こんにちは。カウンセリングサービスのみずがきひろみです。秋葉秀海カウンセラーと隔週で、金曜日の「大人の恋愛術」を担当しています。
先週、秋葉秀海カウンセラーの「ホンネ」ブログを読んでちょっとがっかりしてしまった皆さまを、さらに落ち込ませようというわけではありません。
が、男性カウンセラーである秋葉さんが、すっきりと「結婚したいと思うのは、母のような(受容力)のある女性」と書いてくださると、とっくに当の立ったオバフォーカウンセラーとしては、「確かに」と大きく頷きつつ、「でも、『母』になってばかりではいけないョ」と、特に、すでに結婚され、お子様もいらっしゃるベテラン嫁にハッパをかけたくなるではありませんか。
というわけで、今週のみずがきのブログは、「母」であれ、でも「母」になるな、という身も蓋もないお話です。
親密感がセクシャリティの邪魔をする?!
男性にとっても女性にとっても、最初に「親密感」を覚えたのは、赤ちゃんのとき。関係性が親密だと温かくて、気持ちよくて、安心、と感じるベースは、人生最初期の母子関係にある、と心理学は考えます。だから、男性でも、女性でも、いい恋愛をしたかったら、「女性性」を磨きましょう、と私たちは言います。男性が女性の中にある「母」的イメージを追い求めるのはもちろん、女性だって、男性の中にある「女性性」(やさしさとか包容力と言ってもいいかもしれません)に惹かれます。
「あなたは、僕の母に似ているから、きっと二人はうまくやれるよ。」
彼にそう言われて、実際に彼のお母さんにお会いしたら、あなた的にみれば全然違うタイプの女性で、
「どこが似ているんだろう?」って思ったこと、ありませんか?
彼があなたに投影しているのは、秋葉カウンセラーも書いているとおり、「理想の」母イメージですから、現実には違うタイプの女性であることも多いです。
逆に、彼がお母さんとの間に葛藤を抱えている場合は、
「僕は、母みたいな人は苦手だからあなたを選んだ」なんて言う場合もあるでしょう。
すると、一見、あなたはお母さんとは違うタイプの女性なのですが、彼が感じている「理想の」母イメージという点では、やっぱり重なるところをもっていたりします。
でも、こうして惹かれあい、親密感を共有するドキドキ、ワクワク感が、ロマンスの醍醐味ですよね。(解説しちゃうとつまらなくなりますが、、、。)
ところが、ここから話がややこしくなります。
親密になればなるほど、心の奥底で、本人も気づかないうちに、相手を赤ちゃんの頃に体験した「母」なるものとして感じるようになります。こうなると男性であり、よりリアルに「女性」と「母」なるものが重なる彼の中で、より強いジレンマが生じます。
「お母さんとセックスするのはタブーだ!」
お互いに好きなのに、夫婦仲好しなのに、セックスレス。
なぜか、彼は「できない」と言う。
そうこうしているうちに、彼に外に「恋人」ができて、すったもんだすることもあります。
「私の何がいけなかったの?」と聞いても、
「あなたは何も悪くない」と言われて、納得がいくはずもなく、悶々としてご相談のお電話をいただくようなときは、こういうパターンが多いです。
母性には負の側面もある
また、次のようなパターンもあります。
誰しも、母性の豊かな懐に抱かれたい、と願うものですが、生身の「お母さん」は、なかなか「理想」どおりとはいきません。
大好きな「お母さん」も、鬼や蛇に変わることを、どの男の子も成長とともに学びます。そして、親密感が増せば増すほど、「お母さん」の中に見ていた「鬼」や「蛇」を、あなたの中に見つけては、それを心の中のプロジェクターで大きく映し出して、「怖い!」と思うようです。
よく言う、男には上司が二人いる。会社の上司と家の上司(もちろん奥さまです)、という心理状態が出来上がります。「お母さん」に嫌われたい子供はいませんから、なるべく怒られたくないし、いい子でいようとしますが、これが窮屈になってくることもありそうです。逆らえないような、縛られているような感じと言いますか。
妻にしてみれば、子供の「母」をやり、嫁として親族ともつきあい、疲れて自分も誰かに「母」になってもらい甘えたいと思っているところに、その候補である夫が帰宅しては「大きな子供」のように振る舞えば、イライラが募って隠しておきたい「鬼」も「蛇」も出てくる、こともありますよね。
「母」役割にしっかりと自分を閉じ込めて、彼の「お母さん」をやり通そうとすればするほど、絆があるのに、愛もあるはずなのに、ロマンスがない!セックスがない!という、なんとも寂しい状況が作り出されます。
「母」、「嫁」として頑張っているだけに切ない展開です。
「役割」を抜ける、「役割」を楽しむ
じゃあ、どうしたらいいのよ!と言いたくなりますよね。
彼に「結婚したい女性」と思われるためには、「(理想の)母親」みたいになった方がいいらしい。
でも、親密になると「お母さん」とイメージがかぶってセックスレスになるかもしれない。
そうなると私が「お母さん」で、外に「彼女」を作られるかもしれない。
それはイヤだ。
もちろんです。
もし、こんな風に感じられたとしたら、「『母』も、この記事では出てきませんが、『娘』も、女性が担いやすい「役割」の一つだ」、ということを思い出してください。
日本は、母性社会といわれるように、「母」への想いの強い文化があるように思います。どうしても女性は「母」役割を期待される場面が多くなりがちです。結婚すれば、なおさらでしょう。そんな期待に応えようとすればするほど、知らず知らずのうちに「お母さん」役割にはまって、そこから出にくくなってしまうこともありそうです。
一人の女性であるあなたの中には、「母」的なものもあるし、「娘」的なものもあります。でも、その前に、一人の女性です。
自分が24時間、「お母さん」をやっているなぁ、と思われたなら、時には、期待を裏切る覚悟で、日常生活の中で「女」に戻る、「娘」をやってみる、など、違う役回りをやるといいかもしれません。
男性は、女性に、「(理想の)母であってほしいし、セクシャルな女であってほしいし、かわいい娘でもあってほしい」と願っているように見えます。
「母」、ときどき「女」、ところにより「娘」。
「女」、ときどき「母」、ところにより「娘」。
バランスはどちらがいいのかわかりませんが、こんな感じでしょうか。
面倒くさい!って思われますか?
でも、それこそ、女性が女性として生まれてきて、女性であることを味わい尽くす、楽しみ尽くすことでもありそうだと思うのは、私が欲張りだからでしょうか。
追伸 セックスレスについては、過去ログで、浅野寿和カウンセラーが簡潔にまとめたものがあります。ご関心のある方は、そちらもどうぞ。
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