そのかみのおもひでの海は濁りて(壇ノ浦)
のぼるほどに水は澄みてはげしく
着いたところが城跡といふ秋の山
ほろほろほろびゆくわたくしの秋
柳ちるもとの乞食になつて歩く
しぐれて道しるべその字が読めない
夜の長さ夜どほし犬にほえられて
ふたたびここに、雑草供へて
ふたたびはわたらない橋のながいながい風
しつかとお骨いだいて山また山
落葉しつくしたる木の実の赤く
濁れる水の流れつつ澄む
墓二つ三つ芽ぶかうとしている大樹
波音かすかにどうにかならう
塔をめあてにまつすぐまいる
しぐれてぬれて旅ごろもしぼつてはゆく
暮れると寝て明けるよりあるく山また山
生える草の枯れゆく草のとき移る
生えよ伸びよ咲いてゆたかな風のすずしく
脚のいたさも海の空は日本晴