そうか、それでここ最近やたらと蒸し暑いのか…(現実逃避



そして本日、また一つ年を取りました(ヲイ

去年、ランバ・ラルより年上になったと思ったら、もうアナゴさんの10歳上ですよ
昔のアニメキャラは老け顔が多いなあ…最近は逆に異様なまでの若作りが多いですけど

やたら疲れ易いし、着実に老いてるんでしょうかね…
(不規則シフトによる生活リズムの乱れとか睡眠不足とかもあるのでしょうが…)



さあ、今夜も仕事だ(吐血
とある高校。
新学期を迎え、桜吹雪の舞う中。
校内でもお似合いで、且つ、焦れったかった2人が、漸く恋人同士になった…

「長い事やきもきさせられたが…まさか、あんな状況でカップル成立とはなあ…」

朝の校門、登校する生徒達が行き交う中、その決定的瞬間に立ち会った、2人の担任でもある高校教師・蟹井 光司<かにい こうじ>は、教員室へと続く廊下を歩きながら、感慨深げに独りごちる。

「………これが若さってやつ、か…」

自然と表情を綻ばせながら、微妙に年寄り臭い発言が漏れる。
基本的に口が悪く、何処かの組の893の人のような雰囲気を持つ蟹井だが、その心根は常に生徒達を見守り行く末を案じる教師であった。

「蟹井先生、おはよーございまっす!」
「おう、日下部か」

そんな蟹井に若々しく声をかけたのは、同僚にして後輩の教師、日下部 剛斗<くさかべ ごうと>だった。

「右腕、やっとギプスが取れたんですね~!」
「ああ、利き腕が使えない生活ってのは辛いモンだったぜ…」

日下部の言葉に、骨折が治り、漸く包帯とギプスの取れた右腕を動かして見せる蟹井。
…と、その瞬間…

「………なあ、日下部。俺は旧校舎の老朽化した階段が崩れたのに巻き込まれて、腕の骨を折っちまったんだよな?」
「そうっすよ。あれだけの事故に遭ってよく右腕骨折だけで済んだなあって、教員室でも持ち切りでしたけど…それが何か?」
「いや…何か、違和感があってなあ…実は事故じゃなくて人災で、骨折した怒りや恨みをぶつける相手が居たような…そんな違和感が…」

………悪い魔闘少女デヴィオが起こした最初の事件。
その巻き添えで負傷した彼の記憶は、高町未央…ヴィヴィオがこの世界に居た他の記憶や痕跡と共に改竄されていた。
にも関わらず、彼の中にやり場の無い憎悪の感情が残っているのは、幾多の並行世界において今も敵対している因縁からか…

「気のせいっしょ、気のせい!」
「俺もそうだとは思うんだが…何かスッキリしねーんだよなあ…」
「蟹井先生、日下部先生、おはようございます♪」

問答している蟹井と日下部の後ろから、若く弾んだ女性の声がかけられた。

「おう、天道」
「て、天道先生、おはようございますっ!」

振り返り、日下部に対するのと変わらない態度で挨拶を返す蟹井。
一方の日下部は、挙動不審なぐらいに相手を意識している様子でガチガチの挨拶をする。
そこに居るのは、健康的な小麦色に日焼けした抜群のスタイルを、婦人用のスーツに包んだ一人の女性。
彼女の名は天道 歩<てんどう あゆむ>、蟹井や日下部の同僚であり、その美貌と明るい性格から男子女子問わず生徒から人気のある女性教師である。

「蟹井先生、右腕が治って良かったですね♪」
「ああ、これでやっと箸を持って飯が食えるし、ペンを持って字が書ける」
「あ、日下部先生。後でお時間ありますか?」
「今日は男子空手部の部活も休みで、放課後は特に何も無いですけど…」
「良かった♪実は今度の女子空手部の合宿の件で、色々とご相談したい事があって…」
「そそそ、相談っすか?もちもちろんろん喜んで!何でも聞いちゃってくださいよ!!」

天道の申し出にすっかり舞い上がっている日下部を、半ば呆れた様子で眺めていた蟹井は…

「…歴史研究会の顧問にゃ関係無い話だなあ…」

軽く肩を竦めると、若い2人を残して教員室へと歩を進める。
ふと窓の外に目をやると、満開の桜並木が視界に入った。

「あっちも春、こっちも春…ってか?」

そんな空気に当てられながらも、自分も恋をしようとか生涯の伴侶を持とうとかいった考えには至らないのが、彼の彼たる所以なのかも知れない…



『夢で会えたら』 異次元旅気分

   ~君の隣で~それから



『…良かったね、お兄ちゃん…』

『ノーブルベルカは救われた…僕が出来るのは、ここまでだ…』

『ボク達のした事は…ムダじゃなかったよね?』
『…勿論だよ』

『本当は、君だけでも帰らせてあげたかった…』
『ありがとうシェイド君。けどボクはコレで満足だよ?…本当はシェイド君も助けたかったけど…』
『本当に…君は優しいな…』

『大丈夫です…此処の貴方とは違う世界の貴方と必ずまた会えますから。貴方が知らなくても、ボクが覚えてなくても、きっとボク達は絶対に巡り会えますから!』

『僕とは違う僕…か。願わくば…その僕とじぜるが幸福であります様に―』



2つの優しい魂が、奇跡を残して消えていった。
自分達は、その奇跡の恩恵に与る事のないままに。



―本当に、そうだったのだろうか?―



「………夢…?」
『どうしました、マスター?』

目を覚まし、体を起こす銀髪の少年に、傍らに居た一匹の子犬が声をかける。

少年の名はカゲルダー。
ジャックが当時まだ見ぬ息子をモデルに作った『超人機』であり、今はジャックの下を離れて静かに暮らしていた。

喋る子犬の名はジゼリンガー。
カゲルダーのメンテナンスやサポートを行う相棒として、ジゼルのデータを元に作られたコピーである。

「夢を見ていたんだ…ロボットの僕が夢を見るなんて、おかしな話だけど…」
『夢、ですか』
「ああ…その夢の中でも、僕はやっぱり人間じゃない…いや、人間として生まれたけど、人じゃない存在に作り変えられた…って言った方が正しいのかな…」

滅びへと向かう魔法の世界。
その世界を救う為に、異世界にばら撒かれた魔石を回収する為に生み出された、『魔導人形』と呼ばれる少女達。
謀殺された後、そんな彼女らをサポートする『魔導生命体』へと改造された『彼』は、人間として暮らしていた一人の魔導人形の少女と出会う。
そして、運命の歯車は廻り出した…

「………本当に、突拍子もない夢さ…」

そんな夢の粗筋を語り終えると、カゲルダーは苦笑した。
…だが。

『そんな事ありません…素敵な夢ですよ!』
「ジゼリンガー…?」

相棒の予想外の反応に、思わずキョトンとなるカゲルダー。

(…だってボクも、同じ夢を見る事があるんですから…)

ジゼルのコピーである『彼女』が、『じぜる』の記憶を受け継いで夢に見る事は、不思議な事でも何でもない。
だが、幾らこの世界の『影』であるとは言え、彼女の『マスター』と『シェイド』は完全な別人である。
別人のはずである。
…にも関わらず、彼がシェイドの記憶を夢に見たのは…

『…本当に、素敵な夢だと思います』
「………ありがとう、ジゼリンガー」

………はっきりとした答えは分からなくていい。
今の自分達には、不確かでも不思議な絆がある。
彼女は…『じぜる』は、それだけで満足だった…



所変わって、いつもの超弩級戦艦内。

ズシッ…

「マスター!マスター!起きてください、マスターってば!!」
「むぅ…」

聞き覚えのあるような幼い声と共に、腹の上にずっしりとした重みを感じ、ベッドで眠りに就いていたシェイドは目を覚ます。
思えばすっかりここで寝起きするのが普通になったが、本来は一刻も早く自分の世界に帰らなければならない身の上。
だが、彼を元居た世界に帰すまいとするガーニィとニャル滝のせいで、シェイドはJアーク内で寝泊まりしてブレイカーズのドタバタに付き合わされる事を…強いられているんだ!

「………誰?」

天の声によるお約束のネタをスルーしつつ、ゆっくりと目を開けるシェイド。
そこには、布団を被った自分の腹の上に跨っている、黒いショートカットに緑色の瞳をした、6歳ぐらいの子供の姿。

「見てください、マスター!ボク、人間になれたんですよ!!」
「…もしかして、ジゼル…?」
「はい、そうです!」

満面の笑みを浮かべて自分を見つめている『ジゼル』に、シェイドは強烈なデジャヴを感じた。
そして得られた結論は。

「また夢かぁ…父さん達との生活も、別の意味で疲れるからなぁ…」

かつて見た、生々しく記憶に残っている夢。
自分はまた同じ夢を見ているのかと納得し、展開の分かっている夢なら同じ行動を繰り返す必要も無いだろうと、再び布団に潜り込もうとするシェイド。
だが、『現実』はそんなに甘くなかった。

「夢じゃありません!精神リンクもしてませんし!今度は本当に人間になったんですってば!!」
「むむむ…」

ゆさゆさと揺さぶられ、より深い眠りに逃げ込む事を遮られたシェイドは、観念して布団から顔を出す。

「本当にジゼル?」
「はい!」
「夢じゃないよね?」
「そうです!」
「…と、いう事は…」

眠気が覚めてくると同時に、シェイドの頭の中で、今の自分の置かれている状況が整理されていく。
『翠眼の英雄』の世界ではありえない事も、この出鱈目な世界では普通に起こり得る。
そして、そのほとんどの元凶は…



「父さん!今度は何をした―――――っ!?」

ジゼルを部屋に残し、ジャックとユーディの寝室に怒鳴り込むシェイド。
…そこで、彼が見たものは…

「何かねユーノ。息子とは言え、夫婦の寝室に入る時はノックぐらいしたまえ」

上半身でマトモな事を言いながら、下半身は無数の触手が蠢いて18禁ゲームにでも出てきそうな化け物と化している父と。

「ゆ、ユーノぉ…やらぁ…見ちゃらめぇ…」

ヌルヌルグチョグチョの触手に絡まれる痴態を息子に見られ、所謂アヘ顔で恥らう母の姿だった…



この直後、騒ぎを聞き付けて他の面子も駆けつけましたが、ゴトー&コトーはユーディのあられもない姿に思わず興奮してしまった為、ハゲマッチョと冥土GUYに追い回された挙句に阿鼻叫喚。
ガーニィはジャックに「司書長に何てもの見せとんじゃゴルァァァッ!!!」とブレイドをサンダー・バキューム・ボールの要領でぶつけましたが、そのダメージは何処かのデュミ何とかというインテリ気取りのチンピラ魔導師が肩代わりさせられたので無害です。



『翡翠の翼の守護神×翠眼の英雄×リリカルなのは絶滅計画 スーパー並行世界大戦Z』に続く!
新年、あけましておめでとうございます
今年も当ブログを宜しくお願い致します



それは、ユーノが11歳の頃。
なのはが重傷を負ったあの撃墜事故から、暫く経ったある日…

「おい、ユーノ司書。顔色悪いぞ?」
「そ、そんな事ないですよ、ガーニィ司書」
「…最近、見舞とかでマトモに休んでなかったな。後は俺達に任せてゆっくり休め。とにかく睡眠を取れ」
「でも、仕事が…」
「お前がこの無限書庫で一番有能なのは、今更わざわざ言うまでもない事実だ。だがな、お前はまだ11歳の子供なんだ。こればっかりは、何をどうやったって変える事の出来ない、現実だ」
「………」
「偶には大人を頼る事も覚えろ。気が引けるなら、今からまた高町の見舞に行って、そこで寝てろ」
「…分かりました。ありがとうございます」

思えば、ユーノにとって、ここまで親身になって接してくれた大人は、彼が初めてだった。
スクライア族では身寄りの無い孤児であり、管理局では大人と同様に扱われ、どちらでもその能力ゆえに、大人達には腫れ物に触るような対応しかされなかった。

口が悪く、性格にも多々問題があり、他の司書や他部署の人間と諍いが絶えず、なのは達に対しても常に威圧的な、困った人物ではあるものの…
ユーノ・スクライアにとって、先輩司書であるガーニィ・レイザは、いい意味でも悪い意味でも、何処か『父性』を感じさせる存在ではあったのだ。



「というわけで、なのはの実家への挨拶に、ガーニィさんに父親代わりとしてついてきてもらいたいんだ」
「何が「というわけ」なのか理解不能なんですけど司書長ーっ!?」

そして現在。
無限書庫総合司書長であるユーノ・S・高町の唐突な発言に、今や忠実な部下であるガーニィは目を白黒させながら、素っ頓狂な声を上げるのだった…



『夢で会えたら』 異次元旅気分

   ~君を守りたい~その後



「ほら、なのはと結婚を前提にお付き合いする事になったって言ったでしょ?」
「ええ、ええ、存じておりますとも。誰がどう見てもお似合いのくせに、10年以上も焦れったい関係なのを見守り続けて、「やっとかよ…」という思いで、その報告を聞きましたから」
「な、何か酷い事言われてるような気がするんだけど…」
「とんでもない。心から祝福しているんですよ、これでも?」

ユーノとなのはの交際そのものは目出度いのだが、そこに至るまで非常にヤキモキさせられてきたガーニィである。
嬉しくもあり、その反面、今の今まで待たされた事は腹立たしくもあり、という感情を隠そうともしない。

「…で、その報告も兼ねて、なのはの家に改めてご挨拶に行く事になったんだ」
「それはいいんですが、何故、俺が司書長の父親代わりとしてついていく事になるんですか?」
「司書としては大先輩だし、書庫に来たばかりの頃から色々とお世話になってるし、ガーニィさんが一番適役だと思って」
「幾ら先輩でも、今の俺は司書長の部下ですよ!?そんな俺如きが司書長の父親代わりだなんて、無理・無茶・無謀の三拍子ですって!」



『情報こそが力』
それは、今も変わらぬガーニィ・レイザの信念である。
そんなガーニィが無限書庫に眠る膨大な資料に目を付けたのは、当然の流れと言えた。
当時、若き野心家であった彼は、無限書庫の司書長となり、その情報の全てを掌握して己が力とし、前線主義で凝り固まった管理局をも従えるという野望に燃え、無限書庫司書を志した。

だが、実際に司書となったガーニィを待っていたのは、まさに情報の墓場と化し、整理しようにも何処から手を付けていいものか見当も付かないという、無限書庫の現実であった。
お飾りの上司、惰性で働いている同僚、管理者の特権で勝手に何やらしているらしい老提督とその使い魔の猫二匹…
彼の野望は無残にも打ち砕かれ、ガーニィもまた、機械的に日々の業務をこなす司書達の中に埋没していった。

管理局が『闇の書事件』で右往左往している最中、一人の少年が無限書庫に現れた。
事件の最前線で戦う友達をサポートする為、書庫の資料を使わせて欲しいと言う。
ガーニィは当初、そんな少年の事を冷ややかな目で見ていた。
出来るものならやってみるがいい、どうせ書庫の現状を前にお前も絶望する事になるだけだ、と内心で嘲笑ってさえいた。

そんなガーニィの思惑を覆すように、少年は『奇跡』を起こした。
高度な検索魔法を巧みに操り、無限書庫に死蔵されていた膨大な資料を、まるで呼吸をするように扱っていく。
それはまさに、若き日のガーニィが夢見ていた姿そのものであったのだ。

少年に夢を奪われた格好となったガーニィだが、不思議と嫉妬のような感情は湧かなかった。
自分よりも幼いながら、自分よりも遥かに有能で、自分が諦めた夢を実現して見せた少年。
ガーニィはその少年、ユーノ・スクライアに深い尊敬の念を抱くようになっていた。
それは常に他人を見下していた彼が、初めて自分以外の存在に見せた敬意であった。

ユーノが司書長となった時、ガーニィは自分の事のように喜び、以後、ますますユーノを敬愛し、献身的にサポートするようになっていく。
そして現在、今や総合司書長であるユーノに心酔していると言ってもいい古参司書、ガーニィ・レイザの姿がここにあるのだ。



「…そんな器の小さい俺が司書長の父親代わりとか、畏れ多いにも程があります!」
「…ガーニィさん…あの時、そんな風に思ってたんだ…」
「申し訳ありません…」
「まあ、当時の無限書庫の状況じゃ仕方ないけどね…」
「そもそも司書長の父親なら、それこそ司書長のように器が大きく、高潔な人間で…」

そこまで言ってガーニィも、聞いているユーノも、長い沈黙に囚われた。

「………何だろう、ガーニィさんとベクトルは違うけど、同じぐらい困った人しか思い浮かばないんだけど…」
「………奇遇ですね、司書長。実は俺も…」
「しかも、何故か外見がスカリエッティそっくり」
「俺も想像してしまいました…何故でしょうね、あんなヘッポコのなんちゃってマッドサイエンティストのような見た目なんて」
「いやいや、仮にも管理局を震撼させた一大事件の首謀者の広域指定犯罪者だよ?」
「過大評価もいいとこですよ。六課もあんな奴捕まえるのに何で一年もかかるんだか…二週間か三週間もあれば十分でしょうに」

序盤の前後編か、中盤の前中後編か…ともかく、2クールもかけるような相手じゃなかった、というメタ表現である。

「それはともかく…お願い出来る人が、ガーニィさんしか居ないんだ。だから、頼むよ」
「分かりました…不肖ながらこのガーニィ・レイザ、司書長に恥をかかせぬよう、一命を賭して父親代わりを務めさせて頂きます…!」
「大袈裟過ぎるよ…」



後に、ユーノの妻となった高町なのはは、当時の事をこう振り返っている。

「ユーノ君の親代わりでついてきたガーニィさんは、ユーノ君より緊張してて…とにかく凄い脂汗で、集めて煮たら軟膏が出来るんじゃないか、ってぐらいだったよ」

…と。



「俺はガマガエルですか、奥様!?」
「そうだよなのはママ、ガマガエルに失礼だよ!」
「お前は黙っていろクソガキ!」
「え、なのはママは奥様なのに、私はクソガキのまま?」
「お嬢様と呼ばれたかったらお嬢様らしくしろ、この破廉恥娘が!!」
「ガラの悪いオッサンにとやかく言われたくないよ!!」

この時空でも仲の悪いガーニィとヴィヴィオ。
今日も今日とてギャーギャーと、火花を散らしていがみ合い。

「………2人とも、高町家的な意味で頭冷やそうか?」
「ユーノ君がやると本当に頭凍りついちゃうから手加減してー!?」

そんな2人を、米神に井桁を浮かべて止めに入ろうとする夫の姿を前に、戦場で見せる勇ましい姿とは別人のようにオロオロするしかないなのは。
とりあえず、この世界は平和だった。



「………」

岩石大首領(ガニアUDクロン?…もうどっちでもいいよ)との最終決戦の末、ニャル滝最後の悪足掻きでオーロラの向こうに消えたVIVID…ヴィヴィオ。
彼女は今、何処とも知れない並行世界に居た。
ブレイカーズやブレイド、シェイドどころか、ジゼルとも離れ離れになり、たった一人で。
しかも、彼女は現在、記憶を失っていた。

「…どうして私、こんなとこに居るんだろ…」

正確には、次元回廊を抜けて以降の記憶が、すっぽりと抜け落ちているのだ。
『まどか☆マギカ』の世界に流れ着き、ブレイカーズに合流し、ジゼルの新たなボディとしてヴィヴィルキスを与えられた事。
『ナウシカ』の世界でヴィヴィルキスの性能テストも兼ね、巨神兵やガニゾンダーとハチャメチャな戦いを繰り広げた事。
思うところあってユーディと2人でジゼルに連れられ、様々な世界の記録から「ヒロインとはどうあるべきか」を学んだ事。
そして、『マブラヴ』の世界で待ち受けていた、ニャル滝の罠…
それらの記憶が失われている為、ヴィヴィオにしてみれば、次元回廊を抜けたらジゼルともはぐれ、独り行き倒れになっていた、という状況。

「ヴィヴィオちゃん、また暗い顔してるよー?」
「あ、アキさん…」

憂い顔のヴィヴィオに駆け寄り、声をかけたのは、ユーノを若く(幼く)したような…ヴィヴィオは知らないが、15歳の頃のユーノと瓜二つな…容姿の女性。
彼女の名は、姫宮アキ。
記憶(の一部)を失い行き倒れになっていたヴィヴィオを発見し、保護してくれた女性である。

「そんな暗い顔してたら、近くまで来てる幸せも逃げちゃうよ?よし、ここはヴィヴィオちゃんが笑顔になれるように…」
「えっ…アキさん、また…!?」

不意にブンブンと右腕を振り回すアキに、ヴィヴィオの顔が青褪める。

「姫宮家秘伝・笑いのツボ!」

グキィィィッ!!!

そのままの勢いで、右手の親指でヴィヴィオの首筋のツボを押すアキだったが、嫌な音と共に、ヴィヴィオの首がぶっちゃけありえない角度に曲がってしまう。

「…あれ?また間違っちゃった…?」
「………っ…!?」

某自称天才のような医療ミスに、アキは焦り、ヴィヴィオは声にならない声を上げて悶絶する。

「秀樹くーん!大変だよ~っ!!」



慌てたアキがヴィヴィオを担ぎ上げて駆け込んだのは、『姫宮医院』と書かれた看板を掲げた建物の中。
アキに保護されたヴィヴィオが居候している家でもある。

「まったく、毎度毎度…私は外科が専門で、整体師ではないのだよ?」

運び込まれて医療ベッドに寝かされているヴィヴィオを前に、呆れたように嘆息しているのは、ジェイル・スカリエッティと瓜二つの男性。
彼の名は、姫宮秀樹。
この姫宮医院を経営する開業医であり、アキの夫でもある。

「でも、毎回ちゃんと治してくれるよね」
「私は天才だからね。『何でもありあり科』と名乗ってもいいのかも知れないな」

などと呑気にノリダーネタをかます秀樹に、ヴィヴィオは何度目になるか分からない生と死の境を彷徨いながら…

(何だろう…私、ここに来るちょっと前にも、こんな人達に振り回されてたような…?)

失われた記憶の断片が、おぼろげな走馬灯のように浮かんでは消えていくのだった…