池尾昌紀

 

毎週月曜日の「恋愛テクニック」は「カップル・カウンセリング」と題して、パートナーシップの問題の修復やもっと幸せな二人になるための提案をしていきます。

担当は「池尾昌紀」「池尾千里」の夫婦カウンセラー。夫婦で毎週交代で発信していきます。

「月曜日:カップル・カウンセリング」のコーナーを、どうぞお楽しみに!

>>>本連載の過去の記事はこちらへ! 

 

◎カップル・カウンセリングの詳細は以下をご覧ください。
>>>「カップル・カウンセリグ」って何?


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ある男性の独り言

 

*****

毎日毎日残業。

家に帰るとすでに部屋の電気は真っ暗。

明かりをつけて食卓を見ると食事が置いてある。

一人で夕飯を食べる。

 

毎朝起きても妻とは目も合わせない。

玄関を出る時も、台所から出てこない。

 

休みの日に家族と顔を合わしても、妻は不機嫌な顔。

子どもは挨拶くらいはしてくれるけど、何を話すこともなく

自分の好きなゲームやテレビをつけ始めるだけ。

 

なのに妻と子どもは妙に話題が盛り上がる。

側で見ていて不自然なほど。

わざと楽しそうにしてるんじゃないかと思うくらいだ。

 

何のために毎日働いているんだろうって思う。

*****

 

浮気が発覚したり、離婚を夫が突然言い出した時。

夫が語る理由の中で出てくる背景の一つをわかりやすく形にすると

こんな感じです。

 

これは、カウンセリングの中で、夫が発した言葉を私が翻訳したもの。

 

妻が夫から聞かされた話はこんな長いものではないんです。

 

「もう無理だから」

「一緒にいるのが疲れた」

「一人になりたい」

 

これくらい。

たった、これくらいしか、思いを言わないんです。

浮気という大変なことをしでかしたのに。

離婚という大きな決断をするのに。

 

妻としては、納得いかないのは当たり前。

だから、一体どういうことなのよ!何を考えてるのよ!と激怒したり、呆れたり。

でも、こんなに言葉が少ないことに本当に悲しみを感じます。

当然ですよね。

 

だから、通訳させていただくわけです。

すると、冒頭の内容になるんですね。

 

こうしたお話をさせていただくと、女性としては、まず内容に腹がたつわけです。

 

妻としては、仕事が忙しくて夫がいない間、家と子どもを守っているのは大変です。

夫がいない分、父親役もやらないといけないし、自分だって寂しい。

寂しいのは子どもも同じですから、母と子どもで仲良くなっていくのは自然なこと。

たまに父親の顔を見ても、何を話していいか子どもだってわからない。

妻が不機嫌になるのは、寂しさの裏返しです。

それどころか、夫を放っておいている気持ちになるので、罪悪感から自分を責めたくなって不機嫌になってしまうことも多い。

 

ここまで整理がついてくると、今度は、やっぱり何も言わない夫に腹がたつし、悲しくなります。

 

でもできないんですね、男性は。

それどころか、私が通訳した説明に対して、夫自身が「多分、そんな感じ」という始末。

状況については納得できても、感情の説明の部分は感じられない。

それほど感情を感じることがわからないのです。

 

感情を感じられない男性も、感じたり表現しやすい感情があります。

それは怒り。

 

怒りについては男性は感じる許可が出やすいし、男性性からも怒りは出やすかったりします。

私たちの振る舞いのモデルは自分の親ですから、昔の父親の典型的なスタイルは怒ると怖いが無口、ですので、それは許可が出やすいんですね。

また、社会の中で厳しい態度をとることを求められるので、使い慣れているとも言えます。

 

でも、怒り以外の感情は感じられなかったり、表現の仕方がわからない方が多いんです。

 

女性からしたら、感じられない、わからないでは済まないじゃない!と怒る方もたくさんおられます。

怒るのが当然ですから、まずは、怒ってもいい!と自分に許可を出してもらいます。

なぜにわざわざこんなことを説明させてもらうかというと、怒りながらも、怒っている自分を責めている方が多いから。

怒っていいんだ!当然なんだ!ということわかって怒っていると、気持ちが変化してくることが多いんです。

夫のことを本当に何てバカなやつなんだ!不器用なやつなんだ!と思う。

すると、だんだん、かわいそうになってきたりするんですね。

 

ここまで話が進むと、その先の具体的な解決のためのアプローチができる余地が出てきます。

 

それは、感情を感じられない、表現方法がわからない夫には、理屈ではなく、行動で教えてあげる、というやり方。

夫の方からアプローチできないなら、妻の方からアプローチしてあげる。

難しいことではなく、夫に声をかけてあげる、見守ってあげる、ということなんですね。

 

人の心は、してもらって嬉しかったり心地よかったりすることの積み重ねによって、自分もしてあげたくなっていきます。

感情を感じにくいタイプの男性は、その変化はとてもゆっくりなので、待つのは大変ですが、少しずつでも変化は現れることが多いんです。

 

大切なのは「無理しないこと」。

無理やりやると自分が苦しくなって、結局、苦しみが表に出るので、やっぱり不機嫌になって逆効果になります。

自分の思いを聞いてもらう場所を作ったり、リラックス

 

カップルカウンセリングでは、お互いの思いを私たち夫婦カウンセラーが通訳して橋渡しのお手伝いをさせていただきますから、誤解が解けやすくて便利ですが、なかなか二人揃ってカウンセラーのところには来られません。

 

ですから、まず、お一人で来られるか、自分の思いを聞いてくれる友達とたくさん話す時間を作ったり、思いをぶつけるノートを作って毎日書いたりする。

ヨガに行ったり、カラオケを歌ったりして、心に溜まっているものを発散させる、自分をケアする場所を作りながらやっていくとやりやすいんですね。

 

こんなアドバイスを女性にさせていただいて、まずは夫のことを諦めていた気持ちから、もう一度「夫を見てあげよう」と思いなおした奥様が、夫へのアプローチを始めていった。

 

その後、冒頭の夫の独り言はこんな風になっていきました。

 

*****

最近、妻の様子が変だ。

 

おはようとか、いってらっしゃいとか、ちゃんと言ってくる。

用事があって話をする時も、こっちの目を見て話しかけてくる。

すごく嫌な気持ちになる(←これ、ポイント)。

 

休みの日も、妻と子どもの話に自分を入れようとする。

放っておいてくれたらいいのに(←これ、ポイント)。

 

週に1日くらい、帰宅したら居間に明かりが灯っている時がある。

何事かと思ったら、妻が起きていて、夕飯を出してくれた。

 

何か悪いことでも言われるんじゃないかと嫌な気持ちになる(←これも、ポイント)。

*****

 

というわけで、ますます夫の態度は硬化していくわけですが・・・

この先なんです。夫が変化していくのは。

 

今更なんだよ、という気持ちから、本当に受け入れてくれているのかな、という気持ちになり、もしかしたら受け入れてくれているかも、という気持ちになります。

 

すると、軟化してきます。夫の態度が。

 

夫も目を見て話をしてくれるようになったり。

険しい顔が和らいだ顔になったり。

 

男である私が言うのもなんですが、男は本当にめんどくさいです。

でも、単純でもあります。

 

「ホント、男ってバカでめんどくさいけど、単純よね」

そんな風に軽く笑って言えるようになれるようになった女性のクライアントさんを私たち夫婦カウンセラーはたくさん見てきました。

 

相手の変化は自分のアプローチの積み重ねで起こり得るんですね。

 

今回のお話が少しでもお役に立てたら幸いです。

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この「カップル・カウンセリング」のブログ連載では、男性心理を「池尾昌紀」が、女性心理を「池尾千里」が担当し、「男心」「女心」を解き明かしていきます。

 

合わせて「男心」「女心」を理解しあった二人が、どのように問題を乗り越えていけるのか、という事例を紹介しながら、恋愛・夫婦問題で悩んだり、恋人が欲しい!方へのアドバイスを発信していきます。

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手っ取り早く「男女の心理が知りたい!」という方は下記の記事をご覧ください。

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また、夫婦の関係性についての記事は、下記をご覧ください。
>>>「夫婦のラブ・クリニック」

今後の「池尾昌紀」「池尾千里」の「カップル・カウンセラー」によります、男女関係改善のためのブログをどうぞお楽しみにしていただけたらと思います。

 

次週は、4月11日(月)は妻、「池尾千里」が担当します。
どうぞお楽しみに!

 

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