこむ状態も、「自分は愛されない、許されない」といった発想、つまり罪悪感の影響なのですが、なかなかそれに気づけず、むしろ「もうこんな嫌な気分のままいたくない」と思い込んでしまう人も少なくないでしょうね。

 

そう考えると、罪悪感を感じていたり、罪悪感を感じているのにそれを認めずに否認ばかりしていると、「人の好意や愛情などから遠ざかるだけでなく、自分が許されない、愛されないという思い込みばかりを強くしてしまうので、本当に必要な人とのつながりを自ら切って、一人になることで苦しみから逃れようとするけれど、また人と関わると苦しい思いをするので、誰ともつながれない」という状態が出来上がってしまう、というわけです。

 

 

○都合の悪い感情を否認ばかりしていると愛が受け取れなくなる

また、そんな自分のことを愛してくれる人、支え見守ってくれる人がいたとしても、そういった人がいることを素直に認めることもまた苦しいので、「自分はいつも一人だ」「そんな人はいない」と自分の罪悪感の都合で人の愛を蹴散らしてしまう人もいますよね。

 

そんな時間を長く続けていれば、そりゃ自分の味方や、支えてくれる人が傷つき、諦めてしまう、なんてことが起きちゃうわけです。このことを客観的に見れば「どれだけ相手のことを考えても拒絶され続けるなら、まぁそうなるわなぁ」と僕は思えたりするのですよ。

 

どんな事情があるにせよ、自分から人の好意や愛情を拒絶している事実は間違いないことでしょうからね。

 

が、罪悪感ばかり意識している人は、自分から人の好意や愛情を否認しておきながら、しかし誰かに理解してもらえないという現実を見て「ガッカリする」のです。

 

本当は許され、愛されたいわけですからね。

 

でも、「やっぱり自分のことを愛してくれる人はいなかった、自分は愛されないんだ」という思いだけを強くする材料にしか使わないわけですよ。

 

そして、この「自分は愛されないんだ」という結論もまた「罪悪感のもたらす結果」だとご理解いただけるでしょうか。

 

つまり、この手の罠にハマっていると、ひたすらに分離し、自分が愛され、許されるとか、自分を愛してくれる人の心の中には温かな気持ちがあるのだ、という感覚がさっぱり理解できなくなってしまう、ということなんです。

 

が、それにも気づけないので「自分はうまくやっている」「相手のために頑張れている」「自分は良いパートナーだ」という完璧主義・理想主義的な思い込みばかり強くせざるを得なくなるんですね。

 

パートナーがどう思っているか、つまり「あなたって自分のことしか見えていない部分があるし、正直めんどくさいところもあるよね。でも、いいところがあるし、私は好きだしそばにいるよ」と思ってくれているその気持ちを見事に見逃すことになるのです。

 

これこそが今回お伝えしたい「愛が受け取れない状態だ」というわけです。

 

 

そう、勘のいい方はご理解されていますよね。

 

「愛が受け取れない人の深層心理」と「愛が受け取れない人の恋愛パターン」はほぼ同じ構造でできています。

 

何かしらの事情で強い罪悪感が存在し、それを受け容れることができずに目を背けているので、自分が愛されていることがずっと理解できずにいる、というわけです。

 

この手の人は「自分の至らなさ」「自分が感じている罪悪感」を、自分で引き受けることができないでいるのです。

 

だから、完璧主義・理想主義的な思い込みばかり強くせざるを得なくなるし、もしその心の防波堤が決壊し、自分が罪の意識や至らなさを感じそうになると、それを徹底的に否認したり、逃げることに躍起になるわけです。

 

それほどまでに罪悪感は「自分は罰される、責められる、ボコボコにされる、許されない」という感覚をもたらすわけです。

 

だから、もし恋愛の中で「いつも自分ばかり見て、人の気持ちが受け取れない人」がいるとしたら、それは「普段から(ネガティブな意味で)自分次第」という意識が強い人なんですね。

 

ここでの「自分次第」とか、「自分自身がどう生きるか」「自分が誰に貢献し、どんな喜びを与えるかは自分次第だ」という前向きな意味での自分次第、という意味ではありません。

 

いわば「自分が罰される、愛されない、許されない」という感情や感覚を感じることは嫌すぎるから、普段からあまり深く人と関わらず、いわば「自分のことは自分で決めるから、放っておいてほしい」といった意識が強い人のことですよ。

 

 

○そんな彼とどう向き合うか

さて、多くこのタイプの彼と向き合っている女性の皆さんとお話をすると、まぁ疲労困憊といいますか、疲れ果てている方が少なくないようです。

 

そりゃそうですよね、どれだけ理解しても受け取ってもらえないわけですから、本当にしんどいし、「私じゃダメなのかも」といった不安を感じやすくなりますしね。

 

だからでしょうか。

 

人によっては「絶対に別れたくない(別れることで自分の価値を失いそうになるのが怖い)」と思い、何が何でも関係を継続させたいと思っておられる場合もあります。

 

もちろん僕もそのお気持ちがわからんでもないのです。そりゃそう思うよね、と理解できるんです。

 

が、心理的に見て、その不安から行動されることはやはりオススメではないんですよ。

 

そもそも彼が愛を受け取らない理由と、あなたが愛を受け取ってもらえないことで感じる理由は、切り分けて考えるべき事柄なんです。

 

彼がそうする理由は彼の中にある事情で、あなたの責任ではないのです。

 

しかし、あなたが愛を受け取ってもらえないことで感じるつらい気持ちは自分のものです。

 

ここをごっちゃにして考えてしまうと、まぁ恋愛自体がガチでしんどくなっちゃいます。

 

「私は彼を失いたくない。だからもっと彼のことを愛したいし、どんなことをしてもこの関係を壊したくないんです」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、こうなると「人から罰されると思い込み、逃げ惑う彼」を「別れることの不安から追いかけまくる彼女」という、深層心理的には「犯罪者が警察に追いかけられるごとくの構図」になってしまいます。

 

まぁ、追いかけると相手は必死こいて逃げちゃいますかねー。(そんな彼に槍をひと刺し!なんてお話もあろうかと思いますが、それは別件でご相談を承りたいと思います(^^;)

 

そんなときはフーっと一息ついて、まず愛している側の気持ちをしっかりケアして、不安で行動しないようになっておくことがおすすめです。

 

「そんなにこの人は自分が罰されると思いこんでいるのね」と理解できるようになることが重要です。

 

でないと、逆にその彼を恨んだり(でもまぁムカつきますよね、と思いますが)、彼に自分を否定されたと感じやすくなって、自分自身の心が余計な感情で乱れてしまいます。

 

その結果、愛を受け取ってもらえない側が更に自分を疑うことにもなりかねないわけですよ。

 

たとえ、彼が愛を受け取らない人であったとしても、その彼を思い続け、支えようと思っている側に、まぁ罪はありませんよね。

 

が、それがいつしか「愛を受け取ってもらえない不安で彼を追いかける構図」になっているなら、それは本来の目的と違う状態なのかもね、ってことになるわけです。

 

 

だから、愛している側こそ自分を癒やし、気持ちを整理し、今、二人の間で起きていることを理解できるぐらいの心の余裕を持ったほうが、自分にメリットがあります。

 

 

○彼を愛し続けてもいいの?

さて、最後になりますが「全く受け取ってくれない彼ですけど、私は好きなんです。愛し続けても(待ち続けても)いいんでしょうか」というご質問を伺うことも少なくありません。

 

それは僕がお答えするようなものではないような気がしますが、でも彼と関わろうとすることが正解なのかどうか、悩まれる方がいても不思議ではないと思うのです。

 

そんなとき僕は「あなたが彼を好きだという気持ちに心底納得して愛してあげたいと思えるなら、それでもいいのではないでしょうか」と思います。

 

ただ、相手が愛を受け取れずに苦しみ続けているのに、無理やり飲めない水を飲ませるように関わるのは避けましょう。

 

それは、失恋したばかりの友達に「またいい彼が現れるよ」というぐらい飲めない水なので、好意が逆にしか作用しません。

 

先程書きましたように「今の彼は全く周囲が見えていないし、愛されるとも思っていないんだな」ということを腑に落とし、「どうしたら彼に私の気持ちが分かってもらえるんでしょうか」という気持ちを手放してから、彼と関わってみては?と僕は思います。

 

この手の彼はそれほどまでに周囲の愛情の反応できないのです。

 

そして、それは彼の事情でしかありませんし、その彼を変えるなんて発想は持たれないほうがいいと思います。

 

そもそも人が変わるのは自分の意志によるものですから。

 

だから「彼が変わってくれないのは私を愛していないから」という期待と判断は手放しましょうね。そもそもあなたが彼を愛そうとしていることに罪はないのですから。

 

また、彼が向き合っているのが罪悪感なら、そう簡単に受けいられるようなものではなく、彼も苦しんでいるわけで、そこで期待や判断をバンバンぶつけると良い結果どころか、最悪の結果を導いてしまいかねません。

 

その彼をもまるっと包んで「そんな罪悪感まみれのあなたを愛するのは私ぐらいなものよ」と、自分の選択に納得し、どこか自信といい意味でのプライドを感じながら関わり続けることができるとしたら、彼に少しづつ思いが伝わる可能性もあるかなーと僕は思います。

 

それでも彼はあなたの気持ちをなかなか受け取ってくれないかもしれませんが(^^;、あなたに対する感謝が彼の中で芽生えたら、まぁちょっとぎこちないかもしれませんが、関係を続けていくことができるかもしれません。

 

また、愛を受け取れない彼ではなく、ちゃんと私の素晴らしさを見て喜んでくれる人がいい、と思うなら、それも悪い選択ではありませんよ。

 

もちろん、僕も人の恋路を邪魔したいと思うわけでもなく、できればみなさんに素敵な恋愛をしていただきたいと思うわけでして。

 

そう思うと、その彼を愛することがダメと言いたいわけでは決してないのです。

 

ただ、お互いの怖れ、罪悪感、不安から関わろうとすると、あまり良い結果を導かないことが多いので、ちょっと冷静になって今を見つめ直してもいいかもしれませんね、とお伝えすることがありますよ、という話でした。

 

 

ちょっと長くなりましたが今回は以上です。最後までご覧いただきましてありがとうございました。

 

 

\この記事を書いた人/


心理カウンセラー 浅野寿和(あさのひさお)

カウンセリングサービス所属・「名古屋・東京・大阪・福岡地区(&オンライン)担当」

 

「恋愛」「結婚」「夫婦」「子育て・家族」「自分自身(性格・生き方)」などを、あらゆる心理面からバランス良く分析し解決に導く「ちょっとだけ予約が取りにくい」人気カウンセラー。明快な分析と的確なヒーリングセッションが評判で、20代〜40代のみなさんにリピーターが多い。

そも屈託のない人柄・語り口から「話すと元気になる・安心できる」と好評をいただく。

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派かつ現場主義。

 

口癖は「しゃーないですよね」「どんなことにも事情があるよね」。

 

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