バースの景色

この数ヶ月準備に追われていたCFAの試験も先週無事終了し、初めての週末。バースへ一泊二日の小旅行に出かけることにした。

ロンドンから電車で1時間半の快適な旅、のはずがなにやら”レールの不具合” で行き先を変更するとのアナウンス。車内騒然とするも取り乱すまでにはいたらず、皆落ちついて予定変更の電話などしている。幸いいずれにしてもバーススパ駅は停まるとのことだったので泰然としていたが、とんでもないことが起こりうるのがイギリスの鉄道である。結局不具合解決により行き先変更することは無く、単なる遅れだけで済んだ。

結局ロンドンからは2時間強かかってバーススパ駅に到着。天気は良い。駅から10分ほど歩き、アビー(聖堂)のとなりのインフォメーションでB&Bを紹介してもらう。そこからさらに10分ほどのB&Bは小さいながらなかなか快適な宿であった。一旦荷物を置きホテルをあとにする。ハイストリートのパブで8オンスラムステーキの昼食を取り、ロイアルクレッセントという三日月形の建物を見学する。ロンドンのリージェントストリートの建物を髣髴とする弧を描いた建物で、中庭では人々が思い思いの格好でくつろいでいる。しばら芝生で寝転がった後、街のショップを冷やかしたり、サンダルを買ったりしていると5時近くになっている。昼のステーキがヘビーだったこともあり、目に入ったスーパーでワインとサラダとオリーブを買い込み、ホテルの部屋で軽い夕食を取り、就寝。

翌日はローマ風呂を見学。ローマ人が建造した浴場を再現した場所であり、バース一の観光名所である。中は案外に広く、地下の遺跡を見学する。ローマ人の技術の高さに感心するのと同時にほんのわずかな遺跡のかけらから全体を復元しているにも感心させられた。ほとんどゼロから創造しているようなものだ。考古学もそうだが、誰にも真実は分からないというところに面白さがある。

昼食にパティスリーを食べながら街を歩き、早々にバースを後にする。帰りの電車も案の定今度は”ドアの不具合”でしばらく足止め。車内放送の謝罪が非常に白々しい。

短い旅だったが、イギリスの郊外特有の暖かい感じに触れられてとても満足した。

来週木曜からはいよいよマルタ旅行。試験勉強と仕事の疲れを癒しに行ってきます。




今日久しぶりに仕事の後にCFAのワークショップなるものに顔を出した。簡単な問題を解いて講義を聴き質疑応答するというものだ。デリバティブと債券に分かれていたが、なんとなく債券の部屋に入る。


問題は転換社債の計算のところを除いて比較的簡単であったが、中にMBSに関する正誤問題があり、「(a)(b)略、(c)プリペイメントは春と夏に多い。なぜならこの時期に物件が売りに出されることが多いからである、(d)プリペイメントは春と夏に多い。なぜなら新学期が始まる前に引越しをすることが多いからである。というものがあった。(c)は誤で(d)は正。なんだかしっくりこないが、講師いわくいわゆる常識問題とのこと。アメリカの常識ですが、と付け加えていたが。うーむ。


となると日本でプリペイメントが多いのは新学期前の冬なのであろうか。気になるが調べるのは試験後にしよう。

今日はディザスターリカバリートレーニングということで、午後からイーストインディアという所にあるセカンドサイトに移動して仕事をした。要は避難訓練である。イーストインディアはカナリーウォーフという金融機関が集まる新しい開発地域の近くにあり、東京で言うとお台場の様な感じである。真新しいビルが立ち並びロンドンらしい情緒は殆どなく、人気も少ない。なんだか寂しいところであった。


このディザスターリカバリートレーニングというのは、有事の際に社員が予備のオフィスに移動し通常と変わらず業務ができるかをテストするというもの。我々債券チームからはトレーダー全員とファンドマネージャー二人が移動することとなった。フロントの人間のみならず、現地にはミドルオフィスの面々も揃っていた。50人程の大移動である。


しばらくITの人とあれこれやり取りをしたり、ブルームバーグに電話したりして、無事セットアップ。普段と変わらず業務をすることができた。


周りにレストランが少ないので、皆でピザをオーダーする。何かお祭りのようなノリで、皆どこか楽しそうであった。年中行事のようなものであろう。


5時過ぎに訓練を終え、CFAの達成確認テストを受けにバンクの教室まで行く。出来は今ひとつだった。そろそろ勉強に本腰を入れねばならない。


先週から夏時間が始まり、いつもと同じ時間に起きているのに毎日一時間早起きしているような気になる。日本にいるときは「時間」というものはなにか絶対的な気がしていたが、サマータイムがある国にきてみるとそれは人が勝手に期間を区切って作ったもので、人の都合で変えられるものだということが実感できる。ロンドンのバスや地下鉄の発車時刻がいい加減だったり、テレビ番組の開始が微妙にずれるということを聞いて驚いたが、人の人生は一分一秒の時間に支配されるものではないという考え方に基づくものだとも考えられなくもない。そこから「まあ5分くらいどうってことないさ」という鷹揚な考えも生まれてくるのであろうか。

 

 今日は土曜にもかかわらずシティに行き終日CFAのコース。3分ほど遅れて慌てて到着したが、なんのことはない鷹揚な国の講師は20分遅れて到着する。テーマは株式評価。おなじみのゴードンモデルやFCFモデル、EVAなどをやる。CMAにはなかったFCFE, FCFFの他にも、耳慣れないHモデル、RIモデルというものもあった。要復習である。FCFの計算やマルティピュラーの計算の所でもたつくので、スムーズにできるようにせねばならない。

  

遅れて始まったコースは30分以上早く終わり、家内と待ち合わせてスローンスクエアへ。テラスでビールを飲んだり、ぶらぶらと散歩する。大分日が長くなってきた。

 

それから中華街まで足を伸ばして夕食。なかなか美味しかった。量も大変多く食べきれないので持ち帰りにする。明日の朝食はチャーハンである。

この一週間はシティのオフィス近くの学校に詰め込まれてIMCの勉強三昧である。月曜と火曜はイギリスの証券規則であった。北欧なまりの講師が早口で捲くし立て、二日で200ページあまりのテキスト、200枚のパワーポイントスライドをこなす。かなりの消化不良でちょっとしんどいものがある。

さてそこで興味深いものに出くわした。その名もサーズ(SARs)。病気のような略称だが、The Substantial Acquisition Rules、つまり「株式大量取得規制」である。これによればイギリスの証券規則では:

・一人以上の投資家から、
・7日間以内で、
・議決権の10%以上を、
・15%以上に達するまで買うこと

は禁止されているらしい。ということは今日本の世論を揺るがせているライブドアの株式取得の方法はイギリスでは不可能、当局にあらかじめ塞がれているということである。資本主義の「怖さ」を知っていれば、あって当然の規制だと思う。

インターネットのニュースや日経新聞によれば、オジサンたちが「いかがなものか」などとのんきなことを言っているようだが、これは明らかに日本の証券規制の欠陥を米国の投資銀行に突かれたことが原因であろう。このような制度の欠陥の存在や、上場会社の経営者の市場を軽視するような発言や、正気の沙汰とは思えない抵抗をするニッポン放送を見ていると、そもそも日本の資本主義が似非だからこんなことになるのだという気がしてならない。

これを機に上場会社の経営者は一度株式とは何かをじっくり考えて見るべきだ。そのシステムを理解した上で、会社は株主だけのものではない、資本主義の悪い面が云々と真剣に思うのであれば、資本主義に代わる新たな概念を提案するか、さもなくば即刻上場廃止すべきである。それでも上場を続けるフリーライダーには恥を知れと言いたい。

この騒動の結果、単に規制がひとつ増えるだけに終って欲しくない。形だけを真似た「似非資本主義」から脱却して、地に足の着いた「日の丸資本主義」を再考する契機になればいいと願っている。
東京から両親が遊びに来て10日間滞在して帰っていった。帰国の日の今日は車でヒースローまで送った帰りにウィンザーまで足を伸ばしドライブすることにした。

少し霧がかる中、ウィンザー城やイートン校を抜け車を走らせる。ふと脇をみると、芝が青々と茂るグランドで学生たちがラグビーをしている。まったく素晴らしい風景である。この最高の環境の中文武両道でエリート教育を施されているのを見ると、ちょっとかなわないなと思ってしまう。

FMを聞きながら、ボートが浮かぶ川沿いの緑の中を走り、石造りの橋を渡ると、道沿いに雰囲気のいい門扉があり、次々と車が吸い込まれている。何かと思って入ってみると「ウィンザーロイヤルファームショップ」なる食料品店だった。王室の農場で取れた野菜や肉、チーズなどを売っているらしい。どれもおいしそうである。イートンの学生であろうか、品のよさそうな学生アルバイトらしき店員たちもいる。肉が人気のようで売り場には行列ができていた。狂牛病発祥の地のイギリスにあって、おしゃれな王室直営の店で買うと少しは安心するのであろうか。トマトやりんご、ハーブソルトなど色々と買ってみる。

買い物が済むと、併設されているカフェでコーヒーと苺タルトを食べ、ショップを後にする。なかなかのドライブであった。

家に戻って家内に話したところ、試験が終わったら郊外に出かけてみようということになった。コッツウェルズなどよさそうではないかと考えている。
先日日本のニュースを見ていて驚いた事があった。海外親会社が与えるストックオプションの課税の取り扱いについて、最高裁が一時所得ではなく税率がおよそ倍の給与所得とするとの判決を下したとのこと。しかも過去に遡って適用するらしい。以前はこの扱いについてはいわゆるグレーな部分で、解釈によってどちらとも取れるような規定になっていた。数年前は一時所得とするという税務署の見解もあったようである。

いやはや恐ろしいことである。今まであいまいだったものを納税者不利に決定し、それを規定が無かった時期まで遡及して適用するなどということが許されるというのは、直感的に危険を感じる。法理論の詳細や、行政が司法に影響を及ぼせるかということはともかくとして、普段意識しない「国家権力」を意識せざるを得ない。

日本の財政が問題になるたびに、決まって言われることは「国内でファイナンスされているので問題ない」ということだ。そう言うと聞こえはいいが、つまり海外投資家に対する債権でなく、「徴税権」の及ぶ国内の投資家が保有している限り、国債は国の管理下にあるので問題ないということであろう。極端な話国債に100%の税率をかればはいチャラね、で終わりなのだ。そのときにはきっと財産権なんか風の前の塵のごとし、だろう。ガクガクブルブル。

それは嫌だからと国債を買わなければいいということではない。個人向け国債などというマーケットを無視した商品を売り出したり、日銀総裁がロンドンにまできて国債を海外投資家に売り込むなど躍起だが、今の所ほとんどは都銀や生保などの金融機関に保有されている。つまりこれらの金融機関を通じて預金者なり保険契約者が、つまり国民が保有している形になっている。

国の財政が問題になって久しいが、歳出削減はあまり進んでいそうにもない。しかしこのままの状態が続くことはない。いつかはどうにかなって誰かが泣くのだ。

今回のストックオプションの判決は、司法立法行政が一体になった顔の見えない国家権力が、その影をちらつきさせ始めた現れと思うのは勘ぐりすぎか。
年末のCFAのテキストに続き、またもや会社にどっさりとテキストが届いた。こんどはIMCなるイギリスで投資顧問業をするために必要な資格である。日本の証券外務員のようなものだ。CFAは6月だが、この試験は3月半ばにある。仕事も徐々に忙しくなってる上に試験勉強を二つも抱えてしまった。時間の使い方を上手に考えなければならないと思っている。

昔どこか読んだのだが、自然界には20%と80%の法則というのがあるそうだ。全体の20%が80%を決めるという。例えば20%の営業マンが会社の80%の利益をもたらすとか、20%の人間が80%の富を持つとか、そういうことだ。理由はわからないがとにかくそうなっているらしい。

この法則は時間管理にも成り立つであろうか。そうであれば何かを100%やり遂げるのではなくて、クリティカルな20%の部分に集中すれば全体がうまくいくはずである。問題はその20%の部分をいかに見つけるかということだ、となるような気もする。

しかしよくよく考えると、そもそもその考えは矛盾をはらんでいる。なぜなら何かが100%あって初めてその中の20%が生きてくるわけであって、20%だけを抽出することはできないからだ。20%の「勝ち組」営業マンを引き抜いて新しい会社を作っても、またその中の20%が会社の利益に貢献するだけで、残りの80%は新たな「負け組」になってしまうだろう。また、重要な20%の日だけ出社して80%の成果を挙げられるかというとおそらくそうはいかない。「自然界の法則」なので、20%はあらゆる母集団の中に均一に混ざっているのである。

さてそう考えると、人間は必ず80%の無駄なことをしなければならないことになる。そして初めて20%の重要な部分が浮き上がってくるのだ。つまり時間管理をするにあたってのこの法則の正しい使い方は自分の「80%」の無駄な時間を許すこと、ということになるであろう。そしてそれが全体の重要な「20%」を浮き立たせるというわけだ。

この駄文も80%の時間の一部を使って書いている。それは重要な20%の役に立っているのだ。。。と信じたい。
日本大使館から在英の日本人あてにメールが来ていた。ロンドンで日本人を狙った複数による暴行強盗事件が多発しているとのこと。メールには事件の場所と時間が列挙してあるのだが、ハムステッドやスイスコテージなど比較的高級で安全だと思われていたところで起きている。東京で言うとハムステッド→成城、スイスコテージ→荻窪といったところだろうか。どちらも日本人の駐在員が好んで住む地域である。さらに驚いたのは時間である。帰宅途中の夜8時頃、出勤する朝7時頃に事件が起こっているのだ。明らかに日本人駐在員を狙って付け回しているとしか思えない。友人によれば、襲われた一人はみずほ銀行の人だとのこと。何かの住所録などが盗まれて、犯行グループはそれをもとにターゲットをピンポイントで狙って襲っているのではないかと言っていた。

いやはや恐ろしい話である。出勤途中や帰宅途中も後ろが気になってしまうし、物陰に人の気配がするとはっとしてしまう。確率で考えるとうんと低いだろうし、心配に足らないとは思うが、理由もなく誰かからカテゴライズされて狙われたり憎まれているのかと思うとやはり気持ちが悪いものである。

日本人=金持ちで弱々しい、自分たちの不遇はこいつらのせいだ、だから襲おうとでも思っているのだろうか。加害者の心の闇を考えると、ただでさえ暗くて陰鬱な冬なのに余計に暗くなってしまう。