答えは自分の中にある | 地下の印刷室(サラリーマンの戦い・諦めたらそこで終わり)

地下の印刷室(サラリーマンの戦い・諦めたらそこで終わり)

突然、今までの経験に関係なく、大学の印刷室に異動となった。
通常、人事異動は、4月と10月と決まっている。
なのに、異動が発令されたのは、9月1日の人事異動だった。
これから始まる戦いは、事実に半分基づき、後に引けないサラリーマン人生を語るものである。

確かにここの印刷室には問題がいくつかある。食事をしながら、部屋が狭いことと、全体的な作業の流れにも問題があるようなことを聞かされた。

 

既にどうしたら良いのか、答えが出ている気がする。そこは、ぐっと我慢して様子を見ることも必要である。

多くの人は、親や先生、会社に入れば上司や先輩から指示され、その指示の通りやってきたし、やらなければいけないと思ってきた。それが習慣化して、問題に対する答えが自分の中にあることすら知らないのである。だから、問題が起きるとその答えは誰か他の人が指示してその通りにすれば解決すると思っており、その為、考え方や行動にストップがかかり、指示待ちになってしまう。

私ができることは、彼の中にある答えを引き出すことであり、自分の中に答えがあると信じられるようにサポートすることだけである。

印刷室におけるプロは、彼であり、彼等である。私は、印刷の素人であり、ここに来たばかりである。私の中には、答えどころか、ヒントもない。

 

「西田さん、隣の部屋は空いているように思うのですが、なぜ、利用しないのですか?」

「上野さんから、利用してはいけないと言われてます。」

なぜ利用していないかと聞いたが、その理由は、分からないとのことで、典型的な「言われた」「指示された」の回答であった。

「分かりました。上野さんに確認してみます。」

常に、「なぜ?」という疑問だけでも持ってもらいたいものだ。

 

「上野さん、よろしいですか。隣の部屋は、なぜ、使ってはいけないのですか?」

「そこは、ペンシロエから利用しないように言われてます。」

「なぜですか?」

「何か使う予定があるからと言われてます。」

「いつから使う予定ですか?」

「それは、聞いてないです。」

「では、いつからこの状態ですか?」

「ここに印刷室を移動してからですから、1年ほど前からでしょうか。」

「本当に使う予定あるのでしょうか疑問ですね。」

 

「印刷室の野村です。水島さんおられますでしょうか。」

ペンシロエの「何しに来た」の水島さんへアポを取るために、電話をした。

しばらくしてから、女性の声で、

「北村です。水島は席を外してますが、どのようなご要件でしょうか?」

「すみません、お忙しいところ。少しご相談したいことがございまして、もしよければ、お会いして、お話ができたらと、ご連絡させていただきました。」

詳細なことは、その時と思い、スケジュールの確認などをしていただき、明日、朝一番で30分程度なら時間がとれることでアポがとれた。

まずは、印刷とは直接関係のないところから、私の印刷室の仕事がスタートした。明日、また、「何のために」と言われるのだろうか。ま、いいか。