朝の支度は急いで! | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

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ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

朝ご飯の最中、どうでもいいことを聞かれたゆいは、小百合から怒らないでと前置きされたにもかかわらず、やっぱり語尾が強くなってしまった。

だいたい佐伯さんとはCMの件以来LINEも電話もない。もちろんゆいからもしない。だから引っ越すことも自分から話す理由などないのだ。

小百合に言われゆいはそんな口調になったが、あまりムキになって言うと却って疑われてしまうので引っ越しのことは話さないと約束して茶碗を重ねた。

洗い物は小百合がやってくれると言うので、ゆいはお言葉に甘え自分の支度を始めた。

 

「小百合?今日はどこで待ってる?図書館?」

「うん、そのつもり。そろそろゴールが見えそうなんだ。でも今日は一緒に行くから」

このまま頑張れば明日には終われそうだ。ゆいに泣き言を言った割にはどことなくやる気が出たのは、やっぱり昨日の❤のせいなのかも。

「いや、それはない」

「何が?」

「ううん。ゆいはお昼はどうするの?用意してくれるの?」

「うん、あきちゃんがそんなこと言ってた。じゃなくてもコンビニがあるし」

そんなんじゃ力が出ない。コンビニ弁当を食べるくらいなら作ってあげたいと小百合は言う。

「えっ?小百合、作ってくれるの?そしたら明日お願いしてもいい?」

「いいよ♪」

「ありがとう!」

 

ゆいは歯ブラシを銜えたままテレビをつけ、天気をやってる番組をザッピング。見つけたのは天気ではないが、未来が収納グッズの紹介をしていた。

小百合に伝えると慌てて画面を見ては『ほ~』と言いながらそのグッズを見ていた。

「ちょっと垢抜けたっぽくない?」

「見慣れてきたね。最近未来ちゃんとLINEしてる?」

「ぜ~んぜん。ま~でも元気でなにより。このままタレントになるのかな」

結局どこのチャンネルもお天気情報はやってなく、ネットのニュースで確認。

今日は夕方から雨らしい。帰りはいつになるか分からないので、洗濯物は部屋干しのままにしておいた。そこそこの量なので、部屋の中はもう生乾きの臭いで埋まる。

 

ゆいは急がなきゃと言いながら、今日つけるピアスを選んでいた。

大袈裟かもしれないが、ゆいが普段つけるピアスはゲン担ぎも兼ねた特別な物。昨日のようにロケが海の時は、落としても海水がかぶっても大丈夫なように失くしても平気な自分で買ったものを付けている。それ以外は小百合が買ってくれた物の中から選んでいる。

今日はいつものスタジオなので、ちょっと気合を入れようと小百合から誕生日プレゼントでもらった誕生石のピアスにした。

「ゆい、時間大丈夫?何迷ってたの?」

「ピアス。今日はこれ。この色好きなんだぁ」

服はパステル調でなければどんな色でも合う。仕事中はユニフォームなので色もへったくれもないが、それでもいい。

ゆいがもたもたしている間に、小百合は戸締りを確認。もう家を出るばかりだ。

「ゆい、そろそろ行かないと」

ゆい、支度が遅かったのでメイクが薄め。そんなにピアスを選ぶのに時間が要ったのか?

「ゴメン、ゴメン。行こう」

出掛ける前のいつものチュー。今日の小百合のリップはゆいからもらったピンクのパール入り。気付いたゆいは嬉しいと一言。

「大事に使ってるよ。ゆいにたくさんもらったからどれにしようか迷っちゃうけど。じゃ~行こうっか」

ゆいがピアスで迷うなら、小百合はリップで迷う。どれもお気に入りなものだから。