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凪の白花<小説>

静かに気まぐれに48の子たちの小説を書いていきます
(ここに書かれている物語等は全てフィクションです。実際の団体・個人等には一切関係ありません)

 

 

 

 

世界が霞んで白くなっていく

不思議と痛みは感じなくて…長い夢を見ているようなそんな気分

 

 

意識を失う前に走馬燈のように色々な事が頭の中を駆け巡った

それは昔、この城で一緒に過ごした仲間のこと

長い長い終わりの見えない戦いの記憶

生まれてから今日までの全てのこと

そして、最後に私に微笑んだ彼女のことも

 

 

 

『名も知らぬ吸血鬼』

 

 

 

その言葉を聞いたときに、ああ…そういえば私は彼女に

名乗りも名乗られもしなかったっけと呑気に考えていた

今から一つの命を奪おうとしているのに、

彼女はまるでとても大切なものを慈しむように私に微笑んだ

 

 

その微笑みの中にには少しの純粋さと少しの寂しさがあって

私の人生の中にはもっと思い出深い記憶もあったはずなのに

薄れゆく意識の中で思うのは何故か彼女のことばかりで

 

 

 

こんなことならせめて、名前くらい聞いておけばよかったな…

 

 

 

長い…長すぎる時の中でいつ死んでもいいと思っていた

誰かが私を殺してくれるのを切望していた

やっと願いが叶って幸せな死に浸れるはずだった

なのに…最後の最後でこんな事を思うなんて

 

 

 

 

このとき初めて抱いた死へのほんの僅かな後悔を胸に

私は真っ黒な世界に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「ん…」

 

 

 

 

 

「あ…起きた?おはよう」

 

 

 

 

ぼんやりと霧がかかったように全ての輪郭がぼやけていて

ああ…ついに地獄にでも来たのかと思ったが

最初に耳に入ってきた言葉はとても聞き覚えのある声だった

 

 

「さすがは上位吸血鬼だね。まだ丸一日位しかたってないよ」

 

 

 

 

声の元をたどるように顔を向ければ

闇を溶かしたような漆黒の髪と鋭い切れ長の眼が私を見つめていて

それは間違いなく私が最後に見たはずの彼女だった

居るはずのない彼女がここにいるということは

 

 

 

 

「また…ダメだったの?…」

 

 

 

風穴が開いているはずの胸にそっと手を当ててみるが

そこは何事もなかったかのように綺麗に塞がっていて

まさか…夢だったのかと思ったが、ドレスに開いている幾つもの穴が

今が夢ではないことを証明していた

 

 

 

「そんなことない。ちゃんと死んでたよ?ついさっきまではね。」

 

 

 

彼女は私の目の前に立ち私を見下ろした

最後に銃を突きつけたときと同じように

 

 

 

 

「大抵の魔族なら再生に一週間くらい掛かる特殊な弾丸なのに、本当に恐れ入るよ」

 

 

 

 

まさか丸一日で目覚めるなんて予想外すぎ…と

彼女は苦笑をして頬を指でかいた

 

 

 

 

「どういうこと?私を騙したの?」

 

 

 

「騙したなんて人聞き悪いな…私はあなたが望んだとおり、この銀の銃であなたの心臓を打った。そしてあなたはさっきまで確かに死んでいた。何に文句があるの?」

 

 

 

「違う…私が望んでいたのはこんなことじゃない…」

 

 

「でも折角綺麗なのに死んだら勿体ないよ?」

 

彼女はそう言ってへら…っと笑った

ふざけたことを…と爪が肌に食い込むほど手を握りしめた

私がどれだけの早くみんなのところに行きたいと願い続けてきたか

それをこいつは…

 

 

「おーっと!おいたはダメだよ?吸血鬼さん?」

 

 

「ッ!!」

 

 

ほとんど魔力も残っていないひ弱な体であったとはいえ

殺す気で動いたのに手をアッという間に彼女につかまれ

先ほどのように椅子に縫い付けられてしまった

人間ごときの力に押さえつけられたことに驚きながらも

キッと彼女をにらんだ

 

 

「うん…いいね。さっきまでの死んだような目より今のほうがよっぽど綺麗だよ」

 

 

「ただの人間のくせに…さっきから何をくだらないことを!!」


腕の関節を脱臼させて拘束から抜けだす
久々にやったせいかミシミシと骨が軋んで痛い
息を乱しながら使い物にならなくなった腕を庇い彼女に向かい合う

「ねえ…そんなに要らない命なら…私に頂戴?」

「は?」

「少しの間私に付き合ってよ。ちょっと今暇なんだ私」

「一体何を…」

何を言っているの…彼女は
腕が痛むことも忘れずに呆然とする私など気にも留めずに
彼女はしゃべり続ける

「ん?ああ!大丈夫!最後はちゃんと殺してあげるから」


思い出したと言わんばかりに力説する彼女
その目はキラキラと輝いている

「あなた肌も真っ白だからきっと死ぬ時もきっと綺麗だね!

できるだけ苦しまないようにしてあげる」
「ちょっと…待って…」

まるで今日のご飯は魚だよなんていうくらいに軽いノリ
新しいおもちゃを見つけた子どものような残酷な笑み
月を背にした彼女の瞳が狂気を写し金色に輝いていた



「だからさ…私と一緒に終わらない地獄を生きてくれない?」


私の言葉もまるでないもののように遮ってニタリと笑う
ああ…彼女は壊れている
ただの人間じゃない。どこかのネジがとんでしまっている
救いようがない。狂ってる。
吸血鬼の私に言われたくないかもしれないけれど彼女は私と同類だ






私は最後の希望に縋り愚かにも差し出されたその手を取った






これは全てを終わらせるための旅






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・玲奈
純血の上位吸血鬼
仲間が死んで自暴自棄になって早くみんなの所に行きたいのに
再生力が強すぎて死ぬに死ねない死にたがり
力も強いし、身体能力も高いのに運動音痴
希望があると縋りたくなる(騙されやすい)
その場のノリで珠理奈と旅をすることになったが
うるさいし、手は掛かるわで早くも後悔している



・珠理奈
人間だけど魔族からの呪い持ち
おかげ様で死ねない体になって最初の内はそれなりに楽しんでたけど
長すぎる時間には勝てず擦り切れる寸前だった
玲奈を見つけてからは今まで一人だった反動のためか
片時も離れたくないと言わんばかりにべったり。玲奈にはうざがられている
身体能力と呪いの力で強いが料理や家事はからっきしダメ
能力発動時目が金色になる