毎週月曜日の「恋愛テクニック」は、「カップル・カウンセリング」と題しまして、パートナーとの関係をより良いものにするため、「男性心理」「女性心理」を紐解きながら、さまざまなご提案を、池尾昌紀・池尾千里、夫婦でさせていただいています。
今週は、私・池尾千里が書かせていただきます。
お読みいただけたらと思います。
心理学を学ぶ中で、男性特有の心理を知る度に、ああ、そういうことか！だったり、そんなことがあるの？！と驚いたり、男女というのは、全然違う生き物なのだなと思うと同時に、これを知っているのと、知らずにパートナーシップで試行錯誤するのとでは、ずいぶんと苦労が違うのでは？とも思うのです。
年末も押し迫った本日は、前回の私の記事の続きをお贈りしたいと思います。
お付き合いいただけたらと思います。
年末年始忙しい＆夫がアテに出来ないあなたへ＞＞
前回の記事では、夫をアテにできないA子さんのお話を書きました。
「アテにしない」ということは、夫婦で分担してやること全部「自分一人でやる」ということですから、とても大変です。
とても大変だけど、「自分一人でやる」と決めてしまった裏には、とても悲しい理由がありました。
お願いした、たったひとつのことさえも、してもらえなかった。
その体験は、A子さんの心を深く傷つけ、もうこんな悲しい思いを味わいたくないという痛みが、A子さんを非常に自立したやり方にしてしまっているのでした。
しかしながら、このやり方は、あの「してもらえない」という悲しい思いはしなくて済むのですが、いろいろなことを「自分一人でやる」ことに、うんざりしたり、疲れてきます。
当然、「どうして私ばっかり！」と夫に対して、常に腹が立っている状態にもなりやすく、A子さんとご主人との関係も、殺伐としたものになっていました。
でも、人生を楽しいもの、幸せなものにしたい時に、パートナーシップだけを置き去りにはできません。
足元がグラつく状態で、よそで楽しみをみつけたとしても、十分には楽しめないのです。
■ 男性の「役に立ちたい」という動機
冒頭で申し上げましたが、男女がちがうこと、そして、男性心理、女性心理には、本当に大きな違いがあることを知っておくことで、今回のA子さんの問題にも、風穴を空けることができます。
男性は、「誰かの役に立つ」ということが、いろいろな行動動機になっているらしい、ということです。
「らしい」と書いたのは、女性にとっては、信じがたいことであろうと、女性の私自身が感じているからです。あえて、「らしい」という認識で、まず読み進めていただけたら、違和感が少ないのではないかと思います。
男性は、結婚すると、仕事のモチベーションが上がると言われています。
女性は、結婚と仕事が、そういう関係にはなりません。
そこには、男性が、「家族にために」という動機ができると、俄然やる気が出てくるということです。「自分が家族を守る」ということで、「家族の役に立てる」という、彼らの中にそもそもあった行動動機をしっかりと満たせるのですね。
誰かの役に立つということは、もちろん女性にとっても、喜びであることは、間違いありませんが、男性にとってのそれは、もっと大きな意味を持つようなのです。
ですから、男性にとっての「仕事」というのは、経済力によって、家族の役に立つものであり、社会から、家族を守ることのできるもの、そしてそれが、男性の喜びであるだけでなく、自己価値や自己肯定感というものにも、深く結びついているのですね。
現代には、女性が経済的に家族を支えていて、男性が仕事を持たないというご夫婦が、あまり多くありません。
その理由は、男性にとって「仕事」で満たされるものが、女性よりもずいぶんと多いからなのかもしれません。
■ 浮気相手は、ほどよく弱り、甘え上手
では、お話を「夫をアテにできない」という辺りまで戻してみましょう。
男性側からすると、「アテにされない」ということは、「役に立つチャンスが皆無」ということになります。
役に立てない場所に、彼らは、居場所があるとは感じられません。
浮気をする男性の心理には、この「居場所」というキーワードがよく出てきます。
夫婦の間に距離があり、家庭に居場所を感じられないと、どこかに居場所を探してしまいます。それが、浮気相手のところというわけです。
そして、多くの場合、浮気相手は、ほどよく弱っていて、ほどよく甘え上手なことが多いです。
「寂しいの、一緒に居て」
という女性の側に居たら、彼女の役に立てます。助けてあげたいって思うでしょう。
「あのレストランに行ってみたいな」
と甘えられたら、連れて行ってあげたら、どんなに喜ぶだろうって思うでしょう。
何かをしてあげることで、誰かが喜んでくれたり、感謝してくれたりすることで、「役に立てる」という部分が満たせる場所では、男性は居心地がよく、ここに居たいと感じます。もっとしてあげたいと思うでしょう。
浮気というのは、「好き」という気持ちもさることながら、こういった要素が、離れられない関係を作るともいえるのです。
ということは、男性にとって、家庭の中に役立てる機会がないというのは、居場所がないということと同じなのです。
いくら、この家のローンを夫が払っていて、世帯主が夫だったとしてもです。
■ 妻が元気で、機嫌よくしていることの効果
夫をもう一度アテにして、また傷つくことになるかもしれない。
それは、嫌だと感じられるでしょう。その通りだと思います。
では、どうすると「夫を、私の役に立たせることができるだろうか」と考えてみましょう。
仕事で、毎日、夜遅くまで残業して帰って来る夫に、夕食作りを手伝ってというのは、難しいですよね。でも、朝のゴミ出しを頼むのは可能かもしれません。
または、お休みの日に、ちょっと子どもをみてもらって、２時間お茶に出かけるくらいなら頼めそうです。
ゴミを出してもらったら、「助かったわ、ありがとう！」。
お茶から帰って来たら、「おかげで、リフレッシュできたわ、ありがとう！」。
ちゃんと感謝を伝えましょう。
すると、夫は自分のしたことが、妻の役に立てたのだと認識できます。
感謝されたら、とても気分がいいものです。
妻が、不機嫌で、不調を訴えている家庭は、居心地がよいでしょうか？
妻が、いつも元気で、なんだかご機嫌で、幸せそうにしてるというのは、夫にとってとても楽ちんで、とてもありがたいことなのです。
「ああ、自分は、妻を幸せにできているようだ。役に立てているらしい。」
そう感じられるからです。
男性は、こうしてわかりやすい形になって初めて、自分ができていることを認識できるようなのです。
私は、この男性の特徴に出くわす度に、ちょっと「気の毒」と思ってしまいます。
そして、可愛いような、いじらしいような気持ちにもなります。
■ 夫は、あなたを傷つける人ではなく
夫をもう一度アテにするためには、してもらえなくて、悲しかった痛みを整理することも必要かもしれませんが、できることから、できるやり方で、夫をあなたの役に立たせてみてはいかがでしょうか。
彼は、あなたを傷つける人ではなく、あなたの役に立ちたい人なんです。
この１年、どんな日でも、夫は仕事に出かけて行きましたよね。
それは、彼自身のためなんかではなく、あなたのためだったことを知っていただき、是非、労をねぎらい、感謝を伝えて差し上げてくださいね。
「そんなこと、あたりまえ」だと彼らは思っているはずですから、ちょっとびっくりされたりするかもしれませんが、まんざらでもないはずですよ。
今年１年、お読みいただきありがとうございました。
また来年も、池尾家ふたりで、お役に立てる記事を書いてまいります。
どうぞよろしくお願いします。
良いお年をお迎えください。
池尾千里
次週、来年１月６日（月）は、池尾昌紀が担当します。
どうぞお楽しみになさってくださいね。
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