山本文緒著
「自転しながら公転する」
山本文緒氏の遺作。
最後の一文、
"明日死んでも百年生きても、触れたいのは彼だけだった。"は
かなりグッときた。
今年還暦を迎えるオレでも、主人公である30代 女性の都の気持ち、
価値観、結婚観など思い悩む心の内が理解できる。
良い作品に出会ったと同時に、作者の次回作が読めないことが残念。
「ひとり上手な結婚」
結婚に対する悩みや疑問に、山本文緒氏と漫画家の伊藤理佐氏が
それぞれ答えるエッセイ。
個人的にはどうでもいい内容だったかな。
「ばにらさま」
6編の短編集。女性の内面を鋭く描写していく様は流石という感じ。
最終話「子供おばさん」の最後の文章 " 何も成し遂げた実感のないまま、
何もかも中途半端なまま、大人になりきれず、幼稚さと身勝手さが
抜けることのないまま。確実に死ぬ日まで。" は自身の死を意識しての
言葉だったのだろうか?
畑野智美著
「神さまを待っている」
主人公の愛は大学を卒業していながら、就職が叶わず、派遣で文房具会社で働くが、
そこでも正社員の道が閉ざされ派遣切りにあう。
転がり落ちるようにホームレスに落ちぶれ、
出会い喫茶で何とか生活費を稼ぐような生活を続ける日々。
複雑な家庭に育ち、実家の援助を求めることができない女性の貧困を描いた作品。
"貧困というのは、お金がないことではない。頼れる人がいないことだ。"
その通りなのかも知れない。
「消えない月」
被害者の女性 河口さくら、加害者の男性 松原、ふたりの視点からストーカーの
核心に切り込んだ作品。
異常で、過剰な、自分勝手な一方的な「愛」がストーカーを生むのだろうか?
井上真偽氏著
「ぎんなみ商店街の事件簿」BROTHER編/SISTER編
期待して読んだが、個人的には全く面白くない内容だった。
全てが中途半端。世間の評価が高いからと言って、
俺個人も同調するとは限らないことが、はっきり解った。
内館牧子著
「今度生まれたら」
内館牧子氏の作品は何冊も読んでいるが、この作品はかなり面白く読めた。
長年連れ添った夫婦なんてこんなもんだろう、と思い、
独身を謳歌する今がやはり一番で、結婚に関する期待は益々遠のく。
そんな気持ちを再確認した作品。
小川糸著
「ライオンのおやつ」
生きるとは...死とは.....。
オレも主人公・雫のように自分の死を覚悟できるか.....。
改めて考えさせられた小説でした。
小川氏の別の作品も読んでみたい。