カウンセリングサービス・心理カウンセラー浅野寿和です。
いつもご覧いただきありがとうございます。
では今日のコラムです。よろしければお付き合いください。
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◯例えばこんなケース
『今の彼と別れるべきか、続けるべきか悩んでいます。
彼のことは今でも好きです。ただ、あまりに会えないことが私にとっては苦痛ですし、不安なんです。
たしかに彼は連絡はくれます。でもこんなに会えないんじゃ、これからもっと大変なんじゃないかと思うことさえあります。
私も「愛しているなら待てる」と思ってがんばれそうな気分になることもあるんです。彼のためにって思えると頑張れそうな気になれるんです。
でも、不安が強くなると「もうやめたほうがいいんじゃないか」と気分が落ち込むこともあります。
どちらも本当にそう思うことだから、迷ってしまうし決められないんです。
友達に相談すると「それはないわ〜」と言われます。要は別れたほうがいいってことですよね。
その意見もすごく分かるんです。私もそうかもしれないって思いますし。
ただ、彼って悪い人じゃない。会えば優しいし、会えない理由も理解できるんです。
待つことが正しいのか、でも不安を抱えながら付き合い続けていることに意味があるのか、本当にわからなくなってしまいました。
こんなとき、どう考えたらいいんでしょうか』
ということで、今日は会えない不安と恋愛の話を、いつもよりちょっと長めにまとめてみました。
よろしければどうぞ。
◯「会えない関係」の価値はいかほど?
さて、実際のご相談でも「彼と会えない関係」についてのお話を伺うことがありますよ。
もちろん全く会えないし連絡もないというケースから、連絡はあるけど会えない時間が続いているというケースまで、まぁいろいろです。
今回の事例は「連絡はあるけど会えない」というケースだから、どこかで「私が我慢したり彼を理解すればダイジョブ(なのかな?)」とお考えなのかもしれません。
まぁ好きですしね。好きだから待てるってこともあると思うんですよ。その気持ち自体は承認されるべきものなんだろうと僕は思うんですよね。
問題は「会えない不安」や「会えないストレス」にありそうですね。
好きな人に会えないって、アタマでの理解以上にストレスになりますし、放っておくと不安を感じるようにもなります。いわば、悪い想像ばかりがよぎるといいますかね。
そう考えると、いくら好きでも「会えない関係」にどれだけの価値があるのかってとても悩ましい問題なのだと思うのです。
ただ、この価値を他人がとやかく言うのは難しい問題だと僕は思うのです。
会えなくても自分にとって価値がある関係だから、悩むわけですからね。
僕もカウンセリングを長くさせていただいていて思うんです。
「今の関係の価値を決めることができるのは、ご本人だけだろうな」と。
いくら友達が自分のことを考えて「やめときなよ」と伝えてくれたとしても、それが友情から生まれている言葉であっても、自分の中の価値が変わらない限り、悩み続けることになりそうです。
これは、今の関係の価値を感じていたい自分と、価値がないと感じる自分がせめぎ合って葛藤している状態、といえそうですね。
◯「好きの価値が下がること」が最も大きなリスク
さて、僕たちは何かを諦めたり、別れを決断する際、どうしても「物事のネガティヴな部分」ばかり見てしまう傾向があるようです。
いわば、諦めたり、別れるための材料を自分で探すってことですね。
今回の場合なら「彼と会えない」という事実がそれにあたります。
そこから「このまま付き合っても辛いだけかも」「今と同じ状況が続くなら悲しいだけかも」と想像していくわけです。
このような想像には「私の価値を下げない」「これ以上私が傷つかない」という目的があるものです。
あえて悪い想像をして、これ以上最悪の状況が訪れないように、と考えるわけですね。もちろんこれも一つのリスクに備える方法といえそうですし、僕たちが感じる一つの気持ちの流れなのかもしれません。
が、この想像は「今の関係の価値を下げる」ような作用を伴うことが多いです。
だから、「悪い想像」をすればするほど、自分の中で最も大切な「彼のことが好き」という気持ちの価値も下げてしまうんですよね。
なので僕というカウンセラーは、悩ましい恋愛のリスクとは「別れる、別れないという事実」以上に、「自分の好きの価値が下がること」だろう、と考えています。
逆に言えば、自分の「好き」「愛情」「好意」「貢献」に価値があると思えれていれば、次に進むことも、今の関係に対して前向きに向き合うことだって可能になるだろう、と考えるのです。
しかし、そんな自分の不安をほったらかしにされて、マイペースで行動する彼を見れば、どれだけ彼の事情を理解していても傷つきますよね。彼の気持ちも疑ってしまって当然といいますかね。
本気で好きならばなおさらに。
だから、彼を責めたい気持ちにもかられるでしょうけど、それもまた本意でないとしたら、すべての悲しみや不安を一人で抱え込まざるを得なくなるかもしれない。
この状態がおそらく「続けるか、別れるか」を決めかねている状態なのでしょう。
そこでは「私と会おうとしていない彼にとって、私の好きの価値ってそんなにないのかもしれない」「私がいなくても彼はいいのかもしれない」といった、いわば行き過ぎた不安を抱えかねません。
更に悩ましいのは、もし、ここで別れを決断するとしたら、自分の価値は失ったまま、失敗感や挫折感を抱えたままになってしまうかもしれない、ということ。
また、ここから関係を継続するとしたら、自分は相当頑張らないと愛されないんじゃないかな、という幻想に付きまとわれかねません。
だからこそ、少なくとも僕は「口でいうほど別れる・別れないと決めることは簡単ではない」と思っていたりします。
◯大切な人を遠くにおいておきたい気持ち
多く、会えない恋愛問題の根っ子には「大切な人を遠くにおいておきたい気持ち」が存在します。
意識では「大切な人の近くにいたい」と思うものですが、深層心理ではその逆を感じているケースって意外と少なくないんです。なかなか自覚できないんですけどね。
その理由の多くは「大切な人をそばにおいても、相手を喜ばせられないかもしれない」という不安によるものです。
僕たちが最も恋愛・パートナーシップで恐れるのは「愛されないこと」以上に、「相手の役に立てないこと」です。
「相手の役に立てない自分」こそ最も価値がないことだと認識するのが、愛したい人、いわばオトナの苦悩なのです。
自分の「好き」も「愛情」も「仕事」も「経済力」も「包容力」も大切な人のためになってこそ意味があるものだと思うからこそ、大切な人のためにならない自分が許せないのです。
そして、その自分のそばに大切な人を置かないようにするものです。
これが「会えない」という状況を強化するものです。会いたいけど連絡しちゃいけないなとか、会っても私じゃダメなんじゃないのかな?といった不安を増大させる理由にもなります。
この状況にあると「私は相手のためになっていないのに、それで別れるってあまりに悲しいことだ」と思ってしまいやすい。
だから、別れられない。
相手のために何もできていない状態で別れるなんてありえない、と思いやすい。
(※だから、「僕は君のために何もできないから」という理由で別れを切り出す男性の気持ちが信じられないというお話もたくさん伺うわけですけど。)
一方で、今の状態が続くことで、これ以上自分の価値が削られることも避けたいと思う。
続けるか別れるかを決められない、とはこういった状態にいるときなのでしょう。
◯今の関係に価値を感じられないんだ、と認めてみると?
こういった問題はとても悩ましいですが、今後のことを決断するために今できることがいくつかあります。
その一つが「今の関係の価値を認めてみる」です。
実は「私の好きの価値を認めてみる」が目的なのですが、現状「続けるか別れるかという葛藤」を持っている方にとって、自分の好きを認める行為自体が苦痛だったり、嘘っぽく感じてしまうことも意外と多い話だと僕は思っています。
要は、「ちゃんと関われていない(愛せていない)のに自分の価値を認めたって虚しいだけだ」と思う愛したい女子・男子の皆様は少なくないと僕は見ているんですね。
だから、自分を認めましょう、と言われてもなかなかしっくりこなくて停滞するのではないか、と思うことが多々あります。
ならば、「二人が付き合っていることの価値を認めてみては?」と僕は思うのです。
特に「大切な人を遠くにおいておきたい気持ち」が存在する場合、その価値を認めるシーンが少なくなりがりですからね。
すると、もちろんというか、当然のごとく「会えない関係に価値なんてありません」とおっしゃる方が少なくありません。
そりゃそうなんですよ。好きという気持ちに価値を見いだせても、会えない関係の価値を見出すことはとても難しい。
ただ、そう思うことで「それほどまでに彼を愛してあげたいと思っている自分」が見えてこないでしょうか?
その自分が感じ取れないでしょうか?
もちろん「愛せない」「愛してもらえない」という悲しみも湧き上がってくるかもしれませんけど。
会えない関係に価値なんてないという気持ちは、愛されない私に価値はない、という思いだけ構成されているわけではありません。
愛せてなんぼ、関われてなんぼ、それぐらい愛してあげたい自分が存在しなければ悩まないし葛藤もしないってことなんですよ、きっと。
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実は、会えない関係の多くはこの「愛せない」という悲しみを共有している関係です。
会えない方も、会わない方も同じ悲しみを感じていることが多いのです。
相手と会って愛したいという気持ちより、悲しみと出会いたくないという気持ちが勝っているとも言えそうです。
なので、このような会えない関係になると、恋愛は悲恋の様相を呈してくるし、二人がそばにいても本当に喜び会えない、気を使いあう関係になりやすいんです。
そして、会いたいと願う側は、この悲しみをなんとかしたくて「会おう」とするのです。
いろんな理由をつけて会わない側は、この悲しみと出会わないために「会わない」でいるのです。
しかし、それは愛じゃありません。
だから、最初は彼のために頑張れていた自分が、いつしか自分の不安や都合で動いていることに嫌悪感を感じてしまう方も少なくないのではないでしょうか。
もちろんそんなことを本当に望んでいる人は少なくて、本当は愛したいんですよ。だから自分を認めたり、許していいんだと僕は思うのです。
しかし、この悲しみがある以上、どうしたってスッキリ相手のことを愛せず、つい自分の気持ばかり見てしまうことになるのです。
そして、そんな自分が「会えない側」「会えない側」お互いに認めたくないのです。
これが「恋愛の先々のことを先送りしてしまう」状況を作るのかもしれません。
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だから、深層心理から見た恋愛問題の解決方法があるとしたら「悲しみを癒やす」ことになります。
もちろんこれは一つの考え方で全てではないんですけどね。
ただ、もしこの悲しみが手放せていれば、おそらく自分自身のセンタリングができます。本来の自分に立ち戻れるようになるといいますかね。
だから、自ら決める、愛せる、関われるようになりやすいものです。
もちろん相手のことも受け止められるようになるし、少なくとも自分の好きの価値を下げることが少なくなります。
だから、あえて「今の関係に価値を感じられないんだ」といった自分を責めずに隠さずに認めてみると、一度悲しみと出会うことにはなりますけど、その悲しみの向こう側に「愛したい」と願っている誇らしい自分と出会えたりするんです。
僕たちはつい「愛せない自分」を恥にして隠してしまうので、なかなか認めなくたいことかもしれないんですけど、しかし問題は多く真実の裏返しなんですよ。
だから、本当の自分を見つけるために、抱え込んだ気持ち、超えられない気持ちを認めて、洗い流していくこと。
それによって「愛すべき価値のある自分」ともう一度出会うことも可能になるんです。
僕がカウンセリングでサポートさせていただくプロセスもこれに近いですよね。もちろん悲しみなんてそうそう感じたいとは思わないでしょうが、この悲しみこそ「愛したい私」が「愛したいと思うから」こそ抱える副産物。
この悲しみを感じている自分を責めれば、余計に辛くならないでしょうか。
だから、僕はあえて「今の関係にも価値がありますよね」「大切な関係ですよね」とお伝えするんです。
それは慰めているわけではなく、「自分の好きには素晴らしい価値がある」ということに、もう一度気づいていただきたいからなのです。
もしあなたが会えない関係の中でも「この人を愛したい」と思えるならば、それはきっと素晴らしいことなのではないでしょうか。
僕の仕事は、そのプロセスを一緒になって歩みながら、幸せになる決断がしやすいようにサポートさせてもらうことですからね。ご相談いただく方の「好きの価値が下がること」に対するケアさせてもらいたいな、と思いながらカウンセリングをさせていただいているところなんです。
今日は以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。
\この記事を書いた人/
心理カウンセラー 浅野寿和(あさのひさお)
カウンセリングサービス所属・「名古屋・東京・大阪・福岡地区(&オンライン)担当」
「恋愛」「結婚」「夫婦」「子育て・家族」「自分自身(性格・生き方)」などを、あらゆる心理面からバランス良く分析し解決に導く「ちょっとだけ予約が取りにくい」人気カウンセラー。明快な分析と的確なヒーリングセッションが評判で、20代〜40代のみなさんにリピーターが多い。
そも屈託のない人柄・語り口から「話すと元気になる・安心できる」と好評をいただく。
年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派かつ現場主義。
口癖は「しゃーないですよね」「どんなことにも事情があるよね」。
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