朝はまだ太陽がチラついていたのに、お昼から素人が描いた油画みたいな曇り空。ランチを食べたあとの仕事はどうにもこうにも、眠気が払えない。
頭痛は無いから気圧のせいではない。肩凝りもそんなに酷くない。
ただ眠気だけが、唐突に与えられたウイスキーのように濃く重く頭にまとわりつく。
コーヒーでも買いに行こうと席を立つ。上司にも後輩にも「ちょっと、コーヒーを」と絞り出すのがやっとの声で伝え会社を出る。

近くにあるコーヒースタンドは時間帯のせいもあって混んでいた。
待ってる間に眠りの沼により沈んでいきそうだったのでコンビニを目指す。

昨年の9月に閉めてしまったサチコブラウニーの前を通る。
会社のビルの真裏だ。暇なときはよくサボりにきていた。

おや?シャッターが閉まってない。何か新しいお店が入ったのか?
服がたくさん。
見たことのあるカバンもたくさん。

張り紙をみると、hicoさんとなおみさんの名前が。


誰かのSNSで見てた!出店先が分かんないなーと思いながら特に調べることもせず過ごしていた。

まさか真裏にいたなんて!


いっきに目が覚めた。店にも入ってhicoさんとも久しぶりに話したり、商品もたくさん見させてもらった。

ルーティン化していた日常でふやけてた脳みそに刺激がバチバチと入り込む。
神経がつながる感覚。


そうか
眠かったんじゃなくて、つまらなかったんだ。

1年勤めて慣れた仕事。


音楽活動は続けているうちに、目指すところが変わったり、突然の別れがあったり、未だに新しい出会いがあったり、もう一生分のドラマを使い切ったんじゃないかというくらい劇的なことが毎回起きる。

できなかったことができるようになる。
1人で演れなかったことが、みんなとならできるということを知る。

これは演らないと分からないことだ。


仕事は、それなりにやりがいもある。
最初は刺激だらけだったけど、慣れてしまうとなんの感動もない。

そしてそんな仕事の内容よりも
人間関係の捻れがひどく目につく。

仕事は慣れでもこなせるのに、人間同士の意思疎通に時間がかかるなんて、無駄な労力だと思う。
目に見えない捻れは、目に見えないところで解くしか方法はない。

無駄なプライド、無駄な肩書き、無駄なコミュニケーションに頭を悩ます日々を過ごすか
もしくは一つも気にしないようにする


僕はいつのまにか音楽活動で一通り学んでたみたいだった。



何も無いと思っていたあの場所に
欲しいものがたくさんあって感動した。

眠気じゃなくて退屈に支配されてた脳みそにも謝りたい気分だった。

数々の命をかけて教えてくれた先輩たちの生き様に倣って、具体的ではないけどそんな風に生きていきたいんだとあらためて思った。



動く、動く。
細胞が死んでいく。

どうせなら好きな人たちに使いたい心と身体。
使い方がわからないならとりあえず一緒に踊ろう。ダンスができないならお酒でも飲もう。酒がのめないなら星でも眺めよう。焚き火でもいい。
ただし手を抜いちゃあだめだ。本気でやるんだ。
それだけで劇的に変わる。


いつか、あなたと。









それでは今日も考える1日を!