あなたの「問題」はあなたが「愛を受け取る」まで、存在しつづけるのかもしれない。

■カウンセリングサービスの浅野寿和です。いつもご覧いただきありがとうございます。

このブログがアップされるころ、僕は東京に向かっていると思います。出張カウンセリングとセミナーのためですね。

そういえば、今年のクリスマスイヴ、東京でワークショップを開催することになりました。

ワークショップの詳細は「こちらのリンク」からご覧いただければと思います。ぜひともお越しいただければ幸いです！

それでは今日のコラムです。

今日は「私の話、ネタに使ってください」と許可をいたただいた、ある女性のストーリーをご紹介します。（具体的なセッション内容、個人が特定できる情報を掲載しないお約束をしております。）

よろしけれお付き合いください。

＊＊＊

ある女性がご主人との離婚の問題で悩まれていました。ご主人から「もう一緒にやっていけない、お互い一人になろう」と告げられたそうです。

彼女はとても誠実で努力家。結婚後も家事も仕事もきちんと両立していた人。

ご主人もハードワーカーの気質はありましたが、周囲から頼りにされるしっかりされた人でした。

なので、彼女の家族・友人からは「まさかこの2人に離婚の話が出るとは・・・」と驚かれたそうです。それぐらい二人の関係は「外から見れば順風満帆」に見えていたし、彼女もそうであってほしいと願っていたのでしょう。

＊＊＊

実際に離婚の話し合いになった時、ご主人は彼女にこう告げたそうです。

「君はとても頑張る人。君のことが嫌いになったわけじゃない。でももう重い。そばにいて息苦しさを感じてしまう
。」

もちろんその言葉は彼女のハートの突き刺さりました。ひどい自己否定感を抱え、泣き崩れてしまったそうです。

その後、いろいろWEBなどで調べた上で、カウンセリングというものを知ってくださり、僕のもとにお越しくださいました。

彼女は自分を見つめなし、心のことも学び、持ち前のハートの強さで、彼を受け容れ、愛し、理解していきました。

彼女自身も心を癒やし、彼にとって居心地の良い空間を作ろうと努力されたのです。

そのおかげでご主人との関係は一度はもとに戻ったように、思えていたのです。

が、ある時、また「やっぱり一緒にはいられないと思う」とご主人から告げられます。

「君の思いにはほんとうに頭が下がる。でも分かって欲しい。もう一緒にいると僕が僕でいられなくなる。」

彼女は本当に努力をしましたが、そのご夫婦は離婚することになったのです。

もちろん彼女は望まない離婚でしたから、最後まで受け容れることを拒みました。

しかしあまりに切ない顔で向き合う夫を見て、「これ以上彼を苦しめてはいけない」と思い離婚に同意したそうです。

この時点で、僕とのカウンセリングは一旦終了ともなりました。

＊＊＊

その後、彼女は仕事に打ち込むようになります。もちろん新しいパートナーシップを持つつもりはなかったそうです。

しかし、彼女はとても誠実な女性であることには変わりはありませんから、彼女に好意を寄せる男性が複数現れたそうです。

ただ、彼女は「もう大切な人との関係で傷つくのは嫌」と感じていましたから、彼女は好意を寄せる男性の気持ちを受け取らず全てお断りしていたそうです。

時には

「本当に私のことを思うなら、私のことを放っておいてくれればいいのに・・・」

そう思うこともあったそうです。

ただ、そんな時、彼女のことを、決して諦めず愛そうとした男性が現れたそうです。その彼は真剣に好意を伝えてくれる人。

もちろん彼女は未だ恋する気持ちになどなれるわけもなく、その男性の好意も拒絶します。

しかし、その男性は、彼女が本当にそっけなく突き放しても、しばらくするとまた好意を向けて近づいてきたそうです。

その度に彼女は・・・

「私のことを何も知らないくせに、私のことが好きだって、本当に鬱陶しい・・・」

その男性のことをひどく嫌悪すらしたそうです。同時に、そんな自分をも嫌悪してしまうでしょうけどね。

＊＊＊

ある時、どうにも「最近気持ちの面で苦しくなる事が多い」とのことで、彼女はまた僕のもとにお越しくださいました。

そこでは「お久しぶりですね〜」とお話しながら、今までに起きたいろんなお話を伺ったのですが、僕は「彼女の今の問題」を伺って、なるほど・・・と感じたんです。これはまだプロセスがつながっているのだ、と感じたのですね。

そこで僕は彼女にこのような話をお伝えしたんですよね。

「なるほど、ですね。

・・・○○さん。今なら・・・別れたご主人がどんな気持ちだったか、痛いほど理解できませんか？」

この言葉を聞いて彼女はハッとされたんです。

「昔、あなたは『ご主人をどう愛するか？』と頑張っておられましたよね。もちろんそれはあなたの愛情ゆえのことですよね。それは僕もよく知っていますよ。

でもね、今ならその逆・・・人の愛を受け取れないってこんなに辛いんだって、分かりませんか。」

「あなたは、今、その好意を寄せてくれている男性を傷つけてやろう・・・なんて思っていないでしょう？むしろそっとしておいてほしいだけ、なのではないでしょうか」

彼女はその話にうなずいてくださいます。

「私がまた傷つくことが怖いだけ、辛い気持ちになることが嫌なだけですよね？であるならば、もしかすると、未だあなたの中に離婚のダメージがあるのかもしれないですよ。

ただ・・・その辛さが理由で、男性の好意を拒絶しているなら、あなたはまだこう思っているのかもしれない。

『私は愛されないし、どれだけ頑張っても、男性に私の思いは届かない。きっと辛い思いをするのは私・・・』

僕もね、そう感じることを否定的に見ているわけじゃないんです。

でも、大切なことは、そこにはないように僕は思うんですよ。

今、改めて伺います。

元のご主人があなたを拒んだ理由は、「あなたがダメだから、価値が無いから」なのでしょうか？

ちょっとつらい話だけど、ちゃんと完了させるためにあえてお聞きしています。

今のあなたなら、どう感じるでしょうか。

あの時、あなたの気持ち、あのご主人に届いていなかったんでしょうか？

違いますよね？

・・・実は『届いていた』から、ご主人は苦しんだ。

そう考えないとつじつまが合わないですよね。もちろんこれはご主人の問題も大きいのですけどね。」

「だから今、あなたの前に現れたその男性、昔のあなたかもしれないですよ。」

ここで彼女は気づいていただけたようです。

私はずっと自分の魅力や愛情が足りない、自分の努力が足りなかったから離婚になったんだ、と思いこんでいたけれど、そうではないらしい・・・と。

私は本当にあのときの夫の苦しさがわからなかった。

でも、その時の私はただ必死なだけだった。その必死さが夫には辛かったのかもしれない。

そして、人は心にダメージを受けていると「愛されるほど辛い」と感じることがあるんだ。

そんなことを感じ取っていただけたようです。

「不思議ですよね・・・。あなたの必死な善意が相手を苦しめるってね。切ない話ですけどね。

でも「相手の気持ちに気づく・受け取る」ってこういうこと、かもしれないですね。

僕はね、今、あなたやご主人のどちらが悪いとか、なぜ気付かなかったのか、とか、昔の話を掘り返して欲しくて話しているわけではないんです。

でもね、もし、少なからず長い時間あなたの傍にいた「ご主人さんの願い」ってどこにあったのでしょうね？

ご主人さんはあなたに愛情も魅力も価値もないと言いたかったのでしょうか？

そして今も・・・あなたに傷つき苦しんでいてほしいと思っているのかなぁ？どうでしょうね。」

自分を許し、愛を受け取るってこういうことだと僕は思うんですね。

そして、彼女にとって、離婚の問題が持ち上がった時には気づけなかったことを、その後のプロセスで気づくといったようなことは、カウンセリングの中では頻繁に起こることでもありますね。

その彼女は、そこでご主人の愛をようやく受け取れるようになったのです。私がダメだった、頑張れなかったという失敗感や無力感を手放しながら。

「ようやくちゃんと離婚できた気分です、私。もういいですよね、幸せになっても。」

最後にそんなお話を伺うこともできました。

僕は、今回のようなプロセスを経験する度に・・・カウンセリングには本当にフロウ（流れ）があるよね、と感じます。今、起きていることが全ての答えだ、とは限らないといいますか。

そして私達の問題は、本当の問題の意味、愛や、真実というものに気づけるまで、ココロの中にあり続けるものなのかもしれない。僕はそうも思うのです。

今回は以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。