雨が降ってきた、と思った。

ちょうど瞬きした瞼へ、タイミングを見計らった
ように雨粒が当たった。

ぽつん

また、瞬きの瞼を雫が伝う。

ぽつん
ぽつん


空はどこまでも晴れている。


じゃあこの雨はどこからきてるんだろう?

ぽつ
ぽつん


ぽつん


瞼は濡れていない。

ただ音だけが瞼をおろした目に見える。




ぎゅっと目を閉じてみる。

ぽつぽつぽつぽつ…

薄く目を開いてみる。

ぽ    つぽ   つ ぽ…


そのまま空を見上げると虹がかかった。


頬が濡れている。



体中に流れる液体。
役割を持った水。

虹も自在に生み出せる。

自由に、生み出せるんだ。



その夜、手紙を書いた。

会いたくても会えないあなたに手紙を書いた。



おひさしぶりです
元気にしてますか?
最近の私は
音が見えるし、瞳から虹も出しましたよ。
そちらはどうですか?
お身体に気をつけて。