
●概要
レーザーダイオードの発光パワーは、流す電流値に応じて決まります。
LEDやレーザーダイオードは、素子の温度によってインピーダンスが変化してしまうので、一定電圧を加えた場合、温度上昇とともに電流が変化してしまい、安定した出力が得られません。
そこで、一定電流が流れるよう制御してやる必要があります。この回路では、PICマイコン(U2)が電流を制御しています。
●動作
押しボタンスイッチ(S1)を押すと、スイッチング電源(SWR1)が起動します。
SWR1で5Vという電圧を作っています。この5VはU2(PICマイコン)を動作させるためにわざわざ用意してやってます。
SWR1起動後、PICマイコンが起動するまでのあいだ64msくらいの時間がかかるため、その間制御が止まってしまい、レーザーダイオード(LD1)に大きな電流が流れてしまうのを防ぐために、R1、C3を挿入しています。
U1は基準電圧を出力するICです。
2.5Vの出力は、R2、R3で分圧され、U2のCIN-端子に0.2Vが入力されます。
LD1に流れる電流は、R6にかかる電圧として検知され、U2のCIN+端子に入力されます。
U2は、CIN-、CIN+ の大小関係を比較し、出力GP5がQ1をON/OFF制御します。
CIN- > CIN+ のとき、Q1=ON
CIN- <= CIN+ のとき、Q1=OFF
です。
MOS-FETのゲートにパルス電圧がかかったとき、ゲート容量のチャージ過程で流れる突入電流がPICマイコンの動作を狂わせてしまう場合があるので、R4を挿入しています。
L1、C4は、電流を平滑化するために挿入しています。
R5は、スイッチングの瞬間にL1に現れる波形のリンギングを抑制するために挿入してます。
D1は、Q1がOFFのときに、L1のエネルギーが無駄に捨てられることがないよう、L1の惰性電流を流してやるためのダイオードです。電流が速やかに切り替わる必要があるため、ショットキーバリアダイオードを使ってます。
このような制御を行うことによって、CIN+に現れる電圧が、CIN-の基準電圧(0.2V)にほぼ等しくなります。
R6(1Ω)に0.2V現れるのだから、そこに流れる電流は200mAです。LD1にも同じ一定電流が流れるから、発光出力が一定になります。
200mA流れているときの発光出力は、約200mWです。
●プログラム
ココにPICマイコンのソースプログラムをアップしておきました。
言語は、PIC-BASICです。このなかで、本当に必要な処理は、最後の7行だけです。
CIN- > CIN+ のとき、Q1=ON
CIN- <= CIN+ のとき、Q1=OFF
という動作を延々繰り返しているだけです。
ついでに、書き込み用のhexファイルも掲載しておきます。
ココです。
●レーザーの取扱上の注意
出力が200mWもあると、肉眼で直視すると、一瞬で網膜が焼けてしまいます。
私は、昔20mWのレーザーの光軸合わせのときに約1秒見てしまったことがあります。そのときは熱くも痛くもなかったのですが、その後、活字を読むときに文字が見えなくなっていました。眼科で検査すると、黄斑部という最も細胞密度の高いところが焼けていました。
半年もすると見えるようになってきたのですが、このときのアクシデントを思い出すときに限ってなぜか今でも線が歪んで見えたりします。
レーザーを扱うときは気をつけてくださいね。