「つつましい怠惰」
有限齋基輝
令和6年紀元節 曇りのち晴れ
そうして 日常を強制された
猫
なかでもとくに
荘重でつつましい怠惰を
その背中にたもち
僕を回復へとみちびく
僕たちは
故郷へのすべての距離を
おもうことなく
いのちを掩い
コトバをはなれ
約束を果たすため
いま、ここにいる
こういう時は
お互いに幸福なんだろうかね
猫よ
君の*主人の
孤独に
なにものも残してはならない
そうであれ、僕の生まれた町には
いまも一日違いで生まれたあの人が住んでいるだろう
*猫は主従関係を結ばない、自由な生き物で、私の修辞の関係からそう書いた。シニフィエは親友.