「ル・モンド紙が危惧する最悪の事態」- など2本 | 福島原発に関するフランスメディアの記事の要約、日本語訳

福島原発に関するフランスメディアの記事の要約、日本語訳

双方とも原発大国でありながら、福島の原発事故に対して日本メディアと論調が違うフランスメディア。その中から毎日いくつか記事をピックアップして、日本語での要約を掲載。



まず最初に紹介したい記事は、昨日Twitterでも軽く紹介しましたが、REUTERS通信の物です。
昨日16日の13時51分(フランス時間、以下同)付けでYahoo!FRANCEにアップされたものです。

http://fr.news.yahoo.com/4/20110316/tts-japon-nucleaire-france-discours-ca02f96.html

<要約>
・フランス政府は当初のうちは福島の原発問題を楽観視していたが、野党勢力(主に緑の党など)の追求により事態を深刻視しだした。

・主な大臣の発言など、フランス政府としての(正式な)見解は以下のとおり
 
「最悪の結末の場合、インパクトはチェルノブイリ以上である。その結末の可能性はぬぐえない」
 (政府スポークスマンのBaroin氏)

 「(この現状は)カタストロフィ(超大惨事)である。この単語を持ちいる事に私は責任を持つ。このままでは最悪の結末を向かえる可能性はぬぐえない、むしろそうなることが見込まれる。」(閣僚会議後のKosciusko-Morizet環境大臣)

 「状況は好転しておらず、日本から正確な情報を入手するのが段々と困難になっている。」(ASN、国家原子力安全委員会委員長、Comets氏) *ASNの正式な訳はわかりません><

 「事態は深刻である。我々フランス政府は、福島の危険度はINES国際原子力事象評価尺度において7段階中6だと認定する。しかし日本政府はいまだ危険度4としかみなしていない。」(Bessonエネルギー大臣) 
  INESの解説はここへどうぞ http://ja.wikipedia.org/wiki/INES

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次に紹介したいのが、フランス一の発行数を誇る(たしか)LE MONDEルモンド紙の16日20時10分付けの物。

http://www.lemonde.fr/japon/article/2011/03/16/un-panache-radioactif-circonscrit-mais-menacant_1494067_1492975.html

<要約>
・現状が不確かな中、専門家たちは今後のシナリオの想像に対して慎重にならざるを得ない。とはいえ彼は皆心配を隠さない。

・原発周辺では放射能による汚染が著しい。それらは主に第2号機によるものだと考えられる。

・ISNAフランス原子力安全委員会(訳は不確か)が行ったシミュレーションは以下のとおり。
現時点では第2号機の炉心損傷は33%(日本政府公表の数字)だが、それがもし100%損傷した場合放射能汚染は以下の図の様になる(あくまでも第2号機の炉心損傷による影響のみのシミュレーションで、実際は2号機以上に破損が著しい4号機等による汚染などを考慮すると、これ以上の汚染である)。
図の左側が破損から24時間後、右が48時間後の汚染状況。 単位はミリシーベルト。

louis323のブログ
(勝手にこの画像持ってきていいか知らないけど、こんな有事のときくらい許してくれると信じてる!なんか言われたら消しますw)

ちなみに健康に害が顕著に出始めるのは100mSv以上(即死ではないが、後々の癌の可能性が確実にアップ)

・もし第2号機の炉心損傷が100%に達した場合、第2号機周辺の汚染度は1000mSvを遥かに超える。IRSN部長のPatrick Gourmelon氏によると、こうなった場合「作業員たちの命は数週間、数ヶ月単位で危険にさらされることになってしまう」、「いまだに冷却が完了していない(とされる)ことから、100%破損の可能性は充分ありえる。」

・それより深刻なのは4号機の燃料プール。このまま冷却が完了せずに水位が減り、核燃料が完全にむき出しになってしまうと「一日か二日で放射能漏れが起こる」(Thierry Charles氏、IRSN部長)。「この場合1号機、2号機、3号機とは比べ物にならない量が放出される(剥き出しなため)。その値はチェルノブイリの際のと同等であろう」。

・またそうなった場合1号機、2号機、3号機への冷却活動も出来なくなるため事態は収拾がつかなくなる。

現状では先ほどの図でもわかるように、周辺の住民への影響は限定的だ。「100mSv以下では許容範囲、10mSv以下で健康にほぼ影響なし、1mSv以下では影響は皆無。」(前述のGourmelon氏)

・「風向きも放射能の推移の重要な要素になってくる。現状では南下した後太平洋へと押し流されている。大事なのは一瞬に浴びる量よりも、継続的に浴びているかどうかだ。」 (Champion IRSN部長)

・今のところ欧州各国への影響は見込まれない。