森沢明夫著

「大事なことほど小声でささやく」

タイトルが絶妙。

 

「癒し屋キリコの約束」

直前に読んだ「大事なことほど小声でささやく」の登場人物、

ゴンママや歯科医の四海氏の亡くなった娘さんが

さりげなく登場するのが良い。

 

畑野智美著

「夏のバスプール」

畑野氏の作品は「国道沿いのファミレス」に続き2作目。

彼女の飾らない独特なストレートな文章表現は何だか心地よい。

高校1年の夏休み直前の日々を描いた青春作品。

 

「海の見える街」

図書館と児童館で働く男女4人の群像劇。

海の見える街の図書館を舞台に繰り広げられる1年間の話を

インコ、ミドリガメ、金魚、ウサギの動物のタイトルに絡め、

4編の連作短編とするあたりが絶妙。

胸キュンとする小説だった。

 

「南部芸能事務所」

他の畑野氏の作品とどこか違った装いのする小説。

大学2年の新城が、同じ大学に通う溝口とコンビを組み、

お笑い芸人を目指す内容。

 

「メリーランド」

「南部芸能事務所」の続編。図書館で借りた時は知らなかったが、

どうやらシリーズもので5巻まであるらしい。

なぜ、「メリーランド」というタイトルなのか、小説を読むに連れ

後半で気が付いた。

 

内館牧子著

「老害の人」

内館牧子氏の小説を久しぶりに読んだが、凄く面白かった。

小説の中に書かれた一文にぞっとする。

「年をとったなぁって一番感じるのは.....欲がなくなること。」と

定義している。

正にオレがそうだ。あれほどこだわっていた洋服にも興味が無くなった。

性欲も殆ど無い。一日4~5時間しか寝れない。

唯一、美味いモノをたまに食べたいという欲求だけだ。

そんなことをふと思いながら読了した。

 

赤松利市著

「藻屑蟹」

赤松氏の作品は初めてだったが、引き込まれ一気に読了。

作者自身が東日本大震災後に土木作業員や除染作業員の

経験を活かした作品なので、信憑性のある内容のように感じた。

原発避難民や津波の被害者、その遺族など

補償金を貰っ人々への同情、反感。

解決手段としての金。

なんだか、社会や人間の闇を覗いたような作品だった。

赤松氏の他の作品も読んでみたくなる。