というわけで、2015年も後2時間ちょっとで終わりです
今年一年を振り返ってみると、特に振り返るほどの事も無かったなあ…というのが正直な本音



『ViVid』のアニメ放送開始に合わせて『守護神』の異聞で鬱展開書いたりしましたけど、私自身はもう『リリカルなのは』公式そのものに冷めてしまっているので、あくまでニャル滝誕生秘話程度のものでしかなかったですし

『なのは』シリーズ自体が順調に衰退している現状、こっちはこっちで好きにやらせてもらう、とブレイカーズばっかり書いていたなあ…
まあ、元々好き勝手やっていましたけどね



一方でリアル方面では、仕事の不規則シフトと年末繁忙に苦しめられました

特に年末繁忙は、忙殺という言葉の意味を思い知らされたような…
着実に蓄積していく疲れ、次第に痛み出す身体の節々、狂い出す体内時計…じわじわと緩慢な死が迫ってきているんじゃないか、と本気で思いましたね…



そんなこんなで、振り返りたくもないような事は色々ありましたが、どうにか今年も無事に乗り切れました
来年はもう少し余裕のある年になって欲しいけど…無理なんだろうなあ…



それでは皆さん、良いお年を
・プロローグ
   ~悪役ドアが開く~



ヴィヴィルキス一行が『魔弾少女じぜる』の世界にて、魔法少女とは何たるかを学んでいたのと同じ頃…

「ふははははは!ブレイカーズの外道司書かと思ったら、瓜二つの別人だったとはな!!人違いしてしまった非礼は許してくれたまえ!」
「…構わんさ…私はニャル滝、預言者だ…君に頼みたい事があってここに来た…」

ジャックのライバルを自称する『J』シリーズ最後の兄弟、ジェマ・ゾーンのサソリ型巨大戦艦、ブラック・ザ・ラック。
その艦内に突如発生したオーロラの中から現れたのは、預言者を自称しVIVIDを敵視する謎の男、ニャル滝だった。
見た目はジャック&ガーニィの鬼畜外道漫才コンビとそっくりな2人だが、そのテンションはそれぞれ真逆である。

「ふははははは!最高の天才科学者であるこの私に頼み事だと!?何なりと言ってくれたまえ!!」

尊大な態度とは裏腹に、お人好し全開な対応のジェマ。
それとは対照的に…

(………こんな奴でもVIVIDを始末する計画の捨て駒ぐらいにはなるだろう…VIVIDめ、今度こそ貴様に引導を渡してくれる…!)

内心、ジェマには微塵も期待していないニャル滝だったりする…



『夢で会えたら』 異次元旅気分
   ~はじめて君としゃべった~
   ディレクターズ・カット



・ブレイドの家出
   ~ランナウェイ~



更に同じ頃、ジャックの復帰したJアークは、過去最悪の空気に包まれていた。
ユーディの家出によって完全に病んでしまったジャックの垂れ流す禍々しいオーラによって、艦内は隅々まで汚染され尽くし。
乗組員一同、“約一名を除いて”今にも逃げ出したい息苦しさを、誰もが感じていた。

…そう、約一名を除いては…

「おーい、嫁さんに逃げられたジャック、まだ生きているか~?」

ピキィィィッ!
ゴゴゴゴゴゴゴ…

その約一名とは、言うまでもなくガーニィである。
前回、某しぶの世界に介入し、その世界のユーノのお相手であるリインと、その子供達を37564にしようと目論んだ為、独房入りさせられた彼だったが、当然その程度で懲りるガーニィではない。
懲りるどころか、解放されるなり今までの鬱憤を晴らさんとするかのように、ヤンデレモードに陥ったジャックを煽りに煽って、日々、艦内の空気の悪化を促進させていた。
まさに外道。

「…逃げられた…私は、ユーディに…」
「置き手紙のメールがきっちり三行半、まさに「みくだりはん」を突き付けられたってわけだなあ…いやー、この度はご愁傷様としか言いようが無えや♪」
「み、みく…みっくみく…もとい、み・く・だ・り・は・ん…!?」

ユーディの事が世界の中心というぐらいに彼女の事を愛している反面、自分が愛されているという自信が無く、いつか彼女に見捨てられるのではないかと、内心では戦々恐々としていたジャック。
(普段の凌辱エロゲーのような性的蹂躙は、その不安からくるものである…当人の純然たる趣味でもあるのだが)
そんな彼にとって、今の状況はまさに、怖れていた事態が目に見える形となって現れたとしか言いようがなく、そこへきてガーニィが更に煽るのだから、悪循環と言うか負のスパイラルは続くよ何処までも。

ピキピキピキッ!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!

「逃げた女房にゃ、未練は無いが…いや、ありまくりだな、こりゃ♪」

今にも巨大邪神【14<フォーティーン>】を生み出しそうな瘴気を垂れ流すジャックと対照的に、今が楽しくて仕方がないといった様子で煽り続けるガーニィ。

実際、今の状況は彼にとっていい事尽くめであった。
ユーディが居ないのでおやつが独り占め出来る上に、何より彼にとって忌々しい存在であるヴィヴィオ(VIVID)が居ない。
その上、目の前に遊び倒せる玩具…勿論、病んでいるジャックの事である…があるのだから、今が最も充実した日常だったりする。
まさに外道。
大事な事なので以下略。



「ノクス…ドクターとガーニィさん、何とか止められないの?」
「このままだと、ご主人様達の心も体も病んでしまいますよ…」

不穏極まりないJアークから逃げるように出撃しては、毎回爆発オチで帰還するゴトーsの身を案じるアルクとファスは、駄目元でノクスにお願いするのだが…

『…面白そうだから、もう少しこのままで…』

返ってくる答えは、いつも同じであった…



『もう、この状況には耐えられないのディス…』

そんな悪循環が続く日常に耐えかねたブレイドは、ある日、遂に逃亡を決意した。

『幾らオディが正義のヒーローといっても、キャパシティに限界があるのディス!流石のオディも、この負のスパイラルを断ち切るのは無理ディスウェイ!!』

色んな意味で彼も世界の(ムード)破壊者であるブレイドにそこまで言わせるのだから、Jアークの現状がどれほど酷いかお分かり頂けるだろう。
…尤も、ブレイドが破壊出来るのはシリアスな鬱であり、こういうギャグの鬱には巻き込まれるだけなので、ある意味仕様とも言えるが…

『とりあえず、ユーディさん達と合流するディス。ヴィヴィオちゃんの気配なら、何とか追尾出来るはずディスウェイ…』

そんなこんなで、ヴィヴィオの気配を探って逃走を図るブレイド。

…この時、彼は気付いていなかった。
自分の後頭部に、変態が発信機を仕掛けていたという事に…

『同じ伏魔殿ディも、これなら巨乳のお姉さんが仕切っている『絶滅計画』の無限書庫の方がまだマシなのディス!正直、向こうのオディが馬やらしい、もとい羨ましいディスよ!!』



…同じ頃、『リリカルなのは絶滅計画』時空にて…

『いやー、こっちはこっちで扱き使われて大変なんディスよ?千歌音さんもガーニィさんも、なのはさん達をガチで見殺しにする気満々ディスし…』
「何処見て誰に向かって言ってんだ、ブレイド?」

色々あって分裂した片割れの心の叫びを感知して答えるもう一体のブレイドに、この時空のゴトーが怪訝そうな顔をしている。

「こっちの物語はいつになったら再開するのかしらね…」
「さあな…『翠眼の英雄』と、どちらが先になる事やら…」

そして、この時空のヒロインにして黒幕である千歌音と、この時空のガーニィは、思いっきりメタな発言をするのだった…



・シェイド復活
   ~ReBirth of Dream~



「…何か、目が覚める直前に、思いっきり不吉な会話が聞こえたような…」

ブレイドの逃亡と時を同じくして、酸素カプセルで眠りに就いていたシェイドが、漸く目を覚ました。

「ぃやったぁぁぁ!司書長が復活したぞーっ!!」
「これで、これでやっとジャックさんとガーニィさんの負のスパイラルが止められる!司書長なら何とかしてくれる!!」

今日も今日とて爆発オチと共に帰還したゴトーとコトーは、『英雄』の復活に喝采を上げる。

「だから僕は司書長じゃないんだけど…」
「スマン、つい癖で…ガーニィさんもそう呼んでるし…」
「それはともかく、今すぐジャックさんとガーニィさんを止めてくれ!ユーディが家出してジャックさんが精神病んで、それをガーニィさんが煽って更に酷い事になってるんだ!!」

シェイドなら、Jアークに蔓延する重苦しい空気の発生源である2人を止めてくれるものと、期待して疑わないゴトーs。

「………ごめん。それ、僕じゃ無理」

だが、シェイドから返ってきた返答は、その期待をあっさりと裏切るものであった。

「何で!?ほら、プロテクトナックルで2人ともぶん殴って止めるとか!」
「それ、こっちの世界の『ユーノ』だから!僕には無理だから!!」
「無理じゃないだろ!?シェイドと紙一重の世界じゃ、ガチで喧嘩してるガーニィさんとヴィヴィオを止めて、土下座までさせてるのに!」
「そんな世界無いって!あるなら見てみたいよ!!」



…同じ頃、『ユLOVEるなのは』時空にて…

「っくしゅん!」
「…風邪ですか、司書長?」
「違うから。ちょっと鼻がムズムズしただけだから。また無理矢理休暇取らせようとしないでいいから!」
「ちっ…高町が来たら、すぐにでも引き渡してやるのに…!」

今日も今日とて強行軍の真っ只中で、相変わらずな会話を繰り広げているこの時空のユーノとガーニィ。

「ユーノ司書長ー!風邪なら人肌で温めて治そう~!!」

そこへ間違った知識と共に乱入するのは、この時空のヴィヴィオ。

「高町は高町でもお前じゃない!とっとと帰れクソガキ!!」アタタタタタタタタタタタ!
「オッサンに用は無いよ!そっちこそ引っ込め!!」ホワチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャ!

そして今日も劇画調で繰り広げられる喧嘩。

「…『無限書庫で超・歳の差カップル誕生なう』と…これに“例の画像”を添付して送信…」

徐に取り出した携帯端末を操作し出すユーノ。
口調は淡々としているが、大変お怒りのようだ。

「それだけはっ!それだけはご勘弁を…!!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃっ!」

真っ青になって喧嘩を中断し、無重力の書庫内で揃って土下座するガーニィとヴィヴィオ。
…相変わらず、この時空ではユーノ無双だった…



・クラッシャーズ四鎧将vsハサイダー三人衆
   ~悪の勇者たち~



所変わって、再びブラック・ザ・ラック艦内。
またしてもニャル滝に率いられてJアークから脱走していたハサイダー三人衆は、ジェマの(忠誠心皆無な)配下であるクラッシャーズ四鎧将と引き合わされていた。

「オーッホッホッホッホ!これはまた随分と貧相なロボットさん達ですわね!!」
「こいつは驚いた…このハサイダー三人衆一のハンサムなイケメンにして、悪のニューリーダーたるブルーハサイダー様の事を知らない田舎者が居たとはなァ…」

そんな中でいきなり衝突したのは、一昔前のお約束キャラのような高飛車な金髪ドリルの女性、『尊幻鎧将』ネットと、今日も安定のニューリーダー病を拗らせているブルーハサイダーだった。

「オーッホッホッホッホ!この高貴な女王たるワタクシが田舎者ですって?どうやらボディだけでなく中身も粗悪品のようですわね!!」
「ケッ、何が女王だ!無理してキャラ作ってる成金の田舎娘そのまんまじゃねーか。ピラニアヤミーの親にでもなってろ!!」
「何やとコラァ!?ワレ、あんま調子こいてると、バラして屑屋に売り飛ばしたるで!?」

ブルーハサイダーの挑発に、ネットは簡単に素を曝け出す。

「姐さん、姐さん、落ち着いて」
「いきなり化けの皮剥がれてますで」
「アンタらは黙っときぃ!」

ミニマム金髪ドリルなネットの手下、2人のビーのツッコミも加わり、ヒートアップしていく自称女王vs自称ニューリーダー。



「………」
「………」

そんな喧騒に我関せずと、部屋の隅っこに膝を抱えて体育座りで並んでいるのは、ボーイッシュな緑のショートカットの少女、『魔眼鎧将』ティスと、ハサイダー三人衆で最も存在感の薄いレッドハサイダー。

「ふははははは!どうやらこちらは、早くも仲良くなったようだな!!」
「ジェマ君煩い…仲良くなったって、誰と?」

夢中で携帯端末を弄りながら、そっけなく答えるティス。
一方のレッドハサイダーは俯き加減で、何故かその姿が透けて見えるようですらあった。

「ふははははは!悪の戦士同士、友達になったのではないのかね!?」
「あ、レアガチャ…お友達…?」

ティスは視線だけチラリと隣に向け…

「………全然気付かなかった」

そして、何事も無かったかのように、再び携帯ゲームに熱中し出すのだった。

「相変わらず、存在感が無いな…」
「…しくしくしく…」

俯いたまま、とうとう泣き出すレッドハサイダー。
ニャル滝はそんな彼の姿に、哀愁が漂うのを感じたが…すぐに気にならなくなった…



「貴様は、他の2人と随分デザインが違うのだな?」

そのどちらにも関わらず、優雅に紅茶を飲みながら読書に耽っていた、ゴスロリ衣装に青い髪の、ユーディによく似た容姿の少女、『冷徹鎧将』ピード。
そんな彼女がふと気になったのは、他のハサイダー達と明らかに方向性の違うデザインの残り一体。
全身はメタリックな銀色のその外観は、どちらかと言うとメタルヒーロー…その中でも、元祖の更に元祖である、変身前がやたら濃い宇宙刑事に酷似していた。

「…ニャル滝が、メタルヒーローネタだから、って…銀色繋がりで、また勝手にこんな姿に…」

その正体は、当然シルバーハサイダーである。
4期大戦の時はシルバに改造された彼は、今回は外装をギャバンブートレグに改造されていた。

「畜生!毎回毎回、何で俺だけ…」
「そうか、気の毒にな」

あくまで少し気になっただけなのか、事情を聞いたピードは、それっきりシルバーハサイダーから興味を失ったように、読書を再開するのだった。



「あらあら、ところでギルハカイダーポジは居ないのかしら?別に居なくても構わないけど」

何となく一人あぶれた感じになっていた、長身で赤いロングヘアの何処か母性的な女性、『猛愛鎧将』ピオンが、ニャル滝に尋ねる。

「一応、居るには居たんだが…一度大破して良心回路<ジェミニィ>を組み込まれて、今は無限書庫に居る…」
「あらあら、それじゃギルハカイダーじゃなくてビジンダーね、うふふ」



…同じ頃、ジャック達が本来居た時空の無限書庫にて…

「ううぅぅぅ…」

特捜司書JパーソンことJPは、目から滂沱の涙(レンズ洗浄液)を流して号泣していた。

「…JPさん、今度は何で泣いてるの…?」
「それが…『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』のDVD見たら、思いっきり感情移入しちまったみたいで…」
「あー…確かに『ロボ父さん』だからね…」

そんなJPを生温かい目で見守る、元ハサイダーだったGギブソンことGGと、ユーノであった…



・エピローグ
   ~JUST LIVE MORE~



そしてまた、場面はJアーク艦内に移り。
いつものブリッジではなく、ジャックのラボに集まっている一同。

「またニャル滝がオーロラから出てきて、三色ハサイダーを起動させて連れ出した、と」

ノクスからの事後報告を聞いたガーニィが、蛻の殻になっている、ハサイダー三人衆が封印されていたカプセルを眺めて呟く。

「何でほっといたんだよ?」
『面白そうだったから』
「その判断はおかしいだろぉぉぉ!?」

予想通りとは言え、ノクスの答えにコトーは思いっきりツッコミを入れずにはいられなかった。

「いや、間違ってはいないぞ。俺でもそうする」
「それはアンタらの基準がおかしいんだよぉぉぉ!」

サラリと流すガーニィに、ゴトーも凄まじい勢いでツッコミを入れる。
基本、ジャック・ユーディ・ガーニィそしてノクスの4人にとって最優先なのは、面白いか面白くないか、である。
故に他の乗組員(主にゴトーs)は、振り回されて苦労する羽目になるのだが。

「………見つけた」
「今度は何だ!?」
「やっと見つけた…ユーディの居場所が、分かりましたよ…」

うんざりした様子でゴトーが振り向くと、そこにはブレイドに取り付けた発信機の信号を受信機に捉え、ゾッとするような笑みを浮かべて佇むジャックの姿が。

「何だよ、もう見つかったのか。つまんねーの」
「この状況楽しんでたのはアンタだけだよ!俺達にとっては地獄だったっつーの!!」

心底ガッカリした様子のガーニィに、今度はコトーが米神に井桁を浮かべながらのツッコミ。

「………しかし、何故…何故、ジェマのブラック・ザ・ラックに…?」
「ジェマって確か、ジャックさんの事を一方的にライバル視してる、同じ『J』シリーズのアイツ?」
「ジャックさんと違ってお人好しの常識人で、毎回毎回鬼畜なジャックさんや外道なガーニィさんに酷い目に遭わされてる、あのジェマ・ゾーン?」

ジャックの口から出た名前に、ゴトーsが割と酷い説明をするが、実際そういう設定なのだから仕方ない。

「ほうほう…これはブレイカーズにとって、最大の鬱展開と対峙する時が来たようだなあ…」
「最大の…鬱展開…?」
「決まっているだろ…寝取りだよ、寝取り!N・T・R!!」

ピキピキピキィィィッ!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

勿体ぶって爆弾発言をぶちかましたガーニィに、ジャックの垂れ流す瘴気は今までで最大級の禍々しさを持ったオーラとなって立ち上る。

「寝取り…ユーディが、ジェマに…!?」
「技術だけならお前並みだし、触手凌辱とか、洗脳して上司と部下だの、禁断の歳の差プレイだの、それはもうあの手この手で身も心も染め上げられて…」

そんな異常事態を前にしても全く臆する事無く、ガーニィは好き勝手に適当な想像を吹き込んでジャックを煽り続ける。

「俺達が追いついた頃には、レイプ目のユーディが「ずっと待ってたのに…」「ごめんね、もうジャック君じゃ駄目なの…」なーんて、こ・と・に☆」
「ガーニィさん、いい加減にしろぉぉぉっ!!!」
「これ以上ジャックさんを煽るな!もう取り返しのつかない状態になってるじゃねーかぁぁぁ!!」
「うるせーな。おやつ独り占め、クソガキ不在、ジャックで遊び放題の楽しい日々がもうすぐ終わるんだ。最後ぐらい派手にやらせろや」

たまりかねて猛然とくってかかるゴトーsのツッコミにも、ガーニィは何処吹く風といった調子で勝手な事を言う。

…この時、彼は気付いていなかった。
ジャックが、ガーニィが自分を散々好き放題煽りに煽った事を、しっかりと根に持っていたという事に…



そして彼らは、決戦の地となる“とある世界”に集う。
そこで、何が彼らを待つのか…それは、今はまだ誰も知らない…

「おのれぇぇぇ、VIVIDぉぉぉ!!!」
それは、ある夏の日の事だった…



 雨上がり Breake Cloud隙間から 青空が手招きしてる
 Alright そろそろ行こうか



無限書庫司書ガーニィ・レイザはその日、3か月ぶりの休暇でクラナガン市内をぶらついていた。
…本来はもっと殺人級のスケジュールが続く予定だったのだが、日に日に凶暴性を増し、後輩司書達に罵声を浴びせまくる彼を見かねて、上司であるユーノ・スクライア司書長から休暇を取るよう厳命が下ったのだ。

「あの人は…自分は平気で無茶するくせに、他人の無茶には厳しいんだからなー…」

愚痴りながらも、ユーノのそんなところも敬愛しているガーニィは、渋々従う形で休暇を過ごしていた。
…ちなみに、ユーノがガーニィに休暇を取るよう命じたのは、彼の身を案じての事であるのは勿論の事だが、凶暴化して暴言が五割増しになっている彼が、資料の請求や受け取りに来た他部署の人間と揉め事を起こさないようにする為の措置でもある…



 誰かが言う Logic信じない 直観は信じていたい
 High Time 始まりを探して



同じ頃、武装隊員ゴトー・クサカは、チンピラの集団に取り囲まれていた。
所属する隊内でタチの悪い同僚達相手に喧嘩騒ぎを起こし、謹慎処分を受けた彼は、夕飯の食材を買いに出たところで、チンピラ達に絡まれている子供達に遭遇。
咄嗟に割って入り、何とか子供達を逃がしたゴトーだが、今度は彼がチンピラ達の標的にされてしまったのだ。

「おう、兄ちゃんよ、俺らに因縁吹っかけてきて、五体満足で帰れるなんて思ってねえだろうなァ?」
「俺達『デス・ラヴァーズ』は、この街じゃちょいと知られた集団なんだぜェ?」

いかにもガラの悪そうな服装、頭の悪そうな台詞の面々を前に、ゴトーは、

(…うわあ。参ったね、こりゃ)

…と、呆れと憂鬱の入り混じった溜息を心の中でついていた。
見たところ、人数とこけおどしの見た目に物を言わせ、弱い者苛めを繰り返して、自分が偉く強くなったつもりになっている、救いようの無いゴロツキの集まりといったところか。
そんな最低の連中相手に、武装隊の自分が本気を出すのも憚られる…

などと考えを巡らせ躊躇していたのが、彼の命取りとなった。

ボカァッ!!!

「ぐはっ…!?」
「今だ!やっちまえー!!」
「ヒャッハー!血祭りだァ!!」

ドカバキボコガスドカバキボコガス…

ゴトーの背後に忍び寄っていたチンピラの一人が、手にした金属バットで彼の後頭部を殴打した。
そしてゴトーがよろけた瞬間、チンピラ全員が殺到し、そのまま彼を袋叩きにし始める。

(畜生…油断した…!)

後悔先に立たず。
真っ向勝負なら人数差などものともせず、この程度の雑魚集団は蹴散らせただろう。
しかし先手を取られた上に、そこからすかさず数に任せてペースを握られては、反撃の機会を見出せない。

…ゴトーは今、思わぬ形で、絶体絶命のピンチに陥っていた…



 Fire Up,Ignition
 ヘヴィーなプレッシャーぶっ壊して アクセル踏み込め



「………何だ?この騒ぎは…?」

コンビニで購入したアイスキャンデーを齧りながら街中を散策していたガーニィは、路地裏から何やら物騒な声や物音が聞こえてくるのに気付き、進行方向を変えてそちらに足を進めた。
そこで彼が目撃したものは…

「オラオラどうした?正義の味方気取りのお兄さんよォ!?」
「ヒャッハー!俺達に刃向おうなんざ、10億万年はえーんだよォ!!」

…明らかに頭の悪そうなチンピラ集団が、誰かを寄って集って袋叩きにしている真っ只中であった。

(相変わらず治安悪いなクラナガンは…これが管理局のお膝元とは世も末だ。いや、とっくに終わっているのか?)

袋叩きにされている人物を助けようという発想は無いのか、只々呆れ返った様子で立ち尽くすガーニィ。
そこへ。

「へっ、しぶとい野郎だ!ここらでトドメの一撃を…っ」

ドンッ
…ポトッ

チンピラの一人…ゴトーを背後から不意討ちしたチンピラである…がゴトーにトドメを刺すべく、落とした金属バットを拾おうと袋叩きの輪の中から抜け出してくる。
金属バットに意識が集中していたそのチンピラは、近くに居たガーニィに気付かず、衝突。
その拍子に、彼の手にしていたアイスキャンデーが地面に落ちてしまった。

「おう、オッサン!ボーっと突っ立ってんじゃねーぞコラァ!?」

ブチィッ…!

時期は夏の真っ只中。
猛暑で不快指数が急上昇している時期に、暑さ凌ぎのアイスを台無しにされた上での暴言。
…チンピラが言葉を発したその瞬間、彼の元々切れ易い堪忍袋の緒が、勢い良くブチ切れた…

ガシィ!!

「へっ…?」

次の瞬間、ガーニィの右手が、そのチンピラの顔面を鷲掴みにする。

グワッ…ガゴォン!!!

「げぼっ…!?」

そのままチンピラの身体を持ち上げると、ワンハンド・ブレーンバスターでアスファルトの地面に叩き付けた。

ゲシッ!ゲシッ!ゲシッ!!ゲシッ!!ゲシッ!!!ゲシッ!!!ゲシッ…

「貴様、それが人様にぶつかっておいて、しかも年長者に対する態度か?社会で生きる最低限のルールってやつを、その身を以て教えてやろうかあ!?」

間髪入れず、地面に仰向けに横たわるチンピラにストンピングを仕掛けるガーニィ。
相手が立ち上がる隙を与えず、しかも顔面・腹・股間と弱い個所を集中して踏み蹴る、的確な急所攻撃である。

「な、何だ何だ何なんだァ!?」
「何だか分からねーけど、あのオッサン、マジでヤバいぞ!」

漸く仲間の惨状に気付いたチンピラ達が、ゴトーの存在も忘れて騒ぎ出す。
…それが、ゴトーに降って湧いた、これ以上はない反撃のチャンスだった。

「っ…今だ…!」

袋叩きの状況から脱したゴトーは、即座に身を起こすと、片足立ちの構えで滑るように前方へと踏み出す。

「あ、テメッ…」
「おっ…りゃあっ!!」

前方に居たチンピラがゴトーの復活に気付き振り返るも、時既に遅く、そのまま胸倉を掴まれ…

ドカッ!

「ひでぶ!?」

バキッ!!

「あべし!?」

ガスゥ!!!

「たわば!?」

ビシィ!!!!

「うわらば!?」

ズガガガガ!!!!!

「いってれぼ!?」

次の瞬間、辺り一面が眩い光に包まれると同時に、無数の打撃音と、チンピラ達の世紀末救世主伝説的な断末魔(死んではいない)の叫びが木霊した。

「ふーっ…」

光が収まると、そこには叩きのめされ死屍累々(だから死んではいないって)のチンピラ達と、彼らに背を向けて仁王立ちしているゴトーの姿が。
…何故かその背中には、『天』の文字が浮かび上がっていた…

「いやー、今回はヤバかったな~…っと、そうそう。向こうはどうなった…うげ!?」

ふと、窮地を脱するきっかけとなった男…ガーニィの事である…の様子が気になり、振り返ったゴトーが見たものは…

「ふしゅるるるう…!」

…漸く怒りも収まったのか、ストンピングを止め、獣じみた唸り声と共に、真夏にも関わらず口から湯気を噴き上げているガーニィの姿だった。
足蹴にされているチンピラは、地面に赤やら黄色やら茶色やらの液体が垂れ流し状態ではあるが、時折ピクピクと痙攣しているので、とりあえず生きてはいる様子だ。

「…えっと…サンキュー!お陰で助かったよ…」

見るからに危険人物といった感じの相手でも、恩人には違いないと、礼を言いつつにこやかに近付いていくゴトー。
その次の瞬間だった。

ガシッ!

「………へっ?」

近付いてきたゴトーの胸倉を掴むと、殺気に満ちた表情でガーニィが振り返る。

「お前も仲間か―――――っ!!」
「ええぇぇぇ~~~~~っ!?」

チンピラの輪の中で袋叩きにされていたせいか、ゴトーはガーニィに存在を認識されていなかったのだ。

…この後、ガーニィに状況を説明するのに、ゴトーはチンピラの袋叩きに耐える倍以上の精神力を費やす羽目になった…



 始まる 運命には
 バックギアは無い…



「いやー、悪いな。アンタのせいじゃないのにアイス弁償してもらってよ」
「いやいや、助けてもらった事には違いないし…」

あのままだと自分まで半殺しにされかねなかったから、という言葉はぐっと飲み込むゴトー。
それを言ったら今度こそ半殺しにされかねない、目の前の男はそういう相手だと認識した。

「そういや名前を聞いていなかったな。俺はガーニィ・レイザ。職業は無限書庫の司書だ」
「え、あの無限書庫の!?…全然そう見えねー…」
「何だよ、見たまんまだろ?このインテリな雰囲気!」

どう見ても、年季の入った893の人である。

「あー、うん、悪ィ。俺はゴトー・クサカ。武装隊の隊員だ」
「ほー…あそこにゃ猿以下の下等生物しか居ないと思っていたが、少しはマトモな奴も居るのか…」
「…そこまで言う?いや、否定は出来ないけどさ…」



これは、始まり。

これから後、様々な時空でドタバタを繰り広げる、ガーニィ・レイザと、ゴトー・クサカの。

これが、始まり。