・プロローグ
   ~悪役ドアが開く~



ヴィヴィルキス一行が『魔弾少女じぜる』の世界にて、魔法少女とは何たるかを学んでいたのと同じ頃…

「ふははははは!ブレイカーズの外道司書かと思ったら、瓜二つの別人だったとはな!!人違いしてしまった非礼は許してくれたまえ!」
「…構わんさ…私はニャル滝、預言者だ…君に頼みたい事があってここに来た…」

ジャックのライバルを自称する『J』シリーズ最後の兄弟、ジェマ・ゾーンのサソリ型巨大戦艦、ブラック・ザ・ラック。
その艦内に突如発生したオーロラの中から現れたのは、預言者を自称しVIVIDを敵視する謎の男、ニャル滝だった。
見た目はジャック&ガーニィの鬼畜外道漫才コンビとそっくりな2人だが、そのテンションはそれぞれ真逆である。

「ふははははは!最高の天才科学者であるこの私に頼み事だと!?何なりと言ってくれたまえ!!」

尊大な態度とは裏腹に、お人好し全開な対応のジェマ。
それとは対照的に…

(………こんな奴でもVIVIDを始末する計画の捨て駒ぐらいにはなるだろう…VIVIDめ、今度こそ貴様に引導を渡してくれる…!)

内心、ジェマには微塵も期待していないニャル滝だったりする…



『夢で会えたら』 異次元旅気分
   ~はじめて君としゃべった~
   ディレクターズ・カット



・ブレイドの家出
   ~ランナウェイ~



更に同じ頃、ジャックの復帰したJアークは、過去最悪の空気に包まれていた。
ユーディの家出によって完全に病んでしまったジャックの垂れ流す禍々しいオーラによって、艦内は隅々まで汚染され尽くし。
乗組員一同、“約一名を除いて”今にも逃げ出したい息苦しさを、誰もが感じていた。

…そう、約一名を除いては…

「おーい、嫁さんに逃げられたジャック、まだ生きているか~?」

ピキィィィッ!
ゴゴゴゴゴゴゴ…

その約一名とは、言うまでもなくガーニィである。
前回、某しぶの世界に介入し、その世界のユーノのお相手であるリインと、その子供達を37564にしようと目論んだ為、独房入りさせられた彼だったが、当然その程度で懲りるガーニィではない。
懲りるどころか、解放されるなり今までの鬱憤を晴らさんとするかのように、ヤンデレモードに陥ったジャックを煽りに煽って、日々、艦内の空気の悪化を促進させていた。
まさに外道。

「…逃げられた…私は、ユーディに…」
「置き手紙のメールがきっちり三行半、まさに「みくだりはん」を突き付けられたってわけだなあ…いやー、この度はご愁傷様としか言いようが無えや♪」
「み、みく…みっくみく…もとい、み・く・だ・り・は・ん…!?」

ユーディの事が世界の中心というぐらいに彼女の事を愛している反面、自分が愛されているという自信が無く、いつか彼女に見捨てられるのではないかと、内心では戦々恐々としていたジャック。
(普段の凌辱エロゲーのような性的蹂躙は、その不安からくるものである…当人の純然たる趣味でもあるのだが)
そんな彼にとって、今の状況はまさに、怖れていた事態が目に見える形となって現れたとしか言いようがなく、そこへきてガーニィが更に煽るのだから、悪循環と言うか負のスパイラルは続くよ何処までも。

ピキピキピキッ!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!

「逃げた女房にゃ、未練は無いが…いや、ありまくりだな、こりゃ♪」

今にも巨大邪神【14<フォーティーン>】を生み出しそうな瘴気を垂れ流すジャックと対照的に、今が楽しくて仕方がないといった様子で煽り続けるガーニィ。

実際、今の状況は彼にとっていい事尽くめであった。
ユーディが居ないのでおやつが独り占め出来る上に、何より彼にとって忌々しい存在であるヴィヴィオ(VIVID)が居ない。
その上、目の前に遊び倒せる玩具…勿論、病んでいるジャックの事である…があるのだから、今が最も充実した日常だったりする。
まさに外道。
大事な事なので以下略。



「ノクス…ドクターとガーニィさん、何とか止められないの?」
「このままだと、ご主人様達の心も体も病んでしまいますよ…」

不穏極まりないJアークから逃げるように出撃しては、毎回爆発オチで帰還するゴトーsの身を案じるアルクとファスは、駄目元でノクスにお願いするのだが…

『…面白そうだから、もう少しこのままで…』

返ってくる答えは、いつも同じであった…



『もう、この状況には耐えられないのディス…』

そんな悪循環が続く日常に耐えかねたブレイドは、ある日、遂に逃亡を決意した。

『幾らオディが正義のヒーローといっても、キャパシティに限界があるのディス!流石のオディも、この負のスパイラルを断ち切るのは無理ディスウェイ!!』

色んな意味で彼も世界の(ムード)破壊者であるブレイドにそこまで言わせるのだから、Jアークの現状がどれほど酷いかお分かり頂けるだろう。
…尤も、ブレイドが破壊出来るのはシリアスな鬱であり、こういうギャグの鬱には巻き込まれるだけなので、ある意味仕様とも言えるが…

『とりあえず、ユーディさん達と合流するディス。ヴィヴィオちゃんの気配なら、何とか追尾出来るはずディスウェイ…』

そんなこんなで、ヴィヴィオの気配を探って逃走を図るブレイド。

…この時、彼は気付いていなかった。
自分の後頭部に、変態が発信機を仕掛けていたという事に…

『同じ伏魔殿ディも、これなら巨乳のお姉さんが仕切っている『絶滅計画』の無限書庫の方がまだマシなのディス!正直、向こうのオディが馬やらしい、もとい羨ましいディスよ!!』



…同じ頃、『リリカルなのは絶滅計画』時空にて…

『いやー、こっちはこっちで扱き使われて大変なんディスよ?千歌音さんもガーニィさんも、なのはさん達をガチで見殺しにする気満々ディスし…』
「何処見て誰に向かって言ってんだ、ブレイド?」

色々あって分裂した片割れの心の叫びを感知して答えるもう一体のブレイドに、この時空のゴトーが怪訝そうな顔をしている。

「こっちの物語はいつになったら再開するのかしらね…」
「さあな…『翠眼の英雄』と、どちらが先になる事やら…」

そして、この時空のヒロインにして黒幕である千歌音と、この時空のガーニィは、思いっきりメタな発言をするのだった…



・シェイド復活
   ~ReBirth of Dream~



「…何か、目が覚める直前に、思いっきり不吉な会話が聞こえたような…」

ブレイドの逃亡と時を同じくして、酸素カプセルで眠りに就いていたシェイドが、漸く目を覚ました。

「ぃやったぁぁぁ!司書長が復活したぞーっ!!」
「これで、これでやっとジャックさんとガーニィさんの負のスパイラルが止められる!司書長なら何とかしてくれる!!」

今日も今日とて爆発オチと共に帰還したゴトーとコトーは、『英雄』の復活に喝采を上げる。

「だから僕は司書長じゃないんだけど…」
「スマン、つい癖で…ガーニィさんもそう呼んでるし…」
「それはともかく、今すぐジャックさんとガーニィさんを止めてくれ!ユーディが家出してジャックさんが精神病んで、それをガーニィさんが煽って更に酷い事になってるんだ!!」

シェイドなら、Jアークに蔓延する重苦しい空気の発生源である2人を止めてくれるものと、期待して疑わないゴトーs。

「………ごめん。それ、僕じゃ無理」

だが、シェイドから返ってきた返答は、その期待をあっさりと裏切るものであった。

「何で!?ほら、プロテクトナックルで2人ともぶん殴って止めるとか!」
「それ、こっちの世界の『ユーノ』だから!僕には無理だから!!」
「無理じゃないだろ!?シェイドと紙一重の世界じゃ、ガチで喧嘩してるガーニィさんとヴィヴィオを止めて、土下座までさせてるのに!」
「そんな世界無いって!あるなら見てみたいよ!!」



…同じ頃、『ユLOVEるなのは』時空にて…

「っくしゅん!」
「…風邪ですか、司書長?」
「違うから。ちょっと鼻がムズムズしただけだから。また無理矢理休暇取らせようとしないでいいから!」
「ちっ…高町が来たら、すぐにでも引き渡してやるのに…!」

今日も今日とて強行軍の真っ只中で、相変わらずな会話を繰り広げているこの時空のユーノとガーニィ。

「ユーノ司書長ー!風邪なら人肌で温めて治そう~!!」

そこへ間違った知識と共に乱入するのは、この時空のヴィヴィオ。

「高町は高町でもお前じゃない!とっとと帰れクソガキ!!」アタタタタタタタタタタタ!
「オッサンに用は無いよ!そっちこそ引っ込め!!」ホワチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャ!

そして今日も劇画調で繰り広げられる喧嘩。

「…『無限書庫で超・歳の差カップル誕生なう』と…これに“例の画像”を添付して送信…」

徐に取り出した携帯端末を操作し出すユーノ。
口調は淡々としているが、大変お怒りのようだ。

「それだけはっ!それだけはご勘弁を…!!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃっ!」

真っ青になって喧嘩を中断し、無重力の書庫内で揃って土下座するガーニィとヴィヴィオ。
…相変わらず、この時空ではユーノ無双だった…



・クラッシャーズ四鎧将vsハサイダー三人衆
   ~悪の勇者たち~



所変わって、再びブラック・ザ・ラック艦内。
またしてもニャル滝に率いられてJアークから脱走していたハサイダー三人衆は、ジェマの(忠誠心皆無な)配下であるクラッシャーズ四鎧将と引き合わされていた。

「オーッホッホッホッホ!これはまた随分と貧相なロボットさん達ですわね!!」
「こいつは驚いた…このハサイダー三人衆一のハンサムなイケメンにして、悪のニューリーダーたるブルーハサイダー様の事を知らない田舎者が居たとはなァ…」

そんな中でいきなり衝突したのは、一昔前のお約束キャラのような高飛車な金髪ドリルの女性、『尊幻鎧将』ネットと、今日も安定のニューリーダー病を拗らせているブルーハサイダーだった。

「オーッホッホッホッホ!この高貴な女王たるワタクシが田舎者ですって?どうやらボディだけでなく中身も粗悪品のようですわね!!」
「ケッ、何が女王だ!無理してキャラ作ってる成金の田舎娘そのまんまじゃねーか。ピラニアヤミーの親にでもなってろ!!」
「何やとコラァ!?ワレ、あんま調子こいてると、バラして屑屋に売り飛ばしたるで!?」

ブルーハサイダーの挑発に、ネットは簡単に素を曝け出す。

「姐さん、姐さん、落ち着いて」
「いきなり化けの皮剥がれてますで」
「アンタらは黙っときぃ!」

ミニマム金髪ドリルなネットの手下、2人のビーのツッコミも加わり、ヒートアップしていく自称女王vs自称ニューリーダー。



「………」
「………」

そんな喧騒に我関せずと、部屋の隅っこに膝を抱えて体育座りで並んでいるのは、ボーイッシュな緑のショートカットの少女、『魔眼鎧将』ティスと、ハサイダー三人衆で最も存在感の薄いレッドハサイダー。

「ふははははは!どうやらこちらは、早くも仲良くなったようだな!!」
「ジェマ君煩い…仲良くなったって、誰と?」

夢中で携帯端末を弄りながら、そっけなく答えるティス。
一方のレッドハサイダーは俯き加減で、何故かその姿が透けて見えるようですらあった。

「ふははははは!悪の戦士同士、友達になったのではないのかね!?」
「あ、レアガチャ…お友達…?」

ティスは視線だけチラリと隣に向け…

「………全然気付かなかった」

そして、何事も無かったかのように、再び携帯ゲームに熱中し出すのだった。

「相変わらず、存在感が無いな…」
「…しくしくしく…」

俯いたまま、とうとう泣き出すレッドハサイダー。
ニャル滝はそんな彼の姿に、哀愁が漂うのを感じたが…すぐに気にならなくなった…



「貴様は、他の2人と随分デザインが違うのだな?」

そのどちらにも関わらず、優雅に紅茶を飲みながら読書に耽っていた、ゴスロリ衣装に青い髪の、ユーディによく似た容姿の少女、『冷徹鎧将』ピード。
そんな彼女がふと気になったのは、他のハサイダー達と明らかに方向性の違うデザインの残り一体。
全身はメタリックな銀色のその外観は、どちらかと言うとメタルヒーロー…その中でも、元祖の更に元祖である、変身前がやたら濃い宇宙刑事に酷似していた。

「…ニャル滝が、メタルヒーローネタだから、って…銀色繋がりで、また勝手にこんな姿に…」

その正体は、当然シルバーハサイダーである。
4期大戦の時はシルバに改造された彼は、今回は外装をギャバンブートレグに改造されていた。

「畜生!毎回毎回、何で俺だけ…」
「そうか、気の毒にな」

あくまで少し気になっただけなのか、事情を聞いたピードは、それっきりシルバーハサイダーから興味を失ったように、読書を再開するのだった。



「あらあら、ところでギルハカイダーポジは居ないのかしら?別に居なくても構わないけど」

何となく一人あぶれた感じになっていた、長身で赤いロングヘアの何処か母性的な女性、『猛愛鎧将』ピオンが、ニャル滝に尋ねる。

「一応、居るには居たんだが…一度大破して良心回路<ジェミニィ>を組み込まれて、今は無限書庫に居る…」
「あらあら、それじゃギルハカイダーじゃなくてビジンダーね、うふふ」



…同じ頃、ジャック達が本来居た時空の無限書庫にて…

「ううぅぅぅ…」

特捜司書JパーソンことJPは、目から滂沱の涙(レンズ洗浄液)を流して号泣していた。

「…JPさん、今度は何で泣いてるの…?」
「それが…『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』のDVD見たら、思いっきり感情移入しちまったみたいで…」
「あー…確かに『ロボ父さん』だからね…」

そんなJPを生温かい目で見守る、元ハサイダーだったGギブソンことGGと、ユーノであった…



・エピローグ
   ~JUST LIVE MORE~



そしてまた、場面はJアーク艦内に移り。
いつものブリッジではなく、ジャックのラボに集まっている一同。

「またニャル滝がオーロラから出てきて、三色ハサイダーを起動させて連れ出した、と」

ノクスからの事後報告を聞いたガーニィが、蛻の殻になっている、ハサイダー三人衆が封印されていたカプセルを眺めて呟く。

「何でほっといたんだよ?」
『面白そうだったから』
「その判断はおかしいだろぉぉぉ!?」

予想通りとは言え、ノクスの答えにコトーは思いっきりツッコミを入れずにはいられなかった。

「いや、間違ってはいないぞ。俺でもそうする」
「それはアンタらの基準がおかしいんだよぉぉぉ!」

サラリと流すガーニィに、ゴトーも凄まじい勢いでツッコミを入れる。
基本、ジャック・ユーディ・ガーニィそしてノクスの4人にとって最優先なのは、面白いか面白くないか、である。
故に他の乗組員(主にゴトーs)は、振り回されて苦労する羽目になるのだが。

「………見つけた」
「今度は何だ!?」
「やっと見つけた…ユーディの居場所が、分かりましたよ…」

うんざりした様子でゴトーが振り向くと、そこにはブレイドに取り付けた発信機の信号を受信機に捉え、ゾッとするような笑みを浮かべて佇むジャックの姿が。

「何だよ、もう見つかったのか。つまんねーの」
「この状況楽しんでたのはアンタだけだよ!俺達にとっては地獄だったっつーの!!」

心底ガッカリした様子のガーニィに、今度はコトーが米神に井桁を浮かべながらのツッコミ。

「………しかし、何故…何故、ジェマのブラック・ザ・ラックに…?」
「ジェマって確か、ジャックさんの事を一方的にライバル視してる、同じ『J』シリーズのアイツ?」
「ジャックさんと違ってお人好しの常識人で、毎回毎回鬼畜なジャックさんや外道なガーニィさんに酷い目に遭わされてる、あのジェマ・ゾーン?」

ジャックの口から出た名前に、ゴトーsが割と酷い説明をするが、実際そういう設定なのだから仕方ない。

「ほうほう…これはブレイカーズにとって、最大の鬱展開と対峙する時が来たようだなあ…」
「最大の…鬱展開…?」
「決まっているだろ…寝取りだよ、寝取り!N・T・R!!」

ピキピキピキィィィッ!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

勿体ぶって爆弾発言をぶちかましたガーニィに、ジャックの垂れ流す瘴気は今までで最大級の禍々しさを持ったオーラとなって立ち上る。

「寝取り…ユーディが、ジェマに…!?」
「技術だけならお前並みだし、触手凌辱とか、洗脳して上司と部下だの、禁断の歳の差プレイだの、それはもうあの手この手で身も心も染め上げられて…」

そんな異常事態を前にしても全く臆する事無く、ガーニィは好き勝手に適当な想像を吹き込んでジャックを煽り続ける。

「俺達が追いついた頃には、レイプ目のユーディが「ずっと待ってたのに…」「ごめんね、もうジャック君じゃ駄目なの…」なーんて、こ・と・に☆」
「ガーニィさん、いい加減にしろぉぉぉっ!!!」
「これ以上ジャックさんを煽るな!もう取り返しのつかない状態になってるじゃねーかぁぁぁ!!」
「うるせーな。おやつ独り占め、クソガキ不在、ジャックで遊び放題の楽しい日々がもうすぐ終わるんだ。最後ぐらい派手にやらせろや」

たまりかねて猛然とくってかかるゴトーsのツッコミにも、ガーニィは何処吹く風といった調子で勝手な事を言う。

…この時、彼は気付いていなかった。
ジャックが、ガーニィが自分を散々好き放題煽りに煽った事を、しっかりと根に持っていたという事に…



そして彼らは、決戦の地となる“とある世界”に集う。
そこで、何が彼らを待つのか…それは、今はまだ誰も知らない…

「おのれぇぇぇ、VIVIDぉぉぉ!!!」