ナイキ エアマックス95 (グレー/クリスタルブルー)
・ぼくがエアマックス95というスニーカーを知ったとき、
その靴はすでに気軽に買える存在ではなくて、
だから98年にこの復刻版が出て、
ようやく店頭にもふつうに並ぶようになったとき、
それを買わないという選択肢を選ぶのは難しかった。
ぼくは13歳の中学1年生で、横浜西口にいまでもあるスニーカー屋さんで、
誕生日プレゼントかなにかとして買ってもらったんだったと思う。
もちろんその一足は山口少年のここいちばんの勝負スニーカーとなり、
友達と初めて男女6人でズーラシアに遊びに行ったときにも、
生まれて初めて好きな女の子にじぶんの思いの丈をぶちまけたときにも、
エアマックス95は文字通り足下から、ぼくを支えてくれていたのだった。
(ただ、残念ながらこの靴の魅力をもってしても、
その女の子のハートをぶち破ることはできなかったけれど。)
・エアマックス95といえばイエローグラデというほど、
そのデザインと色彩は密接に結びついていて、
その蜜月関係はこれから何度このスニーカーが復刻されようと、
未来永劫、変わることはないと思う。
当時、一大ブームが過ぎ去ったあととはいえ、
それでもイエローグラデを手に入れるのは至難の業だった…
という事情はあるにせよ、
ぼくが多くのカラバリの中からあえてこの色を選んだのは、
単純に、グレーのグラデーションと絶妙な水色の組み合わせが、
とても美しいと思ったからだった。
コントラストを強調するイエローグラデに対し、
冷たい冬の海のような、耽美的とさえ表現したくなる淡い色彩。
いまにして思えば、
グレーと水色の対比をメインに据えた13SSコレクションの芽は、
このときからすでに息吹いていたのかもしれない。
シンヤヤマグチ