「今回の事故は予測されていた!」-MEDIAPART など2本 | 福島原発に関するフランスメディアの記事の要約、日本語訳

福島原発に関するフランスメディアの記事の要約、日本語訳

双方とも原発大国でありながら、福島の原発事故に対して日本メディアと論調が違うフランスメディア。その中から毎日いくつか記事をピックアップして、日本語での要約を掲載。

今日の一本目は、今回の福島原発の事故の可能性が以前から指摘されており、日本政府と東電の認識の甘さが今回の事故を招いたという、衝撃的な記事からです。

MEDIAPART
3月15日付け ''Japon: la catastrophe nucléaire avait été prévue''
http://www.mediapart.fr/journal/international/150311/japon-la-catastrophe-nucleaire-avait-ete-prevue?page_article=2

<要約>
・日本の地球科学者、石橋克彦氏(神戸大学都市安全研究センター教授)が2006年の時点から日本の原発の地震に対する脆弱性を強く指摘していた。


福島原発に関するフランスメディアの記事の要約、日本語訳


・原発に関する有識者会議等で彼は数回にわたって警告を発していたが、
彼の警告は日本政府にも、東電にも全く聞き入られなかった。そして今日、彼の警告どおりのことが起きている。

・「地震に対する日本の原発の脆弱性に対して、根本的な措置を即急に取らない限り、近い将来に原子力大惨事が起こる可能性がある」(石橋克彦氏、2007年8月11日、International Herald Tribune紙に対して)。


・石橋氏は元々日本政府の、原発耐震規格選定委員会(正式な名称はわかりません><)に籍を置いていたが、委員会のあまりにもの手ぬるさ、だらしなさに愛想をつかして辞任していた。


・2006年に日本の原発の耐震規格が改定されたが、彼はあまりにも不十分な改定だと発信していた。2007年7月16日に発生した、マグニチュード6.8の地震が招いた柏崎刈羽原原発の重大な事故、および2005年8月に発生した女川原発のインシデント、2007年3月に志賀原発で発生したインシデントなど、数多くの事例が彼の主張が正しいことを証明していた。


よって今回の事故をサプライズと呼ぶことはできない。2005年から連発している事故の、拡大版ということだ。それなのに日本政府と東電は予測不能であったというスタイルを崩していない。

・石橋氏は、「地震による地中の動きは、原発の設計上の耐えうる数値を超えるであろう」と言っていた。現に柏崎刈羽原原発の事故の際の地震による波動のピーク時の強さは、設計上耐えられる数値の2倍以上であった。よって「柏崎刈羽原原発の事故は完全に想定内であった」(石橋氏)。


・石橋氏はさらに「もし今後震源地が今回(柏崎刈羽原原発)の事故よりも原発に近い、マグニチュード7.5以上の地震が発生したら、地震のダメージと単数あるいは複数の原発の炉心溶融(一部、あるいは完全)による放射能汚染が合わさった、原発震災が発生し、壊滅的な状況になる可能性がある。」


・現在そのシナリオが実現しつつある。しかも今回のマグニチュードは、石橋氏が予想していた値よりも更に高い。


・石橋氏は2006年の耐震規格改定の際に、1000ガルほどの波動にも耐えられるようにすべきとしたが、実際の
改定では450ガルほどに収まった。
 ⇒ ガルの説明

・ 日本にある原発の大半が、プレートの安定により、地震が比較的少なく、弱めだった時期に建設されたため
、耐震強度が低めに設定されていた。

・しかし1995年の阪神淡路大震災を尻目にプレートの動きが活発化し、地震も多発するようになった。石橋氏はそのため耐震性が低い古い原発を廃炉するように求めたが、日本政府も東電も聞く耳を持たなかった。柏崎刈羽原原発事故の際に発生した、海底の亀裂にたいしても東電は目をつぶり、地震の危険性を過小評価し続けてきた。

・東電が信頼に反する事件を起こしたのは今回が初めてではない。2002年には原発における過去の点検記録に改竄等があったことが発覚し、社長と副社長が辞任することとなった。





REUTERS通信
3月18日7時17分(フランス時間)付 ''
Le Japon tente de rétablir l'électricité à Fukushima-Daiichi''
http://fr.news.yahoo.com/4/20110318/tts-japon-ca02f96.html


<要約>
日本の原子力安全・保安院のスポークスマンは、「チェルノブイリ作戦」を実行することを日本政府が真剣に検討していること公表した。
 ⇒ 「チェルノブイリ作戦」とは、原子炉に砂袋(土嚢)を大量に投げ込み停止させること。

・とはいえ現時点での最大の優先事項は原子炉の消化、冷却を成功させること。
 ⇒ 目標:本日中に冷却装置を復活させる

・昨日(17日木曜日)は、福島原発において大きな悪化は見受けられなかった。しかし本日金曜日の時点でも第2号機、3号機、4号機から白煙が引き続きあがっている。

・世界保健機関(WHO)は、放射線は局地的に限られており、現在の時点では緊急に健康を害する状況ではないと発表した。