最早、誰でもいい話 | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

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ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

今回の写真集の撮影に対し、ゆいは昨日からモヤモヤが取れない。主役の卓人にやる気を感じられないから。これがゆいの勘違いであってほしいが、その真意を本人にどう確かめたらいいのか分からないまま本人がスタジオへやって来た。今日も若いね~ちゃんたちを引き連れて。今さら部外者は!などと言えず、ゆいはいつも通りの挨拶をした。控室はさちが案内。準備をしてもらっている間に、ゆいはマネージャーに何となく話に触れた。

それは卓人のことではなく、ゆい自身のこと。今回のカメラマンは他に誰か候補がいたのかと。卓人の意志で健斗に相談したことで自分の名前が上がり、話をこっちに持ってきたのか。それが本当なら健斗はどこまで知っているのだろうか。

「撮影は始まってますし、今さらって感じなんですけど」

「そうですね・・・あまり詳しくは言えないんですけど」

そんな前置きはどうでもいい。マネージャーは撮影も進んでることだしということで軽く話してくれた。

肝心な名前は伏せられたが、卓人は撮って欲しかった女性カメラマンがいたようだった。しかしそのカメラマンは超人気の芸能人しか相手にしないということでほぼ新人の卓人はあっさり断られたと言った。そこで卓人が健斗に相談。そしてゆいの存在を知り、話が来たということだった。

だったら認めてくれるまで精進すればいいことで、何も無理して写真集を出さなくてもいいのでは?

ゆいがそう言いかけた時、清原さんが到着。マネージャーとの話はそこまでで終わり、ゆいは昨日のロケの進捗状況を説明した。まだ時間があるのでこれまでのスチールも確認してもらい、話を進めた。

 

今日の小百合はいつもの生協には行かず、ペットボトルの水を買って講義室にいた。そして一人、別れ際に言われたガソリン代のことを思い出していた。ゆいに言われればその通りで、事あるごとに小百合が出していた。それは自分の意志で、今まで一度もゆいから請求されたことがない。逆に必ず断られる。財布なんか出した日にはその財布を押さえつけるようにして、要らないと言う。

出掛けた際の食事や買い物は小百合が家計費から出しているので、ガソリン代までは・・・ってことなんだろう。

「私がゆいに気を遣い過ぎなのかな」

全く以てその通りだと、でもその気持ちは大切で嬉しいとゆいは言ってくれるはずだ。

小百合がボーっと考えていると、亜衣と弥生が来て小百合の隣に座った。

「おはよ。昨日新大久保のコスメの店に言ったら、まだお姉さんのパネルが置いてあったよ。何度見てもキレイだよね」

そうだった。小百合がユイたちと一緒に行った時に見つけたゆいの等身大パネル。見つけた瞬間、欲しい!持って帰りたい!と思った。家に帰れば本人がいるのに。亜衣に言われ、でしょ!と言いたかった。

「やっぱりクリームが入荷待ちになってて。予約受付中って。別の店にあったから買ってみたけど、小百合ちゃんも使ってるの?」

「うん、ほぼ便乗だけどね。勿体ないから夜だけ」

CM第2弾の話は内緒。パネルで思い出した小百合はふと気になることが頭をよぎる。それは髪の色だ。今は冒険心でほぼ金髪。小百合のお気に入りの色だが、さすがに金髪は違うだろう。仮に黒く染めることになったとしても、元に戻してくれるなら。

『今日帰ったらゆいに聞いてみよう』