病気でも引きこもりでも不登校でも
何かしらトリガー(引き金、キッカケ)になる出来事があるのだけれど
意外に本人も自覚が出来ていないことが多くて
それは、身体の防衛機構と個人が持っている絶対的なタブーが絡んでしまうせいだ
けれどもタブーがタブーではないと納得できると
オセロが一気にひっくり返るよう見ている世界の風景が一変する
というお話です
もちろん
いよいよ発症／外に出られなくなる前には蓄積した思いがあります
しかし
決定的に「もう無理」と感じる出来事があると
いよいよ身体が動かなくなる
当然それはスゴく大切な事なのだけれど
セッションをしていても始めはほとんどの方が
その事を覚えていない、というかキッカケがあるという自覚がない
なぜかというと
「忘れようと努力して、意識に上らないようにするから」
例えば
小説にあるような話で
世間体や子供のためと、表面上は仲良くしている両親がいて
子供(ヒロシ)は
常日頃「何よりもお前が大事」だと言って甲斐甲斐しく世話してくれる母が、ある夜浮気している父のワイシャツを切り刻みながら「ヒロシを育てるためには別れるものか！子供さえいなければ！」とつぶやくのを見てしまう
ヒロシは学校へ行かれなくなります
そして
ワイシャツを切り刻む母の姿は覚えていますが
「ヒロシを育てるために〜」
というセリフだけ、スッカリ忘れてしまうのです
ヒロシとしては
家庭が崩壊したのは父のせいだ
浮気された母は被害者だ
自分も被害者だ
ショックで不登校になった
という風に状況を把握したい
そうでなければ
自分のせいで離婚もできない
母の自由と人生を奪っている
自分が1番の加害者であり
自分は存在しないほうが良いことになる
何よりもお前が大事だという母の言葉を信じるためにも、「子供さえいなければ」を忘れてしまったほうが好都合なのです
「子供さえいなければ」はヒロシの愛情深い母のいる世界を破壊し、自分の存在を抹殺する威力のあるセリフですから
それがトリガーになってヒロシは外に出られなくなりました
だから覚えていては危険なのです
客観的にみると
そんな大切な事忘れる？と思うのだが
そして、誰よりご本人が「そんなバカな！」と言うのだけれど
セッションでお話ししている内に
「そういえばあの時、こういうことがあったんだ」と自覚するのです
多分、身体(脳)の防衛機構なのですよね
不登校に父の浮気だけでも憂鬱なのに
母への不信感や自分の存在意義まで問題になると
抱えきれないから意識しないようにするのだけれど
蓋をしているだけなので度々出てきそうになるし
そこを押さえつけるのにも非常にエネルギーを使う
だから益々気力も失われる
という悪循環に陥ってしまうのですね
さらに
ご本人がタブーと信じる概念が要となって表出しにくくなっていることが多いのです
ヒロシの場合だと
彼にとって絶対に犯すべからざるタブーは
母を憎むこと
憎まないためには
母は
被害者でなくてはならないし
いつも愛情深くなくてはならないし
常に自分の存在を喜んでいなければならないし
自分は絶対的に愛されていなければならない
なんだか母親が聖母マリアだったら
自分も清らかな幼子でいられる
という大前提があって
崩すことができなくて
でも実際はそうではないことも知っているから
矛盾に苦しむ
で
セッションではタブーを外していくわけですが
外すとどうなるかというと
母親は聖母マリアじゃなくて
並のおばさんだ
母親だって
人間だもの
ということがわかります
拍子抜けしたかもしれませんが
これが腑に落ちることの効能は想像以上に大きくて
いかに自分が
自分の人生以外のものにエネルギーを浪費していたかがわかって、その分が戻ってくるので
見える風景も変わるし
気力も充実するし
人間関係も良くなるし
疲れなくなるし
より自分らしく生きられるようになります
・対面でのセッション
