平成8年より宇宙開発事業団が実施する地震リモートセンシングフロンティア研究の一環として、全球地震の分布と旧ソ連の電離層観測衛星データが解析されました。
これにより、「地震発生地帯」と、その「上空のプラズマ密度変動」に高い相関があることが明らかになりました。
地震が起こるときに、「震源付近の電離層に起こる変化」が2つあります。
1.プラズマ密度が上がる
2.電離層が約2キロメートル降下する
この変化は、電離層が電波を曲げる性質があることを利用して検知することができます。
電離層に変化が起こるメカニズムは、どのようになっているかというと、地殻の歪みが電気を発生させ、その影響が高層大気へ及ぶと考えられています。
地殻のひずみが電気を伴う傍証として、地震発生の瞬間に稲妻や閃光が観測されています。
電気が発生する理由は、地殻の岩盤に含まれる石英が圧電性を持っているからだという説が有力になっています。
震源付近の電離層が変化するプロセスを大雑把にまとめると以下のようになります。
地殻ひずみ発生 → 岩盤圧電気の発生 → 地殻電荷の移動
→ 地表電荷の移動 → 大気電気の変化 → 電離層の変化
電離層の変化は、地震が起こる前に始まるため、反射電波の異常検知は、地震予知の有効な手段になります。
ここから先は、仮説なのですが、圧電性は、可逆性があるので、上記プロセスの逆方向の過程もあると思います。つまり、
電離層の変化 → 大気電気の変化 → 地表電荷の移動
→ 地殻電荷の移動 → 岩盤の圧電性による応力発生
→ 地殻ひずみ発生
です。
いずれにしても、地震が起こる前に 電離層の変化が始まるので、電離層の変化や大気電気の変化を検知すれば、地震予知に使えるということで、さかんに研究されています。
地球上の地震分布(棒グラフ)と電離層プラズマ密度(赤折れ線)の対応
引用文献
●地震に伴う電離層の変化の研究
(JAXAによる地震リモートセンシングフロンティア研究)
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/4025/paper.html
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/4025/ERSFR.html
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/4025/index.html
●地殻の圧電性の研究
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jepsjmo/cd-rom/2000cd-rom/pdf/ag/ag-p005.pdf
●地震に伴う閃光の研究
http://www.hep.konan-u.ac.jp/Sympo/chimon2007/presentation/kamogawa.pdf