さぁ~!どうなる? | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

本当に寝るつもりだった。緊張した一日、ゆいも朝早くからの撮影に疲れたはず。でもそんなゆいが自身のことよりも小百合のことを心配してくれた気持ちが嬉しかった小百合は溢れ出る思いをゆいの体に触れることでわかってほしかった。ゆいもまた、甘えてくれる小百合を愛おしく思い、小百合の思いを受け止めた。

 

「ゆい、ごめんね。もう寝なきゃいけないのに」

「どうして謝るの?私は小百合の気持ち嬉しかったんだけどなぁ。それに今日の小百合、優しかったんだもん。何が?って言われるとアレなんだけど」

まだマッタリしたい時間。もう少し❤と思っていたところに雨戸を叩くほどの猛烈な雨が降ってきた。さすがに小百合は驚きゆいと目が合う。

「降ってきたね。怖い?」

「ううん。ゆいがそばにいるから怖くない。ね?あのさ。ごめんね、生活費のこと」

このマッタリした空気の中、また謝る小百合に、ゆいは無言。月末や月初めには必ず話はするが、今はまだ23日。小百合に言われるようなことはあったか?と小百合の目をじっと見ながら考える。しかし身に覚えがないので全く分からない。

よくよく聞けば今日の買い物のこと。それと自分のせいでゆいも節約しなきゃならないことも。日々一緒に暮らしているとそれが当たり前みたいになってしまうが、小百合が何不自由なく暮らせるのも、ゆいがそれなりにお給料をもらえているから。ゆいの稼ぎなのに一瞬でもそれを当てにしてしまっている自分がいることも。お線香の話も少なからずそこに繋がっているんだと気付いたゆいは、小百合のおでこをピシッと叩いた。

 

「すっごくいい気分だったのに何を言い出すかと思ったら。何度も言うけど、小百合はちゃんと出してくれてるでしょ?居候じゃないのよ。小百合はこの家では自由なの!それに私が、小百合がいるから私の自由がなくなるとか、好きな物が食べられないとか、もしそう感じてるなら引っ越しを機会に理由を付けて小百合を実家に戻してる。

ね?二人でさ知恵絞って、こうして生活のこと考えるって大変だけど楽しくない?どうなるんだろうって想像するけど不安はないの。だって小百合も一緒にそうやって考えてくれるから。だから謝ることはないの。分かった?」

「うん・・・」

 

ゆいに半分怒られたような小百合は、ゆいの胸に頬を寄せると汗ばんだ体に絡むように抱きついた。ゆいはタオルケットを小百合に掛け『おやすみ』とつぶやいた。

「ゆい、ありがと」

「うん」

 

ゆいは頭の中で思い返す。今まで何度この話をしただろうと。小百合は常に遠慮した気持ちで一緒に暮らしているのかと、ゆいは寂しく思う。

『大丈夫。大丈夫だから』

声に出さずとも、小百合にそう伝え、ゆいも目を閉じた。

 

今朝方、バケツなのかよく分からないが、風で何かが電柱にぶつかり大きな音を立てた。

二人して目を覚まし、何事かと起き上がる。

「何!今の音。小百合、おはよ」

「おはよ。もしかして上陸でもしたのかな」

小百合はもう一度横になりテレビをつけ台風情報を探すと、ゆいも小百合を後ろから抱き寄せ一緒にテレビを見ていた。今はどこのチャンネルも台風上陸ばかり。

「ゆい、どうしても行かなきゃダメなの?」

「小百合も休講のメール来ないじゃん。やっぱ行かなきゃ。あ~ほんとだ。やっぱり昼には上陸だって。これじゃスタジオにも行けないよ」

 

授業があるのか休講になるのか早く連絡が欲しい。何度スマホを見たところで何のアクションもない。サイトを開いても何の詳細もない。記載されているのは台風における休講についてのことだけだ。

連絡が届かないスマホを見ても仕方がないので、小百合はユイと菜々にLINEを送った。

すると、先に返事が来たユイのLINEで小百合は大騒ぎする。

「ゆい!昨日って秋分の日・・・」