池尾千里

毎週月曜日の「恋愛テクニック」は、「カップル・カウンセリング」と題しまして、パートナーシップの問題の修復や、もっと幸せな二人になるためのご提案をさせていただいています。

担当は「池尾昌紀」「池尾千里」の夫婦カウンセラー。毎週交代で発信しております。今週は、池尾千里が担当です。よろしくお願いします。



    


私の今年の記事は、これが最後です。
今年4月から、夫婦でスタートさせていただきました。
みなさん、お読みいただきありがとうございました。
また、来年1/4(月)からスタートです。
どうぞ、よろしくお願いします。


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「夫婦なんて、こんなもの」。そんなふうに、静かに諦めて、でも、家族のために生きる、そんなご夫婦がたくさんいる時代です。今回は、現代の女性の中に、何が起こっているのかを見ていきたいと思います。


⬛︎観念とは、強く縛る厳しいルール


「男女は、平等である」と謳われ、女性がより自由に、生き方を選択できる時代になってきたにも拘らず、女性が感じている窮屈さは、何十年も前からの置き土産のようになっているようです。

この窮屈さの中には、社会のしくみだったり、日本の文化だったり、外からの原因もたくさんあるでしょう。でも、ここでは、女性の中にある観念にフォーカスしてみます。


観念というのは、心理学の言い方では、私たち誰もが、それぞれに持っているルールのようなものを指します。しかも、そこには、強い縛りがあります。


「~であらねばならない」

「~せねばならない」

といったような、厳しいルールです。


女性の中にあるこのような観念が、いかに根深く、潜在的で、自覚しにくいものか、まずお話したいと思います。



⬛︎両親という「夫婦」から学んだ妻の役割。


母親の世代には、専業主婦が多く、共働きをしている夫婦は少数派でした。

家の中の切り盛りは全て母親がし、夫を立て、家事も子育ても、父が手を出すことはなく、父親は、仕事でいつもいない。家事などしているのを見たこともない、子育てに積極的でもない。そんな家庭で育ち、母親のふるまいを見てきました。当然、妻とは、母とは、こういう「役割」を担うものであると、私たちは、自然に学んでいきます。「あるべき姿」「なすべき役割」という「観念」として、深く心に刻まれるのです。


やがて結婚し、妻となり、母となった時、女性をつき動かすのがこの「観念」です。先ほども申し上げたように、これは、厳しいルールのようなものですから、一生懸命に女性は守ろうとします。

たとえ、時代が変化を遂げ、男性が料理を作ったり、イクメンが珍しくなくなったり、主夫が家を守ったりするようになっても、また共働きで、夫と同じように収入があり、時間が制限されるような女性でさえも、心の奥の奥でこう感じるのです。


「本来、私がやるべきことなのに、夫にさせてしまった。」


母親のようにできなかった自分を責めてしまうのですね。

でも、こんなふうに自覚できる方は多くありません。これは、とても心の深いところにあるものです。

多くの場合は、キッチンに立つ夫に、なんだかもやもやするようになったり、夫の家事の仕方に腹が立つようになったり、「私がやるわ」と家事を全て自分でやりたくなったり、逆に、家事をまったくやる気がなくなってしまったり、といったことが起こったりします。

全部、「私は、いい妻じゃない」と責めているのです。



⬛︎「観念」に気づきを持つこと


現代の女性の持つこの「観念」については、「こういうところが、私の中にあるなぁ」と知っておくことが、とても役に立ちます。でなければ、このルールを闇雲に守ろう、通そうとして、自分だけでなく、夫もこどもも、振り回し、疲れ果ててしまうからです。


「いい妻じゃない」と自分を責めている悪い妻は、いないのです。

あなたを責めているのは、あなた以外にはいないのですから。


そして、もうひとつ。


現代の女性の中にあるこの観念の「価値観」というのは、母親の世代の前、祖母や、そのまた上の世代から受け継いでいる価値観であるとも言えます。とても「古風」なものなのです。

時代は変化し、暮らしも変わり、経済状態も変われば、さまざまな価値観も変化してきました。

バブル崩壊後、専業主婦と仕事を持つ妻の割合は逆転し、「夫婦」という関係の間にあるものも、「男性」「女性」のあり方や価値観によって、大きくシフトチェンジしつつあります。

何世代も前の価値観からのシフトチェンジだからこそ、現代の女性の心の中は、大きな葛藤が生まれやすいのです。そのくらい、長く続いてきた根強いものであったと言えるでしょう。


そして未来には、私たちの子どもたちの世代は、さらにこの変化が進み、きっと「男性」と「女性」がもっと水平で、イコールなものとして認識され、それが彼らの価値観として、自然と受け入れられていくことでしょう。


⬛︎「夫婦なんて、こんなもの」という諦め


冒頭に書いた静かな諦め。ここにも、女性たちが受け継いでいる「古風な」価値観が見え隠れします。

「夫婦」が長く一緒にいることで育まれるものより、不満や怒りや悲しみが大きく、やがてそれは、解決の糸口をみつけることができないまま、諦めに変わる。子どももいるし、離婚はない。「でも、そんなものよ」と、またいつもの日常へ。そんなご夫婦のお話、よく伺います。


こんな時は、自分が「女性」であることを生きていない時でもあります。母でもあり、良き妻でもある。でも、自分が「女性」じゃなくなっちゃったように感じる場所です。それは、誤解で、あなたはいつだって「女性」だったのですが、観念に突き動かされ、何よりも家族を優先させているうちに、あなたが忘れてしまっていたものです。


時には、美しいものを見に出かけたり、お洒落をして美味しいものを食べに行ったり、香水をつけてみたり、あなたの中の「女性」が喜ぶことを、日常に、是非取り入れてみてください。


そして、ご主人と日頃からしていただきたいことは、ただ一つ。「世間話し」です。なんでもない今日の出来事を、あなたが思ったこと、感じたことを、ただご主人に伝えてみてくださいね。

どうせ一緒にいるのですら、まずは、よいお話相手にくらいはなってもらってもいいのではないでしょうか。


お役に立てればうれしいです。

よいお年をお迎えください。



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この「カップル・カウンセリング」のブログ連載では、男性心理を「池尾昌紀」が、女性心理を「池尾千里」が担当し、「男心」「女心」を解き明かしていきます。


合わせて「男心」「女心」を理解しあった二人が、どのように問題を乗り越えていけるのか、という事例を紹介しながら、恋愛・夫婦問題で悩んだり、恋人が欲しい!方へのアドバイスを発信していきます。


手っ取り早く「男女の心理が知りたい!」という方は下記の記事をご覧ください。

>>>「こんな時の『男心』『女心』がわからない!」シリーズへ


今後の「池尾昌紀」「池尾千里」の「カップル・カウンセラー」によります、男女関係改善のためのブログをどうぞご愛読いただけたらと思います。


今回の記事がお役に立てれば嬉しいです。


次週、12月28日(月)は夫、池尾昌紀が担当します。

どうぞお楽しみになさってくださいね。


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