曲学阿世 | 倉ー美の日常は恥辱にまみれている。


犬も歩けば棒に当たるとは昔からよくいいますが、あたしも歩けば昔からよく勧誘に会います。

見た目が騙されやすそうなのでしょうか。それともいつも困った顔をしているのでしょうか。

きっとぼんやり歩いているんでしょうね。相当ぼんやりと。

先日は見知らぬおばさまに出会いまして、、、まぁほとんどの人が見知らぬおばさまなんですがね、

同情するような顔で近づいてきたなぁと思ったら、おもむろに

あなたは今どんな不幸を抱えているのですか?

と。

よければ私に話してみませんか?

と。

神のご加護がありますよ

と。

ああ、またか。

と思いました。もう慣れっこです。
待ち合わせまで時間が少しあったので話を聞いてみました。
それはもう、エルマーもびっくりするようなスペクタクルな物語。

おばさまの生い立ちから始まり、様々な試練があり、打ちひしがれ、そして立ち上がるまでの物語。

だから、あなたも○○様に一度会ってお話を聞いてもらいなさい

と。

あなたの不幸を追い払ってくれるから

と。

輪廻地獄から逸脱できるわよ

と。

おいおい。ちょっと待ってくださいまし。
妄想が行き過ぎだから。あたし不幸だなんてこれっぽっちも思ってないから。
んで、あんたどんだけ上から目線よ。

あたしは切々と語りましたよ。

あたしは宗教や信仰は否定しませんよ。だって縋るものがあってこそ人は生きれると思ってます。
ただね、縋るものは人それぞれ。
それが、神様かもしれないし仏様かもしれない。仕事や勉強、愛すべきパートナーかも。
だから、誰かに縋るものを押し付けるのは間違ってる。
あたしはそう思うわけですよ。
自分の信仰を人に押し付けるってことは自信がないから。自信がないから同じ信仰を持つ仲間を作って安心したいだけ。
あたしは自分を信じてます。自分を信仰しています。自分が信じたいものを信じて生きています。
不安でいっぱいなあなたに何を言われたところで一つも信じることは出来ません。だって自分を信じていない人を信じれないでしょ?
あなたは悩み事を抱えてますね、と言われて、当たってる!スゴーイって言ってるような人を。
誰だって悩み事の一つや二つありますから。
あたしが、あなたに言えることはただ一つ。
誰かを巻き込むのではなく、自分が信じたいと思ったものや人をとことん信じなさい。それはおのずと自分を信じることなのだから。自分を信じ好きになれれば不安なんてなくなりますよ。

とね。10分くらいすっごい適当な言葉を並べ立てましたよ。あたし。
適当さなら誰にも負けない気がする。

何故かおばさまは泣いていました。

あたしが歩き出してもシクシクとついてきます。



待ち合わせの店に入ると連れが先に到着しており、

え?後ろのおばさん何?

って顔。

うん、あたしも思ってる。

この人どこまでついてくるんだろうって。


犬も歩けば棒に当たるとは言いますが、さすがにこれは初めてです。