山本文緒氏の遺作。

ドラマ化もしていたんだ。全く知らなかった。

 

「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」以降、

最近は山本文緒氏の作品ばかり読んでいる。

今作も時間を掛け、図書館に返却するギリギリまで、

かみ砕くようにゆっくりと読み進めた。

結婚式から始まるプロローグは主人公 都のことだと思っていたが、

エピローグを読むまで騙されていた。

 

単行本化にあたってプロローグとエピローグを書き下ろしたらしいが、

個人的には要らなかったように思う。

本文の最後の

"明日死んでも百年生きても、触れたいのは彼だけだった。"は

かなりグッとくる言葉。これで締めても良かったんじゃないかな。

 

ただ、エピローグにあった一文

"そんなに幸せになろうとしなくていい。

幸せにならなきゃって思い詰めると、

ちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。"

は、なるほどねぇ~。と感じた。

 

今年還暦を迎えるジジイのオレも、30代 女性の都の気持ち、価値観、

結婚観など思い悩む心の内が理解できる。

 

また、良い作品に出会ったと同時に

作者の次回作が読めないことが残念。